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和佐高志『メガヒットが連発する殻を破る思考法ー伝説のマーケターが語るヒット商品の作り方』ダイヤモンド社

P&Gジャパンや、日本コカ・コーラで、マーケティング責任者を務めた著者が、メガ・ヒットを連発した経験から、いかにしてヒット商品を生み出すかの秘訣を披露した書籍です。

まず、消費者を理解することが出発点であり、消費者目線で見ればよいようです。①受容性/消費者からの受け入れやすさ、②店頭にどのように置かれているかという配荷、③価格/買い物しやすさの3点(3Aアナリシス)を徹底していくのが、基本のようです。

消費者を理解するためには、徹底したデータをベースにし、消費者の習慣と行動についてのデータに基づいて発想することが求められるようです。

マーケティングの大きな定義は、「継続的にモノが売れる仕組みづくり」であり、そのため、WHO(ターゲット)、WHAT(何を)、HOW(どのように)を繰り返し突き詰め、競合が来ても負けない差別化をするため、戦略的な強み(エッジ)を設定しないといけないようです。

日本コカ・コーラの緑茶「綾鷹」は、「急須でいれた緑茶にもっとも近いのはどれ?」という味覚調査を行い、テレビCMにした。「綾鷹」は唯一の濁ったお茶。お茶は本来濁っているものであるが、工場で濁りを取り除いていた。濁っているほうが、本物に近い。急須でいれたお茶に近いこと知らせれば、必ず売れる。

著者は、「綾鷹」で学べた4つのポイントがあったと言います。①競合と差別化できる、独自のポジショニング、上林春松監修の高級路線、②集中と継続投資、緑茶のブランドを1本に統一、③わかりやすいビジネス指標「3Aアナリシス」、④最後まであきらめない、信念を貫く情熱だそうです。

日本コカ・コーラの「檸檬堂」は同社初のアルコール飲料であるが、競合を見ずに、消費者をしっかりと見た。レモンに特化しているという「エッジ」を立てた。アルコール度数5%、レモン果汁10%を定番とし、炭酸ガス圧にこだわった。

著者は、イノベーションは、新しい価値の提供であり、つまり消費者にとっての便益であると言い切ります。イノベーションは、意外な組合わせで出来ているとも言います。

著者は、ビジネスを必ず成功に導いてくれる8つの信念を上げます。
①パッション・情熱とたるまぬ努力
②チームのパワーを信じる
③基本の徹底と戦略の集中
④誰もが考えないことを考える力
⑤ノー・フォローワー、ノー・リーダー(リーダーが周囲を巻き込む)
⑥真実の瞬間
⑦感情的な部分を大事にする
⑧誰かが成功するために光を照らす

著者が最後に言う「凡事徹底が非凡を生む」、「悲観は気分。楽観は意志」の2つ言葉にも考えさせるものがありました。

ゼロから発想することはできないが、自らの経験と、目の前の問題を見て真剣に組み合わせれば、殻を破った新しいイノベーションを起こすことができるということがわかると思います。商品開発に興味がある人にとって、必読の書籍と言えるのではないだろうか。


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