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元ケアマネが内装工事を施工する側になって思う事

独居老人の家やそれ以外の老朽化した家で、私が工事をしてきて気になった所をいくつか列挙します。

1.元介護士、元ケアマネの私が気になったところ

介護目線も!!

※介護保険で住宅改修(介護リフォーム)が一定の要件のもと適応されます。例えば介護の為に手すりや段差解消、和式便器から様式便器への交換等がそうです。原則現住所につき20万円の工事を上限として本人負担分を除く14万円~18万円が保険給付されます。

しかし、現場にて見積時現地調査をしていくと高齢者や介護者の事を考慮して気になる所は他にも色々あります。老朽化していて交換した方が良いものや、補修工事が必要なものもあります。

1-1.水栓交換(2ハンドル水栓からシングルレバー水栓へ)

シングルレバーは高齢者も楽ちん!!

築年数のある建物のお部屋で交換をしていない場合キッチンや洗面台、浴室の水栓が未だに2ハンドルです。

使用頻度により、錆びてきて固くなってきます。手指や握力の衰えた高齢者の事を考慮すると交換が望ましいでしょう。

1-2.電球、照明交換

寿命の長いLEDへ!!

シリカ電球やレフ球(一般電球)、昔の紐付き照明はLEDではありません。
都度、高齢者が交換する事は現実的ではありませんし心配です。

又、第一電球交換は介護保険給付対象外なのです。寿命の長いLED電球やLED照明に交換をする方が良いでしょう。立ち上がりに不安のある高齢者はひも付き照明よりもリモコン付き照明が望ましいです。

※直付け照明はシーリング工事(引っ掛けシーリングを取り付ける電気工事)が必要です。

1-3.床沈み補修工事

床沈みにより歩行不安定!!

老朽化した建物や古民家に多いです。同時にギシギシ、キーキーと床鳴りがする場合もあります。

床が抜ける事はあまり考えにくいですが、高齢者の歩行を考慮すると余りにも転倒のリスクが高いです。

下地となる根太が腐っていたり劣化している場合はベニヤやコンパネだけでなくそこから補強する必要があります。

※段差解消ではないので介護保険給付対象にはなりません。

1-4.浴室暖房

脱衣場と寒暖差のない浴室を!!

寒い冬に浴室と脱衣場の寒暖差であるヒートショックで亡くなる高齢者は後を絶ちません。金額は張りますが浴室換気扇乾燥機と一体となっているものがあり、お勧めです。

1-5.床材、巾木全般の定期的な張替え

ソフト巾木の継ぎ目の剥がれも危ない!!

水回りのクッションフロア、絨毯、フロアタイル、巾木は施工上どうしてもジョイント部(継ぎ目)があります。そこが劣化とともに捲れてきたりする事が非常に多いです。
これも介護保険給付対象ではありません。実際には小さな段差なようなものです。高齢者は足があまり地面から上がりませんのでちょっとした事で転倒のリスクがあります。

1-6.畳からフローリングやフロアタイルへ交換

畳みも劣化に注意

畳の方が慣れていて良いという高齢者もいると思いますが、劣化と共にささくれによる怪我や、畳のヘリの歪み等による転倒等挙げればきりがありません。
又、畳自体が非常に硬いため、畳下の合板等の劣化にも気が付きにくいです。少しでも畳の沈みがあった場合、転倒リスクを考慮すると定期的なチェックは必要でしょう。

少しオーバーに聞こえるかもしれませんが、上でお伝えしたように高齢者は少しの段差等で転倒のリスクが高いです。

畳みの厚さが大体55㎜程あるので床上げ工事と行って、畳を撤去した後に床の高さを上げる工事が必要です。

2.私がQOLを考慮して考えた事

好みにもよるが、明るい内装を!!

これは可能であればです。勿論、介護保険給付対象外です。独居老人の自宅は日当たりは色々ですが、やはり寂しいものでした。
そこで私は常々思っておりました。

・クロスの張替え、
・破れた障子の張替え、
・襖の張替え
は明るいものにしたいところです。

上でお伝えしたように、床に関しては転倒リスクを考慮し張替えや交換の機会があるかもしれませんが、クロス等は壁なので忘れられがちです。

障子に関しては、破れているくらいであれば本人に拘りがなければ撤去してカーテンをした方が開口が広いですから日差しが入ります。


まとめ

今回は高齢者向け住宅の介護保険給付対象外で、私が現場に見積に行った時に気になった所の代表的なものを列挙しました。

賃貸住宅の場合は、大家が全額負担する事になるので、一筋縄ではいかない事も承知です。しかし、ご本人、ご家族、介護事業者が高齢者の安全な住環境の為に少しでも考える機会が出来れば良いと願っております。



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