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ー電気犬は犬牽の夢を視るか?ー犬牽エッセイ・シリーズ第六話『nintendogs』その①

 日本の伝統的なドッグトレーナー犬牽イヌヒキの目線で、アレコレを見境なく語るエッセイシリーズ。
 六話からは、ニンテンドーDSソフト『nintendogs』を連続で取り上げていく。
 初回は『nintendogs』との出会いについて紹介したい。
 それは私の数少ない学生時代の趣味、中古の『nintendogs』を買い集め世話をすることに突き当たる。

 そもそも『nintendogs』は名前の通り、任天堂ニンテンドーDS用ソフトとして二〇〇五年に販売した犬との生活をシミュレーションするゲーム。ソフトごとに異なる(ゲームが進むと増える)犬種を家に迎え入れ、食事・グルーミング・風呂・アクティブ・散歩等々のお世話を行っていくのだ。

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こちらは柴犬を中心メンバーとしたバージョン☝)

 私は幼い時分から、動物と向き合うことに強い興味を抱いてきた。
 それは現実の動物だけではなく、前回紹介した『動物のお医者さん』を愛読書としているように興味は映画・マンガ・小説・アニメーション・ゲームに対しても変わりない。動物を題材とした作品に手を伸ばしては、貪欲にそれらを吸収していったのだ。今思えば、自分にとって正解と言える動物との関係性を探っていたのだと思う。
 だからこそ『nintendogs』が販売された時、高校生の私はすぐさまプレイを開始。
 ちなみに大のマンガ好きとして『動物のお医者さん』や『私を月まで連れてって!』を教えてくれた母は、大のゲーム好きでもあった。テトリスやぷよぷよなどのパズルゲームは勿論、ポケモンシリーズ・ファイナルファンタジーシリーズ・ドラゴンクエストシリーズなどのRPGも大好物。格闘ゲームを除いて、ありとあらゆるゲームに没頭する母の姿は不思議と頼もしく見えたのは良い思い出である。
 思い出と言ったが、実家では新作が出れば上記タイトルをプレイする母の姿は健在。ここにスマホゲームが加わっているのだから、私も変わることなく情熱を傾けられる趣味が欲しいものだ。
 だからこそ、我が家にはゲームのプレイ上限時間という概念そのものがなかった。母が深夜までゲームをやっているのだから、言えるはずがない。逆に子供たちには、できるもんなら朝までやってみろとよく言っていたのを覚えている。すると私たちのプレイ時間は伸びないのだから、不思議なものだ。犬牽同様、何事も縛るのではなく見守りながら自由にさせることも重要なのだなと思う今日この頃。
 そんな母なので、ゲームは自らの購入指針に当てはまれば販売日には我が家の机上にあった。
 私たちがプレイできるのは母がクリアしてからのことなのだが、ゲームの性質上『nintendogs』は交互に行うことで了承された。

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(国内全バージョンのソフトたち☝)
 
 さて月日は過ぎて、ある日のこと。
 学校帰りの日課である古本・中古ゲーム屋に足を伸ばした私は、そこで『nintendogs』のソフトを見つけた。
 確か値段は、ケース無しのソフト単品で八〇〇円くらいだったと思う。販売からそこまで経っていないのにと、当時の私は心底驚いたことを覚えている。
 次回詳しく解説するが、正直『nintendogs』はしっかりとした姿勢・目的を持っていなくては長くプレイすることが難しい類のゲームだろう。はっきりとしたゴールが無く、ひたすらに画面の中で成長しない仔犬をサポートし続けるのは普通のプレイヤーにとってはなかなかに困難を極める。
  当時の私だって、電気犬という記号化された犬に対する興味だけで何とかプレイを進めていたに過ぎないのだ。
 だからこそ、売ってしまう人の気持ちもわからなくはない。
 わからなくはないが、私は目の前に陳列されている中古のソフトを放って置く気持ちにはならなかった。
 ソフトの中で凍結している犬たちに対する気持ち、勿論それもある。
 あるが、私の興味はそんな犬たちとプレイヤーが過ごした時間/関係性に向かっていた。
 他の人たちはどんな向き合い方を犬としていたのか、この中古ソフトをプレイすることで知ることができると考えたのだ。
 なぜなら、私が通っていた店舗ではプレイデータが残ったままで販売されていることが多々あったからである。よく〝ポケモン狩り〟と称して安い中古ソフトを買っては通信交換を繰り返す学生たちがいたくらいなのだから、近所では有名だったのだろう。
 実際に私が迎え入れた『nintendogs』のソフトたちにも、しっかりとデータが残されていた。
 電源を入れれば、すぐにわかる。
 どれくらい、プレイヤーは犬と向き合っていたのか。
 どんな姿勢で、プレイヤーは犬と向き合ってきたのか。
 それを受けて、犬はどんな風に成長したのか。
 それを探りながら、残された犬と毎日触れ合っていく。

 私はこの趣味に、高校~大学と夢中になっていった。
 いつの間にかソフト数は増えに増え、全体のお世話にかなりの時間がかかることになったのはご愛嬌である。

 だが、私の趣味は突然に終わりを告げた。
 要は、データが消去されて販売されるようになったのだ。
 当たり前だが、個人情報という点ではしっかり消去してから販売されたほうが売り手としても安心できる。まあ、しっかり消去しないで売ってしまう売り手もどうかとは思うが。
 それともう一つ、ソフトの経年劣化からかこれまで集めてきたデータの保存がうまくできなくなったのだ。次々と再生ができなくなり、新しくデータを一新してプレイをしなくてはならなくなった。つまり、昔のプレイヤーと犬の記憶が続々と失われていったのである。
 ちなみに二〇一一年に続編としてニンテンドー3DS用ソフト『nintendogs + cats』が販売された。勿論購入してプレイしたが、なぜだか中古品の値段が下がることなくこちらは収集自体ができずにいる。
 今でも『nintendogs』関連のグッズを集めるという趣味は継続しているのだが、学生時代のように中古ソフトを買うことはなくなってしまった。趣味の終わりとは、あっけないものである。

 だがここ最近、私の興味は再び『nintendogs』ソフト自体に向かっている。
 発端は、こんな疑問だった。

犬牽として、
犬牽のルールに則って、
『nintendogs』をやったらどうなるのか???


 これまでは『nintendogs』を普通にプレイしてきた自分だったが、犬牽として向き合いプレイすると一体どんなことがゲーム内に起きるのか?
 正直に言えば同じく任天堂が二〇二〇年に販売したNintendo Switch用ソフト『あつまれ どうぶつの森』を、その道のプロ(研究者や職人など)がプレイ/解説する動画がYouTubeを筆頭に盛り上げりを見せているのを知った私の頭に浮かんだアイデアである。
 ただ私は動画配信などできない(機材費がない!)ので、こちとら無料のnoteで紹介していきたい。
 今回は長くなってしまったので、次回からいよいよプレイ開始である。
 しかし、いきなりのアクシデントが私を襲うのだった!
 乞うご期待。

その②に続く・・・

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