周礼26

天官冢宰26
#天官と冢宰と言う役職についての章

寺人:掌王之內人及女宮之戒令,相道其出入之事而糾之。若有喪紀、賓客、祭祀之事,則帥女宮而致於有司,佐世婦治禮事。掌內人之禁令,凡內人吊臨于外,則帥而往,立于其前而詔相之。
#寺人 (じにん):王の内親(王の家族の近親者や親族)及び女宮(じょきゅう)の戒令に関わる事柄について、その出入りについて相談し、それを是正する役割を持ちます。もし喪紀(そうき)、賓客、祭祀(さいし)のような行事がある場合には、女宮を統括してそれを官庁に対応させ、世婦(せふ)が礼儀事を治めるのを補佐します。内親の禁令についても、内親が外部に出向く場合は、傍につき、詔を相手に伝える役割を担います。

內豎:掌內外之通令,凡小事。若有祭祀、賓客、喪紀之事,則為內人蹕。王后之喪,遷于宮中,則前蹕;及葬,執褻器以從遣車。
#內豎 (ないしゅ):内外の通令を取り扱う者であり、一般的な小事に関する責任者です。祭祀、賓客、喪紀(喪の儀式)のような重要な行事においては、内親の蹕(命令)を代行します。王后の喪の場合、宮中に遷される際は前蹕を行い、葬儀の際には褻器を執り、遣車に従います。

蹕(ひつ):
 古代中国や日本において、高位の者が命令を発することを指す用語です。具体的には、王や皇帝、高官などが重要な儀式や行事に際して、その指示や命令を発し、その儀式の進行や執行を指揮することを意味します。

前蹕(ぜんひつ):
 王や皇帝などが自らの命令や指示を直接発することを指します。例えば、重要な祭祀や行事の場合に、王や皇帝が自らの意志を示すために行う蹕が「前蹕」と言われます。

褻器(しょくき):
 喪葬儀礼において、死者を埋葬する際に使用する器具や道具を指します。具体的には、棺や棺台、香炉(こうろ)などが褻器に含まれます。これらの褻器は、故人を厳かに埋葬するために用いられるものであり、儀式や儀礼の一環として重要な役割を果たします。

遣車(けんしゃ):
 行事や儀式に参加する人々を送るための車両を指します。喪葬儀礼においては、故人の遺体を載せたり、遺族や参列者を墓地へ送るために遣車が使用されます。これらの遣車は、儀式の厳かさや重要性を示すために整えられ、儀礼的な役割を果たします。

九嬪:掌婦學之法,以教九御婦德、婦言、婦容、婦功,各帥其屬而以時御敘于王所。凡祭祀,贊玉粢,贊後薦、徹豆籩。若有賓客,則從後。大喪,帥敘哭者亦如之。
#九嬪 (きゅうびん):婦人の学問や道徳に関する法則を掌握し、九御婦(高位の女官)に対して、徳、言葉、容姿、功績について教え導く役割を担います。各々の御婦を率いて、適切な時に王の前で接見させます。祭祀の際には、玉粢(たまふつげ)、後薦(こうせん)、豆籩(とうけん)の贊(さん)を行います。賓客が訪れる場合には、後ろに従って行動します。大きな喪に際しては、儀式を適切に執り行うために哭者(こくしゃ)を率いて同様の手続きを行います。

玉粢(たまふつげ)の贊(さん):
 儀式や祭祀の際に、玉で作られた食器を使用して、供物や祭品を掲げる行為を指します。玉粢は王族や高位の者に使用される特別な食器であり、儀式の重要な一部として使用されました。

後薦(こうせん)の贊(さん):
 儀式において、故人の霊や神々に対して、後代の子孫や後続の世代が祈りを捧げる行為を指します。後薦は先祖への敬意や感謝の念を表し、儀式の中で重要な役割を果たしました。

豆籩(とうけん)の贊(さん):
 儀式や祭祀において、豆や穀物などの供物を籩(かご)に盛り、神や先祖に捧げる行為を指します。豆籩の贊は神への敬意や供物の贈呈を表すものであり、儀式の重要な要素でした。

 「哭者(こくしゃ)」は、古代中国や古代日本において、喪葬儀礼において泣き悲しむ役割を担う人々を指します。主に喪主や遺族によって雇われ、故人を偲んで涙を流したり、悲しみの情を表現したりすることで、喪主や遺族の悲しみを代弁する役目を果たします。

 哭者は、喪主や遺族が深い悲しみに暮れている際に、儀式や葬儀においてその感情を表現するために用いられます。彼らの泣き声や涙は、喪主や遺族が故人を偲び、心の底から悲しんでいることを周囲に示す役割を果たします。

 古代の喪葬儀礼においては、悲しみを表現するための哭者の存在が重要視され、彼らの参加によって儀式の厳かさや重要性が高められました。ただし、時代や地域によって哭者の役割や存在が異なる場合もあります。

世婦:掌祭祀、賓客、喪紀之事,帥女宮而濯摡,為粢盛。及祭之日,蒞陳女宮之具,凡內羞之物。掌吊臨于卿大夫之喪。
#世婦 (せふ):祭祀、賓客、喪紀(喪の儀式)などの行事を取り仕切り、女宮を指揮して清めや準備を行い、食事を用意します。また、祭りの日には女宮の備品や内部の美化など、内宮の準備を担当します。また、卿や大夫の喪に際しては、彼らの訪問を受けて喪に服し、悼みます。

女御:掌御敘于王之燕寢。以歲時獻功事。凡祭祀,贊世婦。大喪,掌沐浴。後之喪,持翣。從世婦而吊于卿大夫之喪。
#女御 (にょご):王の寝室の運営を担当し、通年にわたって専念します。祭祀の際には世婦(せふ)をサポートをします。大きな喪に際しては沐浴の手配を担当します。また、喪のあとは翣(そう:棺の両側に置く羽飾り)を持ちます。世婦に従って卿や大夫の喪に参列して哀悼の意を示します。

女祝:掌王后之內祭祀,凡內禱祠之事。掌以時招、梗、禬、禳之事,以除疾殃。
#女祝 (じょしゅく):王后の内部での祭祀を取り仕切り、内部の祈祷や儀式に関することを担当します。また、病気や災厄を除くために、時折、招(しょう)、梗(こう)、禬(さい)、禳(じょう)などの儀式を行います。

招(しょう):
 災厄や疫病を招き寄せる原因となる邪気や邪神を追い払うために、祈祷や巫術を行う儀式です。邪気を排除することで、災害を防ぐとされました。

梗(こう):
 災害や病気を避けるために、祈祷や儀式を行い、障害を除去することを指します。梗の儀式は幸運や安全をもたらすと信じられていました。

禬(さい):
 災厄や災害を除去するために、特定の儀式や祈祷を行うことを指します。災厄を消し去る力があると考えられていました。

禳(じょう):
 災厄や災難を予防するために行われる儀式で、邪気や災いを遠ざけることを目的とします。災いを防ぐことに重点が置かれます。

女史:掌王后之禮職,掌內治之貳,以詔後治內政。逆內宮。書內令。凡後之事,以禮從。
#女史 (にょじ):王后の礼儀作法を担当し、宮廷内の仕事を管理します。また、内政の指示を後ろ盾として実施するための手続きや文書の書記を行います。内宮を裏から補佐し、内令(宮中の法令)を記録します。また、王后の後継者に対しての儀式や手続きにおいて、儀礼に従います。


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