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世界が終わるとき、あなたはどうする?-ラース・フォン・トリアー"メランコリア"に寄せて-


先月、念願のラース・フォン・トリアー監督新作公演記念で過去作品の回帰上映があったので「メランコリア」を見に行ってきました。

私とこの作品の出会いはすごく不思議。「moth and rabbit」という映画のひとシーンを香りに変えるという面白いコンセプトの香水ブランドがあるのですが、そこの新作のタイトルを通じて知ることに。なかなか無い知り方だったので、本当はすぐ観たかったのですが、配信に無かったのでレンタル落ちでも良いからブルーレイを買おうか悩んでたくらいです。
それくらいの想いのある映画もだいぶ久々なので、こうして書いてますがとりあえずオープニングだけでも見て欲しいです。(※動画とそれ以下はサラッとネタバレあるかもしれないです、自己責任で読んでください…!)

ワーグナー作曲「トリスタンとイゾルデ」に合わせて8分のオープニング。不気味でもあり、悲しくもあり、美しい。
元になっている「トリスタン伝説」とこの作品は良い組み合わせというか、トリアーもすごく考えたんだろうなと思います。
気になった方は物語の概要も見てみると面白いかも。
物語を見てからだとオープニングの感じ方がまた変わるのを知って、再度見たくなったのでさっき悩んでたのを訂正してまた余裕出た時にでもブルーレイ、買います。


作品本編は分かりやすく言うと「うつ病の人間から見た現実の辛さと世界が終わることを知った時の喜ばしさ」。
この映画の面白いところは、出てくる登場人物主人公と実姉以外イヤ~な人間が多い…笑
というのも監督自身がうつになっていた事や数々の恐怖症、世界のあらゆる事が怖いと言っていたこともあり人間の嫌なところを映すのが怖いくらいに上手。
主人公であるうつ病の花嫁ことジャスティンの行動見てると、病気で思うように動かないのもめっちゃ分かります。私も経験してるし今もするので。
でも、普通に考えて自分の披露宴という手間のかかることしてくれているのは間違いないし、いくらキツいとは言えそういう場なのでぶち壊されたら周りの人たちもイライラしたり嫌味言ったりもしたくはなるかとも思いました。結局、見てる側によって前半はどう胸糞になるかって感じではあるけど、私としては主人公、招待側、出席者側の気持ちも分かるので中立的でモヤっとした胸糞~な印象を持ちました。

後半パートは謎の惑星「メランコリア」が明らかになるにつれ、主人公以外の登場人物の気が狂い始めます。どうにか逃げようとしたり、はたまた自ら手をかけ死に至ったり…。彼らは正常な世界では生き続けることが当たり前。死にたい、消えてなくなりたい。そう感じたこともあまり無かったゆえ唐突にその瞬間を迎えると大半の人はこうなるのが当たり前かと。
対照として、主人公はとても穏やかな感情を持ってその終焉を迎える準備をします。この世界が終われば、自分も他の人間もいなくなるし生きづらさも感じなくなるから。
結論、「人の健康な思考、病んでる思考ってなんだろう。普通ってなんだろう。」それを考えたくなる作品でした。
最後の画と音響に関してもこれは映画館で見るべくして生まれたシーンだ…と感動しました。

この作品を単なる鬱モノで終わらせたくない一心で書きましたが、作品の興味が湧いたら嬉しいです。

普段は観た映画のレビューはFilmarksで簡単にですが書いてますので、良かったら見てみて下さい!

読んでいただきありがとうございました。

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