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エンターテック読書記録

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エンターテック(Entertainment×Technology)・エバンジェリストとしての立場から、自分の備忘も兼ねて、役にたった書籍を紹介していきます。  様々な意味で分野や… もっと読む
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2019年1月の記事一覧

これから仮想通貨の大躍進が始まる! 北尾 吉孝

FinTech運用のブロックチェーンの普及の中心人物による著作なので、当たり前のようにポジショントークではあるだろう。ただ、オンライン証券を日本に広め、いまや新興企業の株式公開は、SBI証券抜きには語れない、その創始者、いわば「金融界のデジタル化の旗手」の発言なので、影響力は大きいはずだ。 内容的にもブロックチェーンの捉え方や「FinTech」の1.0〜1.5〜2.0という時代の見立ても非常に納得のいく内容だ。 全体を俯瞰しながら要点を細部までわかりやすくまとめている。ブロッ

「ニッポン2021〜2050〜データから構想を生み出す教養と思考法」 落合陽一/猪瀬直樹 (角川書店)

 落合陽一がここまで社会問題(政治家的な内容)に切り込んでいるのに驚く。とても良いことだと思う。猪瀬直樹に対する評価も冷静で的確。制度設計については、どんな案にも賛否両論あるし、ブーム的に注目されている落合くんには嫉妬する人もいるだろうけれど、大学で研究しながら起業家でもあり、これだけ未来の社会のあり方に対して定見があるのだとしたら、かなり影響力を持つようになるね。  テクノロジーの専門がでありながら、社会に提言できる若い世代は貴重。世界の中での日本という感覚も前提に持ってい

CASE革命〜2030年の自動車産業 中西 孝樹 (日本経済新聞出版社)

 CASEとは、connect、automounous(自動運転)、sharing&service、electricの略でこれからの自動産業の変化を象徴する言葉で、CASE革命という言葉で「モビリティ」に関する産業面での分析を総合的にしている名著。めちゃめちゃに勉強になった。  僕は、拙著『10人に小さな発見を与えれば、1000万人が動き出す』(ローソンHMVエンタテインメント刊)で「車が、ガソリンにハンドルとタイヤが付いた乗り物から、OSによってコントロールされるタイヤと椅

AI時代の新・ベーシックインカム論 井上 智洋順  (光文社新書)

 デジダル化を飲み込んで膨張するグローバルな資本主義競争。否応なしに貧富の差を広げていく現状の中で、テクノロジーの発展がベーシックインカムの導入を必然にしているという本。かなり納得した。  この方法論を早くとれる国家が、次の国際競争で「勝ち組」になるのかもしれないね。日本は人口も多いし「勤勉が美徳」な儒教的価値観が結構、強いから、なかなか難しいだろうけれど、行政の簡素化とセットでBIを導入できれば、「国民が幸せで経済力が強い国」になれて、文化力も含めて、世界を牽引できる存在に

「テクノロジーの地政学〜シリコンバレー vs 中国、新時代の覇者たち」シバタナオキ , 吉川欣也 (日経BP社)

 スタートアップやこれからの産業のイノベーションに興味がある人に最適。  最近のトレンドの外観と、具体の固有名詞付きの具体の両方を知ることができる。  世界を牽引している産業を「ソフトウエアが世界を飲み込む」という予見を前提に、シリコンバレーと中国のIT事情を対比的にまとめている。  取り上げている分野は、「人工知能」「次世代モビリティ」「フィンテック・仮想通貨」「小売」「ロボティクス」「農業・食テック」の6つ。 それぞれの章を業界のトレンドの紹介と解説、主要なプレイヤーの紹