外からやってくる災難”累害”について「論衡10」

能力不足や、努力不足ではなく外からやってきて、自分に害を及ぼすものが累害(るいがい)である。

植物が一生懸命育っていても、雨が降らなかったり、動物に食べられたり、人に刈られたりすれば生を全うできません。

運は外からやってくる福ですが、累害は外からやってくる災いです。

しかも予防対策したからと言って全て防げるものではありません。

以下原文と翻訳です。

凡人仕宦有稽留不進,行節有毀傷不全,罪過有累積不除,聲名有闇昧不明,才非下,行非悖也,又知非昏,策非昧也,逢遭外禍,累害之也。非唯人行,凡物皆然,生動之類,咸被累害。累害自外,不由其內。夫不本累害所從生起,而徒歸責於被累害者,智不明,闇塞於理者也。物以春生,人保之;以秋成,人必不能保之。卒然牛馬踐根,刀鎌割莖,生者不育,至秋不成。不成之類,遇害不遂,不得生也。夫鼠涉飯中,捐而不食。捐飯之味,與彼不污者鈞,以鼠為害,棄而不御。君子之累害,與彼不育之物、不御之飯,同一實也,俱由外來,故為累害。
#人は職に就いても停滞し前進せず、品行は傷つけられ全うせず、罪過は積み重なり消え去らず、名声は闇に包まれ明確ではなく、才は下に非ず、行いは悖ることなく、また知は昏ることなく、策は昧ることなく、逢うべき外的災厄、これもまた累害である。これはただ人の行いに限らず、すべてのものが然りであり、生き物の類もまた累害を受ける。累害は外部から起こり、内部からではない。累害の本源にあるものではなく、ただ累害を受ける者に責任を負わせるのは、知恵に乏しく理を暗闇に閉ざす者である。物は春に生まれ、人がそれを保護する。秋に成熟するが、人はそれを必ず保護することはできない。突然牛馬が根を踏み、刀や鎌が茎を切ると、生育するものは実らず、秋には成長しない。成長しないものは災害に遭い遂げることができず、生きることができない。また、ネズミが飯の中に入り、それを捨てて食べない。捨てられた飯の味は、他のものと同じであるが、ネズミにとって害であるため、放置して防がない。君子の累害は、育たないものや防がれない飯と同じ実であり、どちらも外部からのものであるため、累害とされる。

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