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海外医学部生もCBT&OSCEが義務化? 〜ハンガリー医学部卒業→日本医師国家試験の受験資格〜

日本で、医学生の知識や技能を確かめる共用試験(CBT・OSCE)が2023年度から公的化されました。

これにより、日本の医学部では臨床実習前に共用試験に合格していれば、実習において医師の指導監督のもと一定の医療業務を行えることになります。

海外でいうところの ”Student Doctor” という役職です。

これに際して、海外医学部卒業生が日本の医師国家試験に臨む場合、CBT・OSCE合格を受験資格とする議論が進んでいます

医師国家試験の新ガイドラインには、外国の医学部を卒業した者に対する試験について、以下のように書かれています。

・予備試験の代替として、共用試験CBT及びPre-CC  OSCEを課すことが妥当。
・日本語診療能力調査の代替として、Pre-CC OSCE及び筆記試験の受験を課すことで、我が国の医学生と同等以上の能力を持つことを確認することが妥当。
→いずれも共用試験CBT及びPre-CC OSCEが公的化された場合、両試験を初めて受験した我が国の医学生が、初めて医師国家試験を受験する際の試験からの導入が望ましい

日本の医学部では、CBT・OSCEは4年生で受験します。

前述の通り2023年度からCBT・OSCEが公的化されたため、2023年の4年生が初めて国家試験試験を受ける年、つまり2026年の医師国家試験から上記の条件が海外医学部卒業生に課される可能性があります。

以下、現在議論されている論点、これによる海外医学部生への影響などについて書いていきます。

あくまで私の理解の範囲内での記事であり、一個人の意見が含まれていることをご了承ください。

公的化施行は2023年度だが、受験資格となるのは2025年度から


公的化は2023年度となりましたが、実際に共用試験合格が医師国家試験の受験資格要項となるのは2025年度からです。

これまで、CBTやOSCEの合格基準は大学間で異なりました。出題範囲や模擬患者の準備など、画一した基準が設けられていなかったためです。

この2年間の猶予の間に、共用試験への財政面や評価者、今後のロードマップなどの内容を議論しながら判断していくとのことです。

ハンガリー医学部を含む海外医学部卒業生の受験資格となるのも、2025年度からとされています。

海外医学部生への影響は?


従来のタイムラインでは、海外医学部生が医師国家試験を受験するにあたっては日本語診療能力調査(10月頃)という試験に合格している必要がありました。

これに置き換わる形で、OSCEとなんらかの筆記試験が課されることになるようです。

日本語診療能力調査が行われていた時期にそのままOSCE + αが実施されるのではと予想されるものの、時期の詳細などはわかっていません。

また、共用試験は日本の医学部では4年次に行われますが、海外医学部生でも卒業前に受験できるかどうかは未知数です。

医師国家試験を受験しにくくなる?


結論から言うと、これらの変化によって医師国家試験を受験するのが以前より極端に難しくなることはないのではないかと思います。

そもそも従来行われていた日本語診療能力試験も必ず受かるといった類のものではなく、ある程度しっかり対策する必要があるとされていました。

もちろん私自身は共用試験を受けたことがないので推測の域を出ませんが、例えばOSCEに関しては似たような内容の授業はハンガリー医学部でも行われています。

ただ、もちろんOSCEの合格基準がどれくらい厳格化されるのか、海外医学部卒業者に課される筆記試験の難易度はまだ未知数です。

筆記試験の対策も含めて、より早くから日本語の医療単語、問題形式に慣れておく必要は出てくると思います。

特にインターナショナルスクール出身であったり、帰国子女で日本語に不安感がある人は早めの対策を迫られるようになるのではないかと予想されます。

実際に、現行の日本語診察能力試験をクリアできなかった人の中にはこれらのバックグラウンドの学生が比較的多いようです。

情報が共有されて、“この学年までに日本語の教材をこれくらい終わらせておく“といった明確なロードマップが標されるといいなと思います。

2025年度に向けて徐々に情報が解放されていくはずなので、追って更新していきます。

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