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#6北欧への旅/スーツケース追跡物語in Östersund(エステルスンド)

ストックホルムよりも北西、スウェーデン中部のエステルスンドにいます。

あれっ?スーツケースはどうなった?ですよね。

ストックホルムのホテルに届くかもしれないと期待したのですが結局、届きませんでした。この時点でMさんのスーツケースはストックホルムの空港に保管されている状態のようです。

それを取りに行っていては予定のエステルスンド行きの列車に乗れなくなってしまうし、そもそも空港に行ったとしてどこに保管されているのか、うまく受け取りができるのかもわかりません。なにしろ、簡単に電話で連絡がとれないのです。メールは一方通行でこちらから返信できない仕組みです。

結局、わたしたちは予定どおり旅を続けることにし、エステルスンド行きの列車に乗り込んだのです。

エステルスンドに着き、Tさんたちにこの経緯を話しました。わたしたちはTさん宅に3泊する予定です。お二人とも同情してくれて、なんとかここに滞在中に受け取れるようにとお助けモードに。

なにしろ、Tさん夫妻はふだんから世界じゅうを駆け巡るミリオンマイラーレベルのワールドトラベラーなのです。これまでにロストバゲージは何度も経験しているそうです。

Tさんは日本人女性ですが、ご主人O氏はスウェーデン人です。おふたりの仕事はウィンタースポーツの公式審判です。冬季オリンピックをはじめ、世界各国で行われる大会のジャッジとしてとびまわるお仕事をされています。ジャッジの仕事で知り合ってご結婚された国際カップルです。

書くことが好きで、ライターでもあるTさんは長年、ジャッジの仕事の傍らわたしたちが運営するウェブマガジンの編集スタッフとして、世界の国々から神出鬼没で活動を応援してくれていました。そんなユニークな職業のお二人ですが、とっても仲が良くてステキなカップルです。

さて、話をスーツケースに戻します。

O氏はスウェーデン人ですから、ストックホルムにあるのならスウェーデン語でやりとりできるので、かなりスムーズにいくはずです。リファレンスナンバーを知らせるとすぐに確認するためスマホを手にしました。

Mさんが利用した航空会社はルフトハンザなので責任はルフトハンザですが、現地で起こるロストバゲージなどの業務に関してはアビエーター(Aviator)という会社が業務委託されています。欧州中心に25箇所もの空港現地業務を請け負う会社のようです。つまり、ルフトハンザを通して連絡は来るのですが、荷物を実際に動かしたり、留めたりする作業は全てアビエーターのスタッフがしているのです。

そのため、窓口であるルフトハンザにいくら問い合わせても、業務はアビエーターがしているのでわからないという仕組みになっています。

O氏が何度も連絡を試みてくれた結果、やっとアビエーター・ストックホルムの方と連絡がつきました。そこまでの段階でもO氏は数えきれないほどの電話をしたようです。とにかく、電話が繋がらない、たらいまわしされるの繰り返しで経験豊富なO氏も、「こんなにひどいケースは初めて」と呆れ返りました。

実はこの間、ストックホルムのCYさんもその後のMさんのロストバゲージを気にかけて、自分ごとのように連絡を試みてくれていたのです。

もう、Mさんのロストバゲージはわたしたちが現地で会う人みんなを巻き込んで「スーツケース追跡チーム」みたいな様相になってきました。😂

ロストバゲージのトラブル自体は残念ですが、これほどみんなが親身になって助けてくれることに感謝しかありません。

O氏が頑張ってくれたおかげで、とうとうストックホルムにあるスーツケースをエステルスンドの空港に送ってくれる手配が整いました。

「やった〜!!」みんな大喜びです。

ルフトハンザからもMさん宛にエステルスンド行きに載せたという連絡が届きました。

着替えはともかく、スーツケースの中にはMさんのラップトップのアダプター、カメラのチャージャー、持病の薬、そして旅の間に会う人たちのために持ってきた日本からのお土産も詰まっていますから、ここで受け取ることができれば、Tさんたちにお土産も渡せます。

Tさんのご自宅から空港までは車で40分ほどかかるのですが、たいせつなスーツケースをここで逃すわけにはいけません。知らされたフライトの到着時間にあわせて4人で空港まで取りに行くことにしました。家に届けてもらうよりも確実だと判断したからです。

「あ〜!やっとスーツケースに会えるワ!」と笑顔のMさん。

「いやいや、まだまだ喜ぶのは早いわよ。98%だいじょうぶと思うけど、実際に手にするまでは信じちゃいけませんよ」とわたし。

日本ならば、ここまでこればハマることはないのでしょうが、ふだん海外生活の中で信じたばかりにイタイ目にあうことが少なくないわたしは簡単に信じない体質になっているので、ついそんなネガティブなセリフを発してしまいます。

さて、スーツケースの載るだろうフライトまでに少し時間があるので、エステルスンドの繁華街を楽しむことにしました。

こぢんまりとした可愛らしい街並みです

わたしはスウェーデンの作家、リンドグレーンの『長くつ下のピッピ』が子どものころ大好きでした。キッチン用品を扱うお店を覗いたら、ピッピ柄のコックさん帽を見つけたので記念に買いました。

これからは『長くつ下のピッピ』柄のコックさん帽子被って料理しま〜す。

とまぁ、スーツケース追跡劇を続けながらも旅を楽しんでいます。

湖が中心のエステルスンドの景色はとっても美しいです。エステルスンド空港はストゥール湖に浮かぶフローソン島にあります。

ネス湖のネッシーならぬ、ストーシー(Storsjöodjuret)がいるという伝説があるストゥール湖

もうすぐスーツケースに会えると、空港までのドライブはウキウキモードで、フライト到着の少し前に空港に着きました。

ストックホルムからスカンジナビア航空に載せられたはずのMさんのスーツケースの登場を今か今かと、ターンテーブルで待っていました。

ところが

最後の荷物まで見張っていたけど出てきません!!😱😫

係の人に

「これでおしまいですか? このフライトにロストバゲージにあったグリーンのスーツケースが載せられているはずで、ルフトハンザからも連絡をもらっているのですが」

すると、冷たく

 「これでおしまいです」

O氏は、旅の達人ですからこの空港の荷物の管理をしているオフィスの人とも顔見知りのようです。事情を話してどうなっているのか?と交渉してくれましたが、エステルスンド空港の荷物担当の人々も首をかしげるばかりです。

つまり、ないものはない。
載ってこなかったのだからしょうがない。

コンピューターの記録上はこのフライトに載せられたことになっているのだから、もはや記録すらあてになりません。

こうなると、お手上げです。

いったいどこに行ったのか?まだストックホルムにあって、載せ忘れられているのかもしれませんが、記録上載っているということはスーツケースにエステルスンド行きのバーコードタグは付けられている可能性が高いです。

結局、わたしたち4人はどうすることもできず、あきらめて家に戻りました。

ほぼ、ほぼ再会できると思ったスーツケース、わたしが疑ったとおりあり得ない確率の事態に陥りました。😱

もう、この時点でできることはありません。

ただただ、出てくることを待つだけです。

ひょっとすると、載せ忘れられた荷物が明日のフライトで着くかもしれないし、着かないかもしれない。

どこかとんでもないところにスーツケースだけが旅しているかもしれないし、ストックホルムの空港の片隅で佇んでいるかもしれないし……🙄🤔😫

おーいスーツケースよ!!

いったいどこにいるんだい?

こんなスーツケース追跡劇はあるものの、エステルスンドを堪能し、美しくも平和な空気が流れる古民家のデッキでわたしたちのおしゃべりはとどまるわけがありません。

スーツケースにはまだ会えてないけど乾杯!!


つづく


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