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30代でのMBA留学における費用対効果④ジョブチェンジ

最初に断っておきますと、私はそもそも社費派遣なので就職活動してませんし(※)、今までのキャリアでも転職したことがありません。なので、MBAがもたらす転職市場でのインパクトを実体験としては語れません。しかし、それ以外の部分は日々感じていること、見聞きしたことをお伝えできるので、そのあたりを厚めに書いていきます。
※現地スタートアップに自ら突っ込んでいって職(?)を得ているので、そのあたりは触れていきます。

~過去記事~

有名企業の現地採用

MBA=就職市場で無敵!という幻想

平たく言うと、Google、Apple、Amazonみたいな会社の本社社員として採用されたい!という淡い幻想をいただいている人はたくさんいると思います。
もちろん、アメリカ人で、アメリカのトップスクールでMBA取ったのであれば、トップ企業(≒アメリカの企業)の採用市場では優位かもしれません。一方、アメリカの企業がわざわざ日本人をVISAのサポートまでして採用するメリットがあるのでしょうか?それを凌駕するだけのユニークネスやスペシャリティがあるのでしょうか?そもそも英語流暢に使えるのでしょうか?30歳過ぎてくるとマネージャーのポストになるのですが、本当にインターナショナルな環境でマネジメントできるのでしょうか?もちろん、これらの質問にYesと答えるツワモノはいると思いますし、企業も選べばいろんなところがありますし、自分のタイトルを下げれば市場は広がるかもしれないです。一概には言えないですが、総論としてはキツイよ、ということです。今年はテック企業が軒並み採用を絞っていることもあり(最近はコンサルまで、、、)、私の周りはみんな苦戦してます。その姿を横で見ているので、あんまりジョブチェンジについては楽観的なことは言えないですね(もちろんMIT Sloan Fellowsの平均年齢の高さが拍車を掛けている可能性は否めないですが)。

上記の現実を踏まえたうえで、具体的にMBA生が受けられるサポートや得られるチャンスについて書いていきます。

キャリア相談の体制

これは学校によってHow toは異なると思いますが、いずれにせよ誰かしら就活相談に乗ってくれる人がいるはずです。MBAのランキングは、卒業生の就職率・給与水準でも変動するため、学校側も本気です。
例えばMIT Sloan Fellowsですと、一人一人に専任のキャリアコーチがついて、レジュメの書き方からアプライのタイミング、面接指導、はたまたMITのデータベースを使った人脈・企業の紹介等、相当手厚いサポートが受けられます。しかも、きちんと授業と同じぐらいの位置づけでコマが割り振られており、しっかりと時間を取ってサポートしてくれます。セミナーや就職フェア、リクルーターとのマッチングなども、毎週のように何かしらのサポートを提供しているイメージです。

アラムナイネットワーク

前述のキャリアの相談体制のところと一部重複しますが、〇〇大学限定のセミナーとかよくありますね。LinkedInもMITアラムナイ専用のグループがあったりします(盛り上がっているかどうかは不明)。
あと、スタートアップ企業に多いのですが、「〇〇年卒業の人が、△△のバックグラウンドの人を探しています。気になる人は個別にDMしてください。」みたいな連絡はたまに来ますね。

日本での転職

これは勘所無いです、すみません。LinkedInでぼちぼち連絡が来ることを鑑みると、多少は意味あると思います。でも、結局は年齢と専門性と適正とポジションと、、、という当たり前の話になるかと。
ちなみに私のような純ドメの人でも留学を経ると、日常業務は日本語で本社とのやり取りが英語ぐらいの環境であれば、転職の選択肢に入るかなと思えるようになるので、その点では可能性が広がるのかなと思います。
学校から得られるリソースも特に無いです。あるとしたら、同級生のリファラルもらえるぐらいですかね?私も友人がうちの会社に入りたいと言ったら、色々サポートしてあげられると思います。

起業する

こちらも私は起業したことないので、得られるリソースについて触れていきます。ちなみに一般論として(当たり前ですが)異国の地で成功するのは、自国で成功するよりも何倍も大変だということを踏まえたうえで読み進めてください。

起業に関する知識

MBAにはイノベーション、アントレプレナー関連の授業も多く存在しています。MITは力を入れている学校の一つということだけあって、シードフェーズの立ち上げから、資金調達、テックドリブンのプロダクトの効果的な商談方法、特許の取り方、ステークホルダーのネゴシエーション等、様々な教授が様々な授業を展開しています。シリアルアントレプレナーが実際に教えるケースがほとんどなので、起業に必用な知識はしっかりと身に着けることができるようです(リアルなアントレプレナーの同級生が言っているので、間違いないかと)。
実際にこれらの知識を使って、毎年何人かは起業しています。ただし、勉強した誰もが成功するのであればとっくにたくさんのビリオネアが生まれて生きているので、知識と実践は別物であるということはしっかりと肝に銘じてください(当たり前すぎて申し訳ございません!)。
あくまで体系的に知識を整理でき、不足分を満遍なく充足できるというのがポイントです。
あとは後述しますが、メンタリングプログラムやネットワーキングイベントも豊富ですので、そういう場でも知識はたくさんインプットできると思います。

仲間づくり

仲間づくりと言う意味では、もちろん同級生は一つの有力なオプションだと思います。長い時間を一緒に過ごすのでお互いの人となりもわかりますし、いい感じの比率でエンジニアバックグラウンドの人とセールス・企画バックグラウンドの人がいるので、いわゆる理想的なチーム構成みたいなものも実現しやすい環境だと思います。
MITにおいては、アントレという名の付くネットワーキングイベントは頻繁に開催されています。また、近隣学校との共催でネットワーキングイベントなんかもちらほらあります。例えばMITですと、Harvardが提携校になるので、よく共同でイベントしていて、実際に学校を超えてチーム組んでいる人も見ています。

資金

資金と言う面では、おそらくアントレに力を入れている学校であれば、どこでも賞金付きのピッチイベントがあると思います。MITの場合は、サンドボックスと言うメンタリングプログラムが用意されていて、そのステージを通過するとまとまった金額が受け取れるようになっています。その他、アラムナイが立ち上げたMIT生・卒業生の手掛けるビジネスのみに投資するVCもあったりして、日本とは規模感が違うなーと感じております。
あとはちょっと角度が違いますが、サーチファンドも盛り上がっているので、そのあたりの話もちらほら聞きますが、日本人が現地でサーチャーになれる確率は、、、まあ、難しいですよね。

私のケース

上述の通り、私は社費派遣で就活してないと言いましたが、別記事で紹介している通りボストンにあるスタートアップが日本市場に参入する手伝いをしています。そしてそれはそのまま帰国後も副業として続けていく予定です。

視野の広がり

上でも触れましたが、今までは英語で仕事をすることは想像すらできなかったので、その意味では視野が広がり、自らこのポストを取りに行けたというのは大きな成長かなと思います。ジョブチェンジの成功の定義も人によってまちまちだと思うので、私ぐらいのレベル感のことを目指すのであれば、皆さんにとって大いにチャンスがある話だと思います。
ただし、単純に英語力がついたからと言って当然ながらバリューを発揮できる領域は限られるので、自分の場合は「日本進出を考えている企業」かつ「toCの商材」に絞っていました。本来であれば保険会社バックグラウンドなので、Insurtechのスタートアップは有力な候補なのですが、副業の規定に引っかかる(本業との競合関係)ため断念。そして、オンライン英会話という自分がユーザーとしても強みを発揮できる商材かつ、たまたまボストンにオフィスをオープンしようとしていて、日本市場に参入しようとしている、というすべての条件がドンピシャだったので、自ら売り込んで手伝いをさせてもらうことになりました。

在学中にスタートアップを手伝うことのメリット

一つはMBAの学びの実践です。結局MBAなんてただのお勉強なので、実践しないと意味が無いです。いち早くMBAの知識を実践できるということと、小さな規模ではあるものの実践領域が豊富に用意されていることから、学びの最大化という意味では意味があると思います。
また、お試し期間としてもノーリスクで良いと思います。私は将来の副業先を探していたので、本格的に自分の本業が始まる前にいろいろと経験できたことは大きいです。なお、給与をもらうとVISAのレギュレーションに違反しますし、どのレベルまでならOKかどうかは各自の責任でご確認ください。
最後に、学校以外の人脈ができるのも大きいです。学校と家の行き来ですと、正直生活がマンネリ化してきますし、コミュニティの狭さにちょっと息苦しさも感じます。このやり方に限らないですが、色々なコミュニティに出入りするのは大事だと思っています。

MBAの威力

ちなみに私が手伝っているスタートアップ・Ringleの創業者は2人ともStanfordのMBAホルダーです。そして、ボストンにいるグローバル事業の統括もMITのMBAホルダーです。ぽっと出の日本人がサクッとお手伝いし始めてタイトルまで付与してくれたのは、確実にMIT Sloan(MBA)の看板があったからだと思いますし、現にそのようなニュアンスのことを言われました。あれば無敵の称号ではないですが、無いよりあった方が一応信頼度は増しますね。ただ、繰り返しになりますが、あったら加点されますが、無いとダメなわけでもないですし、あったら必ず採用されるものでもないです。あくまで信頼度を増すためのスパイスぐらいの位置づけですね。勘違いしてはいけません。


今回も章立てしている割に、大してロジカルじゃない論理展開・文章構成となっておりますがご容赦ください。この一連のシリーズは次で最後にして、いったん全体のまとめを書こうかなと思っています。


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