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この手は

雨上がりの正午過ぎ
ずっと行ってみたかったおそばやさんへ。

こんなぴったりのタイミングで
ずっと行ってみたかったおそばやさんに行く
なんていうチャンスは

今日を逃したならこの先いつになるか
そもそもかなうかどうかもあやしい

そう思って

何となく   だけれども   どことなく

とてもつよくてふしぎな導きを感じてたどりついた。

「いい手  してる」

おそばやさんの店主は さいごに私にそう言ってくれた。

「仕事をする人の手だ。手でだいたいわかる。仕事をしてきた人の手。」

「いい仕事をする人の手。」


55年間土木のお仕事をされてから、
70才でそばやを開業され、今年83才になられるけれども

すこぶるお話好きで今もお元気なおそばやさんのお父さんがそう言ってくれた。

とってもとってもうれしかった。

サービスで出してくださった野菜のかき揚げ、
そばゼリー、いちごジャム、

辛味大根おろし、わさび、そば湯にいたるまで

ほんの少しも残さずに一滴も残さずにぜんぶたいらげて

店主のお父さんにお礼を言ってお店を出ました。

小さくてささやかなおそばやさんでのひとときだったけれど

私はきっと今日の日のこの出来事、

エピソードをきっと忘れないと思った。

そこには何か意図された答えとか教訓とかがあったわけじゃない

けれどお父さんが私に話してくれた言葉は

とてつもなく大きなギフトみたいに思えて

ほんとにうれしかった。



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