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命を落とす可能性のある熱中症という病気。予防に“おススメ出来ない”飲み物は?

どうも薬剤師の川島敦です。

今日は熱中症について書いていきます。

熱中症って何?

(↑2020年に作成した動画です。)

熱中症という言葉はネットでもニュースでも、普段の会話でも耳にすることが多くなっていると思います。

が、改めて「熱中症って何?」と聞かれると上手く説明できない人も多いのではないでしょうか?(医療者でもアワワワすることがあります(笑))

簡単に説明すると

①体温が上がり

②体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温の調節機能が働かくなったりして

体温の上昇めまいけいれん頭痛などのさまざまな症状を起こす病気

のことです。

重症の度合いでⅠ度(軽症)、Ⅱ度(中等症)、Ⅲ度(重症)に分類されます。

重症化すると、そのまま命を落とす可能性もある危険な病気です。

ちなみに総務省のデータでは2020年に熱中症で救急搬送されたのは6万6,869人(6月~9月)、死亡者は112人でした。

油断していると命を落とす可能性もある“熱中症”ですが、適切な予防をしていれば大丈夫です。

では、どういう予防をすれば良いのか?を見ていきますね。

3つの原因

熱中症の原因は大きく3つに分類できます。(環境省のHP参考)

①環境(日常生活では対策しやすい)

これはわかりやすいですね。

気温、室温が高い。湿度が高い。エアコンが無い部屋。

また、風が無い(風が当たると涼しいですよね?)、急に暑くなった日というのもこれに当たります。


②からだ(人それぞれ対策の仕方が違う)

高齢者、乳幼児、肥満、糖尿病や精神疾患などの持病がある人。

高齢者や乳幼児というのは、体が弱い、というイメージが湧きやすいですよね。

肥満は熱が発生しやすい、体温が上がりやすいため。

糖尿病は汗をかきにくくなったり、尿量が増えて体の水分が不足しがちです。

精神疾患は、自分の体調に無関心になり結果として熱中症に気づきにくく、重症化してしまう、というリスクがあります。

また低栄養(食事を摂れてないない人)の人も、熱中症になりやすいので気を付けましょう。


③行動(日常生活では対策しやすいが、仕事では難しい?)

激しい運動や長時間の運動、長時間の屋外作業など。

水分補給できない状況、というのもここに入ります。


上記の①②③の原因が絡み合って

体温が上がり

⇒体内の水分、塩分のバランスが崩れ、体温調整が出来ず

体温の上昇めまいけいれん頭痛などのさまざまな症状を起こす

のが熱中症です。

原因から“対策”を考える

さて、ここまでで熱中症の原因がわかったと思います。

原因がわかれば対策も立てられるので、原因①から対策を見ていきましょう。

対策①(原因① 環境)

エアコン、扇風機、部屋の窓をあけたりして、室温が上がらないように気を付けましょう。

エアコンの温度は設定温度ではなく、人が居る場所での温度が28℃を超え
ないように適切な温度となるようにしましょう。

毎年、高齢の方でエアコンがキライ、と言ってエアコンをつけずに救急搬送される方々がいます。

家族や近所の方でそのような高齢者がいたら、気を付けてあげてくださいね。

対策②(原因② からだ)

強いからだを作ることを心がけましょう。

と言っても、普段からバランスの良い食事良質な睡眠をとる、適度な運動をして体力をつけるという当たり前のことを心がけてるのが一番の予防です。

(それが出来たら苦労しないよ・・・という議論はここでは置いときます。)

対策③(原因③ 行動)

これは無理をしないこまめな水分補給、というのが対策になります。

日常生活では無理をしない、というのは自分でコントロールできますが、仕事ではなかなか自分でコントロールできないこともあるかと思います。

屋外の長時間の仕事(農作業も含む)をしている方は、一緒に働いている人同士で、適宜、休憩や水分補給をして倒れないように気を付けてください。

また、水分補給については「喉が渇いたら飲めば良いんでしょ?」と言われる方も結構いますが、喉が渇く前からこまめに飲んでください。

特に高齢の方からよく言われるのですが「喉が渇いてる=かなり危険。高齢で“喉が渇く”感覚も鈍っているので、なおさら危険」です。

OS1(オーエスワン)は“予防”で飲むな?

さて、熱中症対策でエアコンをかけて水分補給をすればよい、というのはわかってもらえたと思います。

じゃあ水分をどれくらいとれば良いでしょうか?

日常生活で摂取する水分のうち、飲料として摂取すべき量(食事等に含まれる水分を除く)は1日あたり1.2リットルが目安とされています

また、大量の発汗がある場合は水だけでなく、スポーツ飲料などの塩分濃度0.1 ~ 0.2%程度の水分摂取が薦められます。

(環境省HP資料より)

たしか学生時代(新人時代だったか?)に、食事も含めて1日2リットルを目安、と習いました。

とにかく、結構な量(500mlのペットボトル2本以上)の水分をとる必要があります。

あと、ここで見てもらいたいのは、大量の発汗がない(日常生活)においては、スポーツ飲料などの塩分濃度の無い水分の摂取が薦めらる、ということです。

わかりにくいですね。

普段は水を飲むのが良い、ということです。

え?OS1(経口補水液)とかポカリスエット(スポーツドリンク)が良いのでは?と思った方もいると思います。

大量に発汗した場合は・・・薦められます」となっている通り、運動をした後や屋外での長時間の仕事をした人にはおススメです。

ですが、大量の汗をかくような生活をしていない・普通の生活をしているのに、OS1(オーエスワン)などを熱中症予防として水代わりに飲む人がいますが、絶対にしないでくださいね。

(私の薬局でもOS1を大量買いする高齢の方が時々います。話を聞くと、熱中症の予防に水代わりに飲むと良い、と家族に言われた。という方もいます。そんな方には説明して、止めることがあります。)

OS1は水分補給だけでなく、塩分や糖分がしっかり入っているので、元気な人が水代わりに飲んでいると、高血圧や糖尿病の原因になる可能性があります。

ちなみに500mlあたりの塩分量/カロリー は以下の通りです。

OS1:1.46g/50kcal

ポカリスエット:0.6g/125kcal

アクエリアス:0.5g/95kcal

(厚生労働省の塩分摂取量基準1日あたり:男性7.5g未満、女性6.5g未満)


また、OS1の摂取上の注意としてパッケージに

「医師から脱水症の食事療法として指示された場合にお飲みください。医師、薬剤師、看護師、管理栄養士、登録販売者の指導に従ってお飲みください。」

と明記されてます。

水じゃなくてお茶なら良いでしょ?

さて、普段の水分補給に水を飲みましょう、というのはわかってもらえたと思います。

でも、水ってたくさん飲めないし、お茶なら良いでしょ?という方も多いと思います。

お茶で良いのですが、細かいことを言うと、“カフェイン”が入ってないお茶を飲んでほしいです。

カフェインの入ってない(少ない)お茶で一番有名なのは「麦茶」ですね。

あとはルイボスティーなんかもカフェインレスのお茶として有名だと思います。

カフェインというとコーヒーのイメージがありますが、紅茶にもカフェインは入っていますし、緑茶にも入ってます。

(今はカフェインレス緑茶なんかも売られてますね!)

カフェインは眠気覚ましだけでなく、利尿作用(おしっこを出しやすくする)があるので、水分をしっかり補給したい、という時にはあまりおススメできません。

が、もちろん飲まないよりは飲んだ方が良いので、どうしても緑茶(カフェイン入りの飲み物)で水分補給したい、という人は、おしっこが近くなったとしても、こまめに飲むようにしてくださいね。

夏はビール(アルコール)が最高の水分だ!?

喉が渇いて水を我慢して飲む、夏のビールが最高!

という言葉を聞いたことありませんか?

(身近にそういう人がいますし、気持ちはメッチャわかります。)

が、当然ビール(アルコール)は水分補給にはなりません。

アルコールにも利尿作用(おしっこを出しやすくする)があるので、水分補給にはなりませんし、水分を我慢して・・というのは危険なので止めてください。(※自分のカラダと相談してやってくださいね。)

まとめ

・熱中症は「体温が上がる」⇒「体温調整できない」⇒「体調不良」が起こる。

・原因は3つ「環境」「からだ」「行動」

・ということは対策も3つ

 「環境」涼しい環境を作る

 「からだ」夏バテしない体を作る(栄養、睡眠、運動)

 「無理をしない」「水分をこまめにとる」

・水分は水、カフェインの入ってないお茶がおススメ

 スポーツドリンク、OS1は予防にはおススメしない

 アルコールもおススメしない


では、今日はこの辺で失礼します。

薬剤師の川島でした。


※あくまで熱中症に対しての大きな概念・イメージをもっていただくための文章です。
※個々の持病や状況によって対策は異なることがございます。

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