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3. 混沌の中に流れるシンプルWay

水はまっすぐ流れたい。

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まっすぐ。

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まっすぐ。

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これが水の気持ち。水の性質。


水中世界の支配者を力で押さえ込もうとすれば、強い抵抗にあって確実に失速する。


目には見えない所にこそ、物事の根底で共通している本質が隠れている


そこをよく理解して、「感覚」を研ぎ澄ましながら次の絵を見れば、

「複雑で混沌としているように見える世界」

の中に「逆らわずして進めるシンプルな道筋」が現れる。

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この2本の水流は、「機械的な水の流れ」ではない。

「実際の水の流れ」と「力の入れ方」を同時に表現した「感覚現実図」だ。


肘を通して胸の下に水を流し込むと、

腕に水が巻き付きながら胸の下へ流れ込むから、

「腕に巻き付いた水」を支えにミゾオチから下の下半身を支える事が出来て、

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「支えによって軽くなった下半身」を水流が押し上げながら抜けていくから、

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力を使わず体を高い位置に、まっすぐ、安定して、保つ事ができる。


理屈としてはそうなんだけど、理屈からはこの「水流サポート現象」は作り出せない。

実際は、「まっすぐ流れたい水の性質」を利用して、「自分の力」と「水流の力」がシンクロした時だけ、このサポート現象が現れる。


具体的には、ピンク色のラインに沿って、自分の体内に「力のスジ」を通すと、

「水流のスジ道」と「体内に通す力のスジ道」が絶妙なバランスで釣り合って、

この「調和感」から水流と一体化する。


物事の表面から見える「理屈」じゃなくて、感覚側から捉えた本質なら、「筋肉」の文字の中にさえ「スジ道(筋道)」が見えるはず。


ピンクで示した水の流れをよく見ると、途中に矢印が描かれているでしょ。

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これにもちゃんと感覚的な現実があって、

「ミゾオチ(肋骨)」と「骨盤の上部」に体内の力がピンポイントでぶつかって、ビリヤードの玉付き現象から後方へ力が出力されていくし、

シンクロした水流も正確にこの位置で体を押し上げながら足先に抜けていく。(もちろん、足先に抜けていく感覚もある)


このシンクロ感が、か・い・か・ん。快感!



表現の正確性を少し落として分かりやすく言えば、

力を出し過ぎて「速すぎるスピードで前に出過ぎてもダメ」、

疲れて動きが固くなって「水中後方に体が落ち過ぎてもダメ」。


「水の流れるスピードに、自分の出力をしなやかに合わせること」が重要で、

「自分の体から後方に出力される力」と、「前から流れてくる水のスピード」がシンクロした時だけ、

まっすぐ流れようとする「水流の表面」を体が滑るようにしてスィーっと前に押し出される。

2本の板で雪の上をスルッと滑るようにね。


「力を余らすそんな泳ぎ方じゃ、速く泳げないじゃないか」なんて事はない。

100点の積み上げからは最高のパフォーマンスは生まれない。

そのやり方の先にあるのは人生と同じ。「破綻」だ。


「目の前の全力」なんかに力を注いでいたら、ゴールする前に失速して速くは泳げない。


「100%の正確なストローク」を「80%の出力でゴールまで」出し続けた時、「レース全体として自分の能力を100%」出し切れる。


ポジティブな足し算の中にある引き算、「引き算」こそ、経験豊富なベテラン選手だけが見せる技だ。


この泳ぎ方には、もうひとつ重要な面がある。

「勝ち負けやベストタイムといった結果と無関係に、泳ぎそれ自体に快感を感じる」ってところ。


前向きに見える「金メダルを取って目標を達成したから引退」も、

後ろ向きに見える「ベストが出せなくなって引退」も、

「ポジティブかネガティブか」の表面的な見栄えが違うだけで、

そんな生き方、誰でもやる、普通の事でしょ。


この泳ぎ方は、そんな「結果に左右される生き方」とは真逆の立ち位置にある。


この泳ぎは、泳ぎ自体がダイレクトに気持ちいい。

「速い」とか「勝った」ことに快感を感じてるんじゃなくて、

「うまく泳げてるかどうか」が、快感のレベルを左右する。


別の言い方をすれば、「泳ぐというプロセス」が「泳ぐ動機と直結」した泳ぎ。

「結果」の方じゃなくて、「プロセスが動機と直結」してる。そこが重要。


人生に置き換えて考えれば分かりやすいんだけど、

「目標を達成して夢が叶ったら、生きる目的を見失って、自殺しますか?」ってこと。

「夢が破れて生き方が分からなくなったからって、死にますか?」ってこと。


命の賭けどころは、そこじゃないでしょ。

結果がどうであれ、生き続ける。それが「生きる」って事でしょ。


水泳も同じ。

「生き方」も「泳ぎ方」も根底にあるものは同じで、その人が持つ価値観が反映されて作られる。

この泳ぎ方には、「どう歩み続けるのか」という問いに対する「生き方」がシンクロしてる。


「結果の善し悪しとは別に、快感を感じる泳ぎ」

僕が目指している水泳はそれ。

「泳ぎたいから泳ぐ」のが目的で、「好きこそ物の上手なれ」が、結果的に速くなるのは当たり前。そこ。


書き間違いじゃないよ。

勝ち負けの結果に拘らずに、勝負に拘れ

がんばれ。

produced by yamato bear. 2019.12.01

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