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5. 究極の汎用人型最速泳法(汎用ヒトガタ)

目指すべき究極のフォームはこの中にある。

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「またかよ」ではない。最も抵抗の少ない泳ぎがこれなのだ。

競泳は、空気の中で争う陸上競技と違って、水の抵抗が大きな問題になる。「水中で速く歩こうとすればするほど、抵抗が大きくなって前には進まない」から、若い競泳選手が歩いても、おじさんが歩いても、水中なら差が付かない。


泳ぎの世界で「速い」とは、「抵抗の少ない泳ぎ方をしている」ということ。「タイム」に気を取られていると見誤るけどね。


技術的なゴールは、「究極に抵抗を減らして泳げば最速で泳げる」。この一点を目指して改良すれば速くなる。

どうやって?

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泳速が最大となる「ストリームライン姿勢」で「一番分厚い部分」は、「胸」。

この「胸の厚み分の抵抗」は避けられないから、「水流を乱す動作は、この範囲内」でやれば「抵抗を最小」にできる。


この赤い範囲内で手足を動かしても、そこは元々、水流が乱れる場所だから問題ない。そうでしょ?

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「そんな大和理論、嘘くせぇ!」と思った君は、潜水ドルフィンキックが15mに制限された歴史を知らな過ぎる。勉強不足だ。

潜水ドルフィンはとんでもなく速い。

この50Mバック(7コース)のタイムは「23秒10 」で、「2011年」に投稿されていているけど、そこから10年も経った「2021年現在の世界記録は 24秒00」、遥かに速い。10年経ってもまだ、世界記録より速い…恐ろしい。


理由は明白で、「ドルフィンキックが発生させる水流の乱れ」は、「上半身側がほぼゼロ」「下半身側も胸の厚みの中に収まっている」からだ。

「抵抗が最小」。本物のイルカだって、そうやって泳いでる。


「潜水泳法は今、15Mに制限されてるんだから、手足を回して泳ぐのとは別の話じゃないか」なんて屁理屈をコネている選手は、競泳に本気で取り組んでいない。

僕はもう、10年以上前に「大和部屋」でこの技術について説明していて、世界はかなり前から「キックもプルも胸の厚みの中」で泳いでいる。

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「肘」はストロークの最後までずっと水面ギリギリに置いたままだし、キックの「膝」も「推進力を真後ろに蹴り出すため」に意外と深く曲げて打っているけど「胸の厚みの中」に収まっている。(2008年北京五輪200Mフリー準決勝)

世界ではずっとフォームの改良が続いていて、「究極のフォーム」にどんどん近づいているのに、「どこに向かえば良いのか」も知らずに速くなれると思うのは甘い。


「乱してはいけない水流」が自分の体に触れるのは、背中側と胸側のそれぞれわずか1点(赤丸)。

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模式図だと背中側が不正確で分かりにくいから、写真のここ、赤丸の中ね。すごく重要。

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ストリームラインに入る時、「ミゾオチを背中側に押し込む」けど、「その力が背中側に突き抜けて出て来た部分」が、ここ。実際に泳ぐ時には「水面に一番近くて高い位置」になっていて、唯一、空気の存在を感じる部分。

「ここを水上に突き出す」ようにして手を動かすと、「背中の筋肉」で強く、素早く、コンパクトに、姿勢を崩す事なく、手を引っ張る事が出来る。

イメージ的には、「潜水艦の飛び出している所から潜望鏡を上げて前を見るようにして泳ぐ」とうまく突き出て、ストリームライン姿勢を崩さずに体を動かせる。


もう一方の接点、「胸側」の部分は「水流をツルーンと滑る所」で、ちょうど「浮心の位置」になる。

これがね、このツルーンがね、ものすごく気持ちいいのよ。


2000年以前の泳ぎなら、「水面から肘を離して」水中の深い所で手を動かしたり、キックを深く蹴り下ろしたりして失速していたから、この「ツルーンって滑る感覚」はなかった。

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「ツルーン滑り快感泳法」のさらに難しいところは、自分の体から離れた後の「キックから発生させた推進力」が「真後ろに飛んでいく」ように制御する部分。

特に「上半身が上下に動く平泳ぎやバタフライ」の場合、つい、斜め下に蹴り下ろしたくなるけど、「斜め下へ吹き出した推進力」は「ツルーン水流」の流れを殺してしまうからNG。

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この減速は、キックの推進力が「足先から離れた直後」に起きる現象なだけに感覚で捉えるのが難しいけど、ツルーン水流にぶつかった反動で「無意味な、お尻の上下動」や「無意味な、爪先の蹴り上がり」が発生するので、注意すれば感じ取ることができる。


推進力はロケットのように「真後ろ」へ飛び出していかなければ体が前へ直進しないし、ツルーン水流を乱してしまっては、気持ち良くない。

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このテクニックを使ったキックを僕自身が打てるようになった頃の初期映像(2016)を見ても、ほらね。

「キックの推進力」が「真後ろに吹き飛んでいく」のが、「泡の動き」で見れるでしょ。

トップ選手の映像なら、もっと素晴らしい手足の動きが「泡の動く様子」から読み取れるので、そういう細かい所まで見て、泳ぎを盗む。

目には見えない秘密のテクニックも、理想的な呼吸のタイミングだって、泡の動きで見えちゃうんだから。


「究極の泳ぎ方」は「4泳法とも全て同じ」で、体の上下に流れる2本の水流を乱さないように「間(あいだ)」に入って手足を動かし、「狭間の中」にまっすぐ「推進力を飛ばす」。


プル動作なら「肘から指先の長さ」は変えられないから、「肘は水面ギリギリに置いたまま、水面から離さずに動作」させる。

そのためなら、「最小限」のロールだってする(フリーとバックね)。

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文字ではうまく説明しきれないから自分でテレビ映像を見て理解して欲しいけど、

「2021年オリンピック選考会の女子100M自由形の池江璃花子選手」の手が入水してストリームラインを取りにいった時、「背中側の肩関節」にできる「くぼみ」

すごくはっきり見える、あれ、あれなんだよ!

「肩関節をゴムで繋がってるみたいにうまく外す(適切な表現がない)」と、

「姿勢を崩す事なく」、腕を水面ギリギリまで引き上げる事が出来て、

しかも、「呼吸動作で動く身体のブレ」を「肩を外したゴムの部分」で吸収し、

「水面にぴたーっと肘を固定したまま」、手を引く事ができるから、自分で研究して出来るようになってね。フリーの例で説明したけど、4泳法とも同じよ。


キックの場合は、「膝から爪先(ブレストはカカト)の長さ」は変えられないから、この部分を胸の厚み内に抑え込んで動作させる。

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「関節可動部分」を「体内動作」でうまく「外したり」、「引き込んだり」する技術を身に付けて(文字で表現できないけどすごく重要)、

「水流の狭間」にストロークを「効率良くタタミ込んで動作」し、

「水流の狭間」へ「まっすぐ後ろ」に「推進力を噴射」した選手は、

「その反動」を受けてまっすぐ前に「直進」するから、誰よりも速く泳げる。


これが競技競泳の技術的な最終ゴール。これが「究極の汎用人型最速泳法」、エヴァンゲリオン。

本当は誰にも教えたくないテクニックだけど、サービス、さーびすぅ。

produced by yamato bear. 2021.05.03

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