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【旅エッセイ】世界一何もない首都でミステリーツアーしたら、本当に怖い想いした。

 ラオスの首都ビエンチャンは、「世界一なにもない首都」と言われているのをご存じでしょうか。いまだに言われているので、今もそうなのかと思いますが、私が行った時も何もなかったです。

 街中を歩いていて見かけた信号機は2台、3階建てがMAXで4階建ての建物は見かけなかったです。

 そんなビエンチャンでの一日。


 数日ビエンチャンで過ごしたが、雰囲気はゆっくりしてて好きなのだが、特段見るべきものもない。と言うか、お気に入りの場所が見つからない…噂に違わぬ「何もなさ」だな。

 私は困っていた。この午後の時間をどのように過ごすか、宿に引きこもるのも1つの手だが、このままでは私の中でのビエンチャン像が、「ゆっくりまったりした街」で固まってしまう。それももったいない。

 そんな事を宿のベットの上で考えていると、名案が閃いた!

そうだ!路線バスに乗って、終点まで行ってみよう!


 まったく予備知識もなく、初めに来た路線バスに乗って、どこまでも行ってみれば、何かに出会えるはず!セルフミステリーツアーだ!見た事もない風景か、オモシロイ人か、それとも…

 思い立ったら即行動!
 夕方前に私は、宿に一番近いバス停に行き、最初に来た路線バスに乗り込んだ。

 ――さぁ!はじまりましたセルフミステリーツアー!このバスは、一体私にどんな素敵な事に連れて行ってくれるんだ!?ラオ語で書かれた表示板はもちろんわからない!ドキドキワクワク、こんなツアーは他にない世界に1つだけ!参加するにはお代はいらない、ただし自己責任で…( ̄ー ̄)ニヤリ

 脳内で始めたツアーアナウンスに、ニヤリと頬を上げながら、窓の外を眺めていた。もし、面白そうな場所があれば降りればいいし、なければそのまま終点まで行けばそれはそれでいい思い出になるだろう。

 帰りは、路線バスだから反対方向のを乗ればいいはずだから…


 私は、窓からだんだん建物が少なくなってく景色の中に、面白そうなものがないかを、凝視していた。しかし、バスは峠道に入っていく…面白そうなものどころか、世界一何もない、何の特徴もない景色が続くこととなった。

 結局私は、道中で降りたくなる場所を見つけらず、30~40分ほど経って、バスは終点についてしまった。
 やはり、終点にも何もなく…学校らしき建物があるだけだった。

 さー、どうしよ。
 でも、せっかく遠くまで来たので、この辺りを少し散歩してみてから帰るか。ま、学校の中でも散歩してみるか!?

 降りて、キャンパス?の中を10分ほど散歩してみたが、私をワクワクさせるものはなく、また、人もほとんどいない。いや、もしかしたら、ビエンチャンに慣らされすぎて、なにか私の「ワクワクセンサー」が壊れてしまっているのかも。


 うーん。かえろ。


 キャンパスらしき敷地から出て、バスを降りた目の前の道に出て、来た時と反対向きのバス停を、

探してみる、探してみる、探してみる…

ない。


おかしい…キャンパスらしきところに戻って人に聞いてみるか。

なに!?今日はもうバスないだと!?


 さ、どうしようか…バスで30~40分という事は、歩いたら何時間だ?信号もなく、ほぼ止まることなく走って30~40分くらいだったから、10kmくらいか?20kmくらいか?歩いたら、最大4,5時間くらい?んなアホな。 

 そもそも今、自分がどこにいるかもわかってない。そもそもここはビエンチャンなのですか?さすがにビエンチャン市内…だよね。そして、最後峠道だったぞ。ラオスと言えば、山賊の話があった…
 
 とかなんとか考えてても仕方ないし、とりあえず、来た道を歩いて戻りながら、来た車をヒッチハイクで捕まえるくらいしか出来ないか。

 じゃ、歩いて帰るか。


 来た道は確かこっちだったよな…にしても、もうなんか暗いなと思ったら、日が沈みかけてる。今何時くらいだろう、出た時間が遅かったから、もうそろそろ真っ暗になるだろうな…
 こんな峠道で真っ暗になるとか、心細いを通り越してもはや恐怖やねんけど。

 

にしても、車が1台も通らない。


 もう10分ほどは歩いてるけど、何もないな。道の向こうに街の明かりでもあったらええねんけど、まだ見えないやん。この峠道、バスでどのくらい走ってたっけ。

 そもそも、この道あってるんかな…




あ!!!!!!

家あった!道沿いに!3軒もある!


とりあえず、助けてもらおう!
真っ暗な中での訪問者はあやしいけど、なんとか説明したらなんとかなるやろ。

とりあえず、ノックするんだーーーーー!!!!

うおーーーーー!!!!


1軒目…

ドンドンドンドンドン!
「すいませーん(もちろん日本語)」

返答がない。留守のようだ。

2軒目…

ドンドンドンドンドン!
「すいませーん(もちろん(以下略))」

返答がない。留守のようだ。 


―――いや、そらそうか。こんな峠道にある家とか、人住んでないわな・・

次、あかんかったら、またこの峠道歩いて行くのか。
でも、こうやって家らしきものもあるし、なんとかなるか。

3軒目…

あ!!!!!!!!
ガレージにタクシー止まってる!!!!

 
きっとここは、タクシーの運転手さんの家で、ここに止まってるという事は、絶対家に居るはず!いやそうに違いない!

全力で、ノックするしかない!

ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

「す・い・ま・せ・-・ん(もち 以下略)」

 




う お っ ! 人 が 出 て き た !


めっちゃ私の事をあやしそうな目で見てきてる…そらそうやろ。
うーん、ラオ語は話せへんし、とりあえず得意のボディランゲージだ!

「ヘルプ」って言いながら、タクシーを指さして…
あ!そういえば、なんかゲストハウスのカード持ってるわ。これ見せて見よ!

後は、めっちゃ困った表情で、雰囲気で伝えるしかない!!!!
頼むーーーーーーー


お!めっちゃ笑顔になってるし、ちょっと待ってみたいなこと言ってる!


これは行けたか?




その後、着替えてきたラオ人は、タクシーを運転してくれて、無事にゲストハウスの前まで送り届けてくれました。

 タクシーから街の明かりが見えた時には、なんか安心から。涙が出ました。


 あなたも、「何もない首都」で、「何かを起こすため」のこのミステリーツアー、参加してみませんか?
(私はおススメしませんが笑)


そんな、ビエンチャンでのとある一日でした。


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