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遺体引き上げダイバーの生き様

先日、震災後に出会った友人でライターの矢田海里さんが待望の書籍を出版された。事故や自殺、事件などで亡くなった方々の遺体を扱う遺体引き上げダイバーを取材したノンフィクションだ。

タイトルは「潜匠」。

矢田さんの紡ぐ文章は、とにかく、リアルだ。
解像度が高く、光景がはっきりと目に浮かんでくるよう。
ダイバーである吉田さんのジェットコースターのような人生の中で、彼の成長と心の揺れを見事に描いている。

吉田さんは震災後、津波にのまれた方々の遺体捜索も行うことになる。

重いテーマにもかかわらず、読み進めていくうちに、グイグイと引き込まれ、自然と吉田さんに感情移入してしまう。没入感が半端ない作品だ。

書き手である矢田さんの主観は一切入らない文体であるにもかかわらず、10年近くも密着取材を続けていた筆者の追体験をしているようでもある。

純文学のようでもあり、映画の脚本にしてもきっとすばらしい作品になりそう。

硬質だけどやさしい、独特の読後感。最近読んだノンフィクションの中でもピカイチの輝きを放っている。

作品の中で”汚れた英雄”と表現されている遺体引き上げダイバーの吉田さんの壮絶な生き様には、彼と同じく経営者であり、少なからず被災された方々に関わってきた僕にとって、身につまされるものがあった。

改めて震災を振り返るとともに、自分の人生と照らし合わせる貴重な機会をもらえたと思う。

この本、掛け値なしにオススメです。

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(文:山本喜昭)

アウトドアとスローライフのクリエイティブレーベル。自然とつながり、自然を身近に感じることで大切なチカラを取り戻す。自らの意志で自らハンドルを握り、人生を進んでいく。そんな生き方を、映像やイベントとコーヒーを通して提案しています。