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【曲紹介】愛すべきいとこ=Oga

今日紹介するのは、愛すべき我がいとこ"Oga"氏が作詞・作曲・編曲を行った『忘れてたまるか』という曲。
僕は彼女のつくる歌がだいすき。
そもそも僕が曲作りを始めるきっかけも彼女にある。

ちょうど僕と二つ違いのOgaは小さな頃からピアノを習っていた。
僕は二週間ほどで辞めてしまったのに、彼女はずいぶん長いあいだ鍛練していた。
我が家とはちがい、大きな家に住む一人娘は電子ピアノからアップライトピアノ(俗に言う:モノホン)、そして現在は一児の母となりシンセサイザーを使用する、生粋の音楽家なのである。

生まれたときから知り合い(母同士が姉妹なのだから当然)で、僕が小学生の頃に独りでに始めた「作詞にメロディを付ける作業」にうまいこと乗っかってくれ、小・中学校のあいだは週末に集まっては互いに録り溜めた音源を聴かせ合う日々だった。
僕はICレコーダー、彼女はデジカメの音声録音機能。たぶん、親のパソコンに接続し、MP3に落としてCD-ROMに焼いていたと思う。

その頃は本当にハイペースに曲を作っていた。
小学生には恐いものがない。
パクりだろうが、被りであろうが、音を外そうが、多少コードに無理があろうが、無問題。
Ogaはソウルメイトである。

高校受験の際、当時中一だった彼女は僕に勉強を教えてくれていた。
秀才なのだ。
分かりやすい例えで、僕に物理を仕込んでくれた。
ユーモアにも長けているのである。

初恋に破れた際には電話越しに慰めてくれたし、その最中にも曲を作り始める二人はまるでアーティストだった。

そうこうしているうちに受験に合格した時、お祝いとして譲り受けた電子ピアノは、30歳になるまで大切に弾き続け、現在は弊社代表の姪っ子ちゃんの家にある。彼女もまた、才能を有している。

さて。
幼い頃にはフィクションの世界で未知なる恋や夢、または悲劇や喜劇などを表現していたわけだが、大人になるにつれ、表現には実感が伴う。
日々の暮らしや誰かを求める切実さ、またはふとした瞬間に訪れる空虚感。
ガメつい僕はどんな気持ちも一応、心の奥にしまっておく。
そして描きたい題材とともに取り出し曲にする。

Ogaの場合は感情をそのまま歌にする。
生理現象のように、気付けば曲ができている。
タブレットで曲作りが出来るようになったここ数年はアレンジまで見事にやってのける。
まるで、メロディと歌詞に対して元々用意されていたかのように、楽器があるべき位置にあるべき姿で存在している。

アレンジまで含めて作曲!!な昨今において、彼女のような存在は珍しくないのかも知れないが、僕には到底できないことだ。
(よく頑張って5.6トラックが限界なの笑)

僕が社会人一年目、彼女が大学生の頃、唐突にデカい封筒がポストに投函されていた。
中を開けるとCDが。
見事なアートワークに歌詞カードまで入ったアルバム。
それを皮切りに、Ogaは次々と名曲揃いのアルバムを作り上げていった。

唐突に家に来て焼いてくれた二枚目のアルバム。
三枚目のアルバムに関しては、彼女自身の結婚式の帰りに突然渡された。(これがまた名作なんです。)

ちなみに世の中には出回っていない。
僕の使い古した(充電したままでなければ稼働しない)iPodと、そして実家にある現物のCD。
あとはOga自身のライブラリのなかにしか存在しないお宝なのである。
「勿体無いからYouTubeにあげてよ!」と懇願すると、可愛らしい、しかし意味深いアートワークやアニメーションを付けてアップロードしてくれた。
僕より再生回数が多くて草
な、彼女。

しかし、当たり前に良作ばかりなのです。
いつまでも尊敬の渦中にOgaというアーティストは存在している。

今回紹介するのは、前述の通り、彼女が書いた『忘れてたまるか』という曲をカバーしたもの。
カバーと言っても、彼女が作ってくれたオケにスマホのマイクだかを通して僕が唄ったものです。

ちょうど社会人になりたての彼女は、多くは語らずとも社会の荒波に呑まれ、揺られ、あっぷあっぷになっていたのだろう。
僕はといえば、社会に馴染んだ!と思いきや葛藤、の繰り返しで、夕方一人でひたすら散歩することが救いになっていた。

辛い現実から一人暮らしの小部屋に帰るのも寂しいけれど、辛い現実から賑やかな我が家に帰るのも心の調節が取れずにしんどい時期なのだった。

例の結婚式で手渡されたアルバムに収録されていた『忘れてたまるか』。
この気持ち、なにがなんでも忘れてたまるか!という悔しさとも強さとも取れる歌詞なのだが、彼女は自身の結婚式でこの曲のオケだけを流した。
「こんな幸せな気持ち、忘れてたまるか!」と言わんばかりに。
(ちなみにOgaの結婚式は本当に素晴らしいものでした/彼女の選曲のセンスが冴え渡っていて/もはやキュレーターにでもなったらいいのに、と)

この曲をYouTubeにアップしてから三年が経ったらしい。
得も云えぬ恐怖心が溢れるコロナ時代の到来により不自由が迫られていた時分に録音した思い出がある。
だから最後に【疫病退散!】という隠れミッキー的なメッセージを入れ込んでおいた。

彼女は出産前にまた名曲をこしらえ、それ以降は曲を出していない。
きっとそのうち世の中に出てくるだろう。
気長に待とう。
一生涯のつながりがあるのだから。



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