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【秋葉原アンダーグラウンド】 第7章 11話

「まさかここで君と再会するとはね。」

「覚えていてくれて嬉しいよ、シン。20年ぶりくらいか?中学元日本一位の剣道の腕前だったお前が、今やテロリストのトップとはな。」

「ミロク、そういう君は独裁者の下で無益な争いの指示待ち人間にまで堕ちてしまったのかな。弟のユキくんは元気かい?」

「ふん、オレは正義の名の下に動いているだけだ。ロンとはたまたま利害が一致しただけだ。弟も今頃お前の部下の相手をしているだろうよ。」

「そうか。君に加えユキくんもいるのか。これは一筋縄ではいかなくなってきたかな。」


シンとミロクは中学の頃、剣道のインターハイ決勝で戦った仲だ。高校に入るとシンは剣道を辞めてしまったが、ミロクはシン無き時代に日本一となった。弟のユキは剣道とは無縁だったが、茶道や華道、その他芸術の分野で名を知らしめた人間だった。どちらも正義感が強く、将来は警察官になると噂には聞いていたがあったが、まさかここで再会することになるとは。


「ここに立っているということは、君も能力者になったということなのかな。あれほど正義感が強かった君たちが、人の道を外れた行為に手を染めてしまうとはね。」

「それはお前も同じだ、シン。この力は人が扱っていい代物ではないとわかっていただろう。なぜこの研究に固執した?」

「私は人が皆平等に生きていける社会を作りたかった。その考えは今でも変わっていない。もちろん、全てが終わったらこの力は消すつもりだ。」

「詭弁だな。もはや何も言うつもりはない。早く剣を抜くんだ!」


そう言うとミロクは腰に構えていた刀を抜いた。刀身が赤く、燃えているようだった。


「まさか朱尺は君を選んだと言うわけか。レンの朱雀とは比べ物にならないくらい強大そうだな。」


シンはそう言うと、白光を抜き構えを取った。


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辺り一面静寂に包まれている中、男は一人そこに立っていた。月明かりに照らされ映し出された顔は優しそうな一方でどこか憂いのある表情をしていた。リツは一定の距離を保ち、男の出方を窺っていた。すると、リツに気付いたかのように男が話しかけてくる。


「こんばんは。あなたはリツさんですね。はじめまして、僕はユキと言います。」

「これからブン殴られる相手に挨拶か?随分と余裕だな。」

「これは失礼いたしました。そんなつもりで声をかけた訳ではありません。本当にごめんなさい。」

「なんか気が狂うな。お前も私たちを止めにきた一人なんだろ。本当に大丈夫なのか?」

「ええ、それには自信があります!任せてください。ここから先は通しません。」


リツはなんだかなという仕草を見せたが、次の瞬間には両手に重力を集めだした。これまでにない程の圧縮。瞬く間にそれは新円となり、音も衝撃をも飲み込む。辺りは再び静寂に包まれた。


「すごい圧ですね。一発でも食らったらアウトだ。でも僕の力も似たようなことができます。」


ユキはそう言うとチャクラムのような武器を取り出し、それを消してみせた。


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「なんでお前がここにいるんだ?」

「なんでって、そら異能持ちのテロリスト相手にするんやったら、同じ異能持ちが出ていくしかあらへんのちゃう?」

「そういうことを聞いているんじゃない。なぜ地下で準1級をやってたお前がここにいるんだと聞いている。」

「あぁ、そゆことか。地下はとてもじゃないけど息苦しくてな、ロンがうまぁく解放してくれたんや。」


男の名はルシウスといった。地下で準1級師兵として、そしてその中の1位として君臨していた。温和な性格の持ち主で格上格下問わず慕われ、次期1級師兵として呼び声が高かった。


「1級には単独権限が与えられてることは知ってるよな?」

「裏切り者には死を、やろ?かまへんかまへん。所詮あんたの力じゃオレには敵わへんよ、1級のゲッパはん。」

「舐められたものだな。いくら次の1級と言われてようが、そことは絶対的な壁があることを教えてやるよ。」


ステイルはそう言うと自身の分身を作り出した。


「そないぎょうさん出されるとこっちまで出したくなってまうやないか。」


そう言うとルシウスは、自身の影から大きな銃を持った屈強な男を引き出した。


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シュンは目の前の相手に興奮と苛立ちを隠せないでいた。この男はあの日、カラスと一緒に行動していたやつだ。人の人生を狂わせた張本人。シュンはこの男に一発入れないと気が済まないとでもいうような顔をし、拳を固めていた。


「ようやく会えたな。ずっと会いたかったんだぜ。」

「何、あんた?どっかで会ったことあったっけ?」

「そっちからしたら虫でも相手にしている感覚だったのかもしれねぇが、こっちからしたら迷惑極まりねぇ行為だったんだよ!」

「虫?あぁ、お前地上の人間か。地上の人間だと風使いしか能力を発現しなかったって聞いてたけど、こんなやつもいたのか。お前、マジで虫みたいなやつだな。」

「ぶっ殺す。」


シュンは両足をぐっと曲げ、そのまま超高速でリオンに向かい突っ込んだ。


こうして4人それぞれの戦いが始まった。


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