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短歌84

数輪の夜桜のこと気づきたいいろんなくすりを飲んで眠った

桜蕊 髪の長いわたしのままでまだ待っていたいから見つけてよ

外を見ようとずっとドア際に立ってたけど夕日が射してきて眩しくなった

嫌いだった乗り換えの駅があなたの住む街の駅になって 夕景

オレンジピール記憶がいつか磨耗していくことの確かさは面白いね

公共の花壇に造花が植わってるもうすぐ高層ビルの建つ街

また来たいほど店はない一駅と一駅がこんなに近い街

まあ生きているから私達 河川敷に野球少年蠢いて

馴染みのある信用金庫現れてとじた旅路を誰も知らない

こんにちは虚構全ての公園がネモフィラを植えて美しい

買ったことのないクレープ屋春めいて他者にも他者がいるのは希望?

春の祠珍しく車の止んだ複雑な交差点を渡って

散歩中のトイプーに謎に好かれる もらった謎の愛をあたためる

千年後彼女と巡り会うための輪廻転生の時間調整

ミモザ降る互いのことを忘れても忘れたなってずっと思おうね

好きな人発表ドラゴンとして生きる失ってから気がついたけど

さよならばかり さよならばかり 桜咲き進んでも空ぱっとしない

少し安い水を売ってるほうの階 きみの昼食を教えてほしい

素敵な春でありますように芳しくない体調をぼくは抱えて

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