【詩】雪だるま

二月八日の大雪は
守られなかった約束をリセットするかのように 
都内全域に降り注いだ

晴れをあれほど待ち望んでいたのに
その日は奇しくも八年振りの大雪になった
僕は透き通った空気を体に取り込み 白い世界でひとりぼっちだった

そんな漫画みたいな話もあるんだな

渋谷のセルリアンタワー裏
東急電鉄ビルの前で 雪だるまをつくる

明日には溶けて 跡形もなくなってしまうだろう
かじかんだ手は赤い血の色をしている

僕は 去年の十二月に
川に投げ捨てた二つの指輪のことをひとり想った  

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