【旅エッセイ】プリングルスヤンキーに、見知らぬ都市のバスターミナルに捨てられた…と思って不安で怖くなった話
タイとマレーシアの国境を超えるミニバス内で、プリングルスをバリバリ食べていたヤンキー(以下、プリングルスヤンキー)に絡まれた私は、得体のしれないこの男との距離感を図りかねていた…
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※ この話は、以下の話の続きとなります。以下の話を読んでから読んでいただくと、より一層楽しめます。
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プリヤン「今からどこ行くの?」
私 「あ、ーペナン島。ジョージタウンに行こうと…」
プリヤン「おー!そうなんだ!」
このような形で、そこから4時間ヤンキーの尋問が始まった。
幸運にも、初恋の子の名前を聞かれる事はなかったし、危害を加えられる事もなかった。ただ、日本ってどんなとこなのか、私は何をしているのか、なんでマレーシアに行くのか、みたいな事を聞かれ、ヤンキーの家がどこで、今、何してて、ハジャイに何をしにいったのかを話するみたいな、普通の会話だった。
それどころか、休憩所に着くたびに、飲み物やおやつを買ってくれて、隣で体調を崩している旅友の状態も案じてくれてた。
ヤンキーに襲われるのではないか、と言う不安から始まったタイからマレーシアへの移動の車中だったが、ヤンキーと話をしているのがこの道中意外に楽しい時間になっていた。
無事にマレーシアに入り、到着時刻が近づいてきたころ、突然ヤンキーがこう言いだした。
「お前たち、今日うち来ないか?」
そういえばマレーシアと言えば、
”仲良くなった振りをして、家でお酒を飲ませて、いかさまギャンブルをさせて、お金を奪う詐欺に注意!!”
と「地球の歩き方」に書いてあった。
んんんんん????これってテンプレ通りやん!
このヤンキーは車中でめっちゃ良さげな人であることは分かるが、だからこそ、このテンプレの破壊力が格段に上がるんじゃないか?今、旅友もめっちゃ体調悪そうやし、面倒なことに巻き込まれるのはごめんだ。
しかも、幼稚園の頃に教わった大切な事の1つに、
「知らない人についていかない」
があったはず。
こ れ は 絶 対 に つ い て 行 っ て は い け な い ! ! !
私「いいの?んじゃお邪魔しちゃおっかな…」
あーもう!なんで、俺は好奇心を抑えられないのよ!
そして、それがそのまま口から出てくるのよ!あーもう自分のバカバカバカ!
プリヤン「じゃ、俺んちはペナン島にわたる前の街だから、次降りるからな」
プリヤン「んで、降りたら俺、車取ってくるから、そのままバスターミナルで待ってて。すぐ迎えに来るから。」
窓の外はすでに日も落ち真っ暗になっていた。
「家に行くよ!」といった事を少しだけ後悔しながら、ドキドキしていると、間もなく、電気もまともに点いてなく薄暗い、コンクリートでは出来ているがボロボロの、今にもお化けでも出てきそうなバスターミナルにミニバスが止まった。
「ここだ!降りるぞ!」
え!?ここ?
まず、ここの街の名前なに?
と言うか、薄暗くてなんか陰険な感じのする街…暗闇から突然怪しい人が出てきそうな雰囲気で、なんかイキナリ修羅の国に迷い込んだ感じがするんですけど。
心の動きとは裏腹に、ヤンキーに促されるがまま降りた。
「じゃ、車取ってくるから、しばらくここで待ってて」
そう言うと、置いてあったバイクに乗って颯爽とプリングルスヤンキーは去っていった。
旅友と二人、薄暗いバスターミナルに残された。旅友は、完全に体調不良で一歩も歩けないので、ベンチに腰掛けさせ、少し私は少しこのバスターミナルの周りを探索をした。
一歩外に出ても、やっぱり真っ暗。街灯が遠くにポツン、ポツンとあるだけ。周りの建物からこぼれる明かりも少なく、街全体がどんな場所なのかが見えない。少なくとも、道路にアスファルトが引かれている事だけはわかった。
20分ほど探索しても、まったくなんの情報も得られず、旅友のところに戻ってベンチに腰を掛けた。ミニバスから降りたときにはプリングルスヤンキーに、少しの不安を感じていたが、今は、プリングルスヤンキーが居ない事に不安を感じ始めていた。
そして、そのプリングルスヤンキーはまだ帰ってこない。
旅友は隣でずっとしんどそうにしている…もう30分以上経っている。
あのヤンキーは、もう面倒になったのかもしれない。帰ってこなかった時の事を考えないと!まずは宿だ宿!とりあえず宿を探さないと…って、
あ!今、マレーシアのお金持ってないやん!
ちょ、どうしよ!身動き取れへんのちゃうん?乗り物乗るにしても、宿止まるにしても、お金居るやん!
こ れ は ピ ン チ な ん じ ゃ な い か !?
旅を始めて約2週間、ここまでなんとなく、ゲストハウスやほかの旅人が持っている地球の歩き方とかで次の都市の事ある程度調べて、移動していたけど、こんな見た事も聞いたこともない街に来るのは想定外…あーどうしよどうしよどうしよ…
プップー!
突然バスターミナルに響いたクラクションの音。
1台のハイエース的な車がバスターミナルの中に入ってきた。運転席を見ると、プリングルスヤンキーが乗っている。
さっきは、プリングルスヤンキーが居ない事に不安を感じたけど、来たら来たで、車でどこにさらわれるんだろう…的な不安で、鼓動が早くなっている。
目の前に車が止まり、助手席の窓が開いてプリングルスヤンキーは運転席から話しかけてきた。
「おまたせ!遅くなって悪い!とりあえず乗れ!」
ほかに取るべき手段もなく、私と旅友はプリングルスヤンキーに促されるがまま、車に乗り込んだ。
私たちは一体どこに連れていかれるのだろう。
(お察しの通り、続きます…以下となります。)
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