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低賃金労働移民政策の将来

我が国の政府は昨今、リベリアかチベット、あるいはソマリアのような確固たる国際的地位を目指し、30年以上にわたり一貫して、それに見合う経済政策・財政政策を取り続けてきた。

これにより、日本は見事な低成長を遂げ、あとは後進各国の成長を見届けて大国に飲まれるか解体するだけと、ついに戦後日本は占領政策により与えられた歴史的役割を終えようとしている。

その政府による一連の政策の一つが技能実習生制度に代表される低賃金労働移民の拡大である。

かねてからの少子化と氷河期世代の棄民政策によって計画された人手不足のおかげで、現場では非正規労働者、とくに畜産など一部産業では低賃金労働移民がいなければ仕事が回らないという理想的な環境が常態化しつつある。

しかし、低賃金労働移民が来るのは日本で「稼げるから」、稼げなくなれば低賃金労働移民は来ない。

政府が現状の政策を維持した場合、アジア圏の成長もあり、あと20年もすればアジア圏には日本での就労を望むような人材は皆無になるだろう。

そうなるとどうなるかといえば、移民に依存した経営・産業は成り立たなくなってしまう。

その後の日本のありようは、奴隷解放後の南部農業経済に、さらに機械化が起こらなかった場合を考えればよい。

いわば、昨今の労働移民政策は将来の産業基盤を破壊する布石なのである。

これを避けるのは至極簡単で移民を入れる事に執心するよりも、国債を原資として、各産業の自動化省力化に大規模投資すればよい。

例えば、介護等様々な業種へのパワードスーツの導入、厩舎の自動給餌・清掃システム、農業機械の遠隔操作など、様々なものがあるが、重要なのは所謂3K(汚い、きつい、危険)を3Kで無くするような技術的サポートを促進する事である。

農業などで後継者不足といわれているのも、「労力と対価が見合わない」状況から来る必然であり、後継者の不足とは本質的に適切な産業投資や補助の不足なのである。

現状を労働移民で穴埋めする事は一時的に状況を改善するように見えて、実際には産業基盤の穴を押し広げ、破滅を招いているだけである。

財源の国債発行が後世のツケになるとかいう古典派系経済学しか履修していない人向けの戯言もあるが、貨幣の信用はその国の産業への信用でもあり、一時の出し渋りで産業基盤を失えば、貨幣価値も失墜、高インフレからそれ以上の国債発行が出来なくなり、増税するも生産力が無いため税収は上がらず、さらに外貨建て国債に頼るようになればデフォルトもありうる。

インフラ維持や社会保障費用はカット、国民生活は困窮、生活インフラは売りに出され、日本人は生きるために尊厳を売り渡すしかなくなる、そして、日本人という生物は諸人に弄ばれ臓器を提供するための家畜になるのである。

結論として、政府は国債を発行しないという、ただ、それだけで日本を滅ぼせる。

戦後日本の国制の精神は1947年に転向される以前のGHQが持っていた方針に由来している。

それは「日本的要素の消滅と産業基盤の破壊」による日本の国際的地位の低下であった。

当時、制定された日本国憲法、それによって形成された政治・経済・教育その他、国家の枠組みによるあらゆる行為は国制の精神を守り成し遂げるよう70年以上をかけて国民の習俗を変革し続けてきた。

その当初方針の影響は冷戦と戦前に教育された日本人によって、近年まで抑制されていたが、冷戦が終わり、戦前の日本人が引退したことで、顕在化してしまった。

最早、連合国も別に望んでいないのに、戦後政府は大昔に与えられた国制の精神によって、自滅への道をひた進んでいる。

それが意図的か無意識のものかは不明だが、日本が滅亡への道を進んで来たこと、これからも進むであろうことは確かである。

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