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SE/ITコンサル向け思考のフレームシリーズ 「考慮漏れをなくす思考法」

システム開発プロジェクトでよく起こりがちな「考慮漏れ」。
「そのデータパターンは想定していませんでした」「そのタスクがスケジュールに入っていませんでした」などなど。

残念ながら、こういう考慮漏れはゼロにはできないけれども、ある程度低減することはできる。
どうやるか?時間をかけて何度も見直すか?時間があるときは良いが、大抵のケースで時間は足りない。足りない中なんとか質を上げるしかない。

となると、時間はかけずともなんとか検討の網羅性を上げるしかない。
そんなときに役立つ、私の経験で実際に使いやすかった思考法を3つ紹介したい。

その1:マトリックスで網羅

これは正攻法。テストケースの洗い出しでもよく使う。
例えば使用ユーザのパターンが10通り、入力内容パターンが10通りあったとしたら、10×10=100通りのマトリックスを作れば完全網羅できる。
その全パターンやるかどうかは別問題なのだが、全体で最大100通りあるというのが分かっているだけでも全然違う。

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こんな感じでユーザもデータも、どれか1パターンは実施するという形でもよい。もちろん特定の組み合わせでしか発現しない想定結果がある場合は別だが、そうでなければこのやり方で最低限の網羅性は担保できるはずである。

その2:ロジックツリーで大きなほうを見逃さない

大きな区分けから、徐々に小さな区分けに細分化していく手法としてポピュラーなやり方である「ロジックツリー」。抽象的なものから具体的なものに落とし込んでいくとも言える。

例)

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ただ、やろうとすればいくらでも細かくできるのでキリがない。
また、細かくすることばかりに気を取られると、もっと大きな見落としに気づかないことがある。
ズバリ、上の例だと「本当に乗り物だけ検討するので良いのか?」を疑った方がよい。

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あ、そうだった、子供の誕生日に買ってあげるおもちゃの話だったんだ!
トミカはもうたくさんあるから、次はゲーム機を欲しがっていたっけ。。。
危うくマニアックな乗り物のトミカばかり検討するところだった。
ゲーム機も検討してみよう!

その3:ストーリー化して俯瞰する

どんなプロジェクト・タスクにも必ずゴールがあるはず。
ゴールから逆算して計画を立てるというのはよく言われるセオリーである。

ついついスタートからゴールの途中にある、やたら難しい一部分にこだわってしまうことがよくあるが、そういうときこそ改めてスタートからゴールまでのストーリーを頭の中でシミュレーションしてみたい。
ちょうど2泊3日の旅行に出かけるときに、初日の朝から3日目の夜までの予定をシミュレーションしながら持ち物を選ぶ時のように。

システム開発ならば、要件定義~基本設計~詳細設計~開発~単体テスト~結合テスト~総合テスト~ユーザテスト~データ移行~リリースリハーサル~本番稼働~稼働後サポートといった流れがある。
いつ、誰が、どうやってやるのか。本当にその準備で足りるか。それを未来から神の目線で振り返っているかのように想像してみる。
これは、検討の途中で本来の目的とは違う方向に行ってしまいそうな時に、正しい方向に軌道修正する効果もある。

おわりに

「考慮漏れ」は、後になればなるほど取返しがつかなくなる。
こんなことになるんだったら、もうちょっとだけしっかり考えておくんだった・・・
そんなことにならないように、頭に入れておくと転ばぬ先の杖になりうる3つの思考法を紹介してみました。

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