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元不登校児の私はとある素晴らしい小説が読めない

金曜ロードショーで放映された映画「かがみの孤城」
この映画には原作があり、私も持っています。

※このnoteは小説を酷評するものではありません
※ネタバレと思われる箇所があります

「かがみの孤城」は主人公に感情移入しすぎて数ページで読めなくなりました。
母に渡したら母は大絶賛していました、わかります。
あの小説は情景の浮かぶ文章も生々しいほどに感情溢れる登場人物も、痛々しいほどに伝わってくるテーマも心に響くものばかりです。

だからこそ私は読めませんでした。

主人公自身が抱える学校に行けないことへの言葉に出来ない気持ちや親の目、分かってほしいけれど怖い気持ち。

映画では多少カットされていましたが、小説ではもっと詳細に描かれていました。

もう初っ端から「共感」しかなかった。

苦手、や嫌い、といったものではなくて、素晴らしい作品だからこそ自分が小説の中に居るように錯覚してしまう。

この文章を書いている今も涙が出ています。

映画の「かがみの孤城」はスクリーンで母と一緒に観ました。
母は小説を読破済みでしたが、それでも満足していたようで小説の方を読んだ後でも楽しめる内容のようです。

私は最初の数ページを思い出しつつ、映画の中で苦しむ主人公にも共感して始まったばかりの時点で泣いていました。

私にも戦ってくれる母がいました。
理解してくれる人もいました。
仲間もいました。

でも母がいくら戦っても理解してくれない教師の方が多かった。
理解してくれる人は事情があって離れることになってしまった。
仲間はこちらの事情と金銭的事情で離れることになってしまった。

まず教師が理解してくれなかった理由として、私はASDと呼ばれる『自閉症スペクトラム症』という発達障害をもっていて、私は強迫的なまでにルールを守ることにこだわっていたために真面目な優等生に見られていたんです。

そんな優等生が発達障害な訳が無い、お母さんに問題があるのでは?……と、何度も言われたそうです。
中学校の教師に至ってはそもそも解決する気すらありませんでしたし。

私はいつも罪悪感を抱いて、親に迷惑をかけている自分が大嫌いで、何故学校に行けないのかも分からなくて、そして何もかもが怖かった。

そんな心情が最初の数ページを読むだけで伝わってきます。
私としては強くオススメしたい、しかし私自身は数ページ読むのも辛い。

本当は読破して余韻に浸って、思い切り泣きたいぐらいに傑作と言っていいような作品なのですが。

表紙のデザインも最高です。
ハードカバーの方は、見ているだけでも不思議な世界に引きずり込まれそうなファンタジーさ溢れるデザインですし、上下に別れた文庫版は同じデザインなのに不思議な世界にいつでも入り込めます。

私は不登校で悩む方に是非!というよりは、不登校の子どもをもつ親御さんに読んでいただきたい……かもしれません。

ちなみに映画は私は泣きながら最後まで観ました。
アニメーション映画であることやストーリーのテンポが良くて、しっかりと楽しむことができました。

最後に。

母へ
私のことを理解してもらうために戦ってくれてありがとう。
そして、私のことを見守りながら懸命に考えてくれてありがとう。

理解してくれた先生方へ
当時は分かりにくかった発達障害について理解を示してくれてありがとうございました。
私自身のことを見てくれてありがとうございました。

最近になって『可愛くなりたい』 という目標を持つことが出来たり、やっと振り返ってみることができたりと前に進めるようになりました。

何より、理解者が増えて精神が安定するようになって心穏やかに過ごすことができるようになりました。

まだ『かがみの孤城』は読めません。
今はストロベリーティーでも飲みながら、ゆっくりと乗り越えていこうと思います。








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