先日、駅に着いたとたんに雨足が激しくなり、傘をさしていてもずぶ濡れになってしまった。

かばんの中のものまで濡れてしまい、狭い部屋をいったりきたりしながら濡れたものを拭いたり、床やテーブルに並べて乾かしたり、びしょぬれになった服を洗濯したり大変だった。体は冷えるは、部屋はちらかるは、明日までに乾かなかったら代替のものが必要なものを準備しなくてはならないはで、へとへとになってしまった。

しばらくしてどしゃぶりが治まったとき、なんだかしらないけれど、情けなくて、敗北感を感じた。ずぶぬれになり、乾かしたりするのに時間をさいて、へとへとになったところで雨がこぶりになっている・・・。

この報われない感、情けない感。私は雨に負けたのだ。

逆に、家についたとたんにどしゃ降りになった時は、ぎりぎりセーフ！とか、ラッキー！と思う。得をしたわけではないのに。

私は、結局ずぶぬれになったのだけれど、折り畳み傘をさし、結局びしょびしょになった靴で、水たまりをなるべく避けながら帰った。

そんなどしゃぶりの中、前を歩くワイシャツ姿の男性が、傘もささず、ほぼ手ぶらで、小走りもせず、歩いていた。

潔い。

なんでそんなに余裕をかましているのだ。どうせずぶぬれだからもういいって諦めたんだろうけれど。

なんだかしらないけれど、ずぶぬれになりながらも彼は『勝った』のだと思った。なんだかしらないけれど、彼は雨に勝ったのだろう。

きっと家について、濡れた服をぬいでシャワーあびて、「さっぱりした！」と切り替えできる人なんだろうなぁ、と勝手に想像して、その潔さに拍手を送った。

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