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vol.32 Google Workspaceを用いたプロジェクトマネジメント (中)

はじめに

前回 vol.31 Google Workspaceを用いたプロジェクトマネジメント (上) において、以下の全体像の下、プロジェクト開始前からプロジェクトの計画までを中心に解説してきました。

上: vol.31 (前回)
1. プロジェクト開始前にやること
2. プロジェクトマネジメントの大原則
3. プロジェクトの計画

中: vol.32 (今回)
4. プロジェクトの実行

下 vol.33 (予定)
5. プロジェクトの報告
6. プロジェクトの終了
7. まとめ

今回は前回に引き続き vol32. Google Workspaceを用いたプロジェクトマネジメント (中) ということで、プロジェクトの実行を中心にその内容を整理していきたいと思います。

なお、今回は記載内容が多く、「4. プロジェクトの実行」を起点に、4-1., 4-2., 4-3., ・・・と枝版を振る形で記事を構成しております。 

では早速はじめていきましょう。


4-1. コミュニケーション - キックオフミーティング

プロジェクトの計画が出来上がったら、早速キックオフミーティングを持ちます。私はテクノロジー好きのせいかテレワーク推進派でもあるのですが、最初のミーティングは可能な限り顔を合わせるようにしています。この辺りは時代と共に変わっていくかもしれませんが、やはり一度でも顔を合わせるとその後色々な形でコミュニケーションが取りやすいと感じます。

キックオフミーティングでは、プロジェクトの目的をいかにパッションと共にメンバーと共有できるかが最重要課題となります。プロジェクトを構成するのはプロジェクトメンバーである個々の人です。プロジェクトの目的がプロジェクトメンバーにきちんと伝わっていなかったり、あるいはプロジェクトメンバーに腹落ち感がなかったりすると、どれだけ最先端の技術を使ってプロジェクトを遂行しようと上手くいきません。コミュニケーションにやりすぎ、ということはないと思います。丁寧すぎるくらい念入りに何の為のプロジェクトなのかを伝え、共感を育んでいきましょう。

私は説明だけに留めず、プロジェクトメンバー間のディスカッションを入れることもあります。リアルで集まることができなくても、Google Meetを使えばプロジェクトメンバーをいくつかのグループに分けた上で議論することも可能です。

キックオフミーティング後はいよいよ継続的なコミュニケーションを持ちつつ、プロジェクトの進捗を管理していくことになります。次のセクションでは、コミュニケーションを非同期型と同期型に分けて説明していきます。

4-2. コミュニケーション - 非同期型

「コミュニケーション - 非同期型」とは、即時に対応する必要を強いられないコミュニケーション方法であり、メールやチャットなど、お互いの都合が良いタイミングでアクションを起こすことが可能なものを言います。

メリットとしてはお互いの時間を縛らないことが可能であるのに対し、デメリットとしては相手の表情が見えず複雑な話が進めにくく、時間もかかる点があげられます。

ツールも多数ある点 (複数のメールアカウントや複数のチャットツール等) は悩ましいです。

私は情報共有を円滑に進めるために、原則メールは使用しないようにし、Google Chatのスペースを使うようにしてます。具体的には、プロジェクトメンバーのGoogleアカウントを用いてGoogle Chatのスペースを作り、全ての非同期型コミュニケーションはスペース上で行うようお願いします。

ここはメンバーや会社によって異なってくるところなので (メールのみ、TeamsやSlack等)、しっかりとプロジェクトメンバーの意思を統一していきましょう。

4-3. コミュニケーション - 同期型

「コミュニケーション - 同期型」とは、 リアルやWeb会議に参加したり、あるいは電話で通話するなど、その場で即時に対応を求められるコミュケーション方法であり、リアルタイムで時間を拘束されるものを言います。

メリットとしては複雑な話をしたり、相手の反応をすぐに確認したい場合、比較的スムーズに意思疎通をはかることが可能であるのに対し、デメリットとしては同じ時間を共有する必要があり、例えば相手の時間に割り込んでいれてもらう (アポ無しで電話を入れる)、あるいは日程調整の手間がかかる点 (時間を決めたWeb会議や電話) があげられます。

私は相手の時間に割り込むことに抵抗があり、余程緊急でなければ、事前に了解を得た上でWeb会議や電話をするよう心がけています。このあたりは人によって価値観が相当違うと感じるので、相手の立場に立ち、お互いを受け入れる姿勢が重要になると思います。

それでは以下、日程調整の進め方に入っていきます。

(1) 日程調整

同期型の場合、まずは参加者の時間をあわせること、つまり日程調整を行うことが必要となります。みなさま多忙の中、プロジェクトに参加されていることがほとんどであり、日程調整には本当に時間がかかります。極力日程調整の時間を削減すべく、以下のような形で整理するとよいかと思います。

(a) 定例ミーティング
キックオフミーティング時に、向こう3ヶ月について、プロジェクトメンバーの日程をあらかじめおさえておく。

(b) スポットの非定例ミーティング
プロジェクトマネジャーの日程をGoogle カレンダーの予約スケジュール機能を通じ共有し、自由に選んでもらえるようにしておく。

(2) ミーティングの開催

日程調整後は同じタイミングでリアルあるいはWebで集まってミーティングすることとなります。Webの場合、Google カレンダーと親和性の高いGoogle Meetを使うとスムーズかと思います。

以降、ミーティングを進める際の留意点をいくつか述べていきます。

(3) Web会議室の一本化

Googleカレンダーと相性の良いGoogle Meetですが、どれだけ準備しても直前になってWeb会議のアドレスが見当たらないので会議へ入れないという人が出てきます。私はプロジェクトで使うWeb会議室は極力一つに決めてしまい、同じ会議室を使い続けるようにしています。

(4) リアルとWebとの使い分けとハイブリッド開催

キックオフミーティング以降、毎回である必要性はありませんが、やはりリアルで集まって表情を見ながらミーティングを進めることは重要だと思います。たまにはリアルで集まり、プロジェクトチームの雰囲気はしっかりと把握するようにしましょう。ただ、一部プロジェクトメンバーが多いと、一部はリアル、一部はWebでということが出てくると思います。

この際、リアルで集まっているところだけで盛り上がってしまい、Webで参加しているメンバーはよく分からない、ということが起こりがちです。ミーティングのファシリテーターはリアルの場で議論されていることを丁寧に繰り返す、そういった気遣いが求められます。また、議事録をタイムリーに作成し、スピーディーに共有することもポイントだと思います。

ではコミュニケーションの最後として議事録について触れておきます。

(5) アジェンダと議事録

アジェンダと議事録は一つのGoogle ドキュメントで一括管理し、後述のGoogle ドライブで共有します。こうすることにより、プロジェクトの進捗にあわせ、プロジェクトメンバーの出入りがあっても一つのファイルを見ていただきキャッチアップが容易となります。

またアジェンダは極力事前にGoogle Chatを共有するようにします。私はミーティングの前に以下のような準備をし、ミーティングを開催するよう心がけています。

(a) アジェンダの分類
アジェンダ毎に報告なのか、議論なのか、意思決定なのかを明示する。この際、報告については、Google Chatの共有で問題ないか確認し、会議の時間の短縮を検討する。

(b) 担当者と時間
各アジェンダに対し担当者と使用可能な時間を割り当てる。会議が延長し、参加者の時間を奪ってしまわないよう、事前に調整を行う。

議事録は事前に作成者を指名しておき、ミーティング中にGoogle ドキュメントへリアルタイムで記載してもらいます (Google ドキュメントは一つのファイルを同時に編集が可能)。

なお、今後改善が必要だと考えているのは議事録の自動化です。Google Meetには自動文字起こし機能があるのですが、現状日本語対応は未だ厳しいと感じています (とはいえ、日本語の議事録作成から要約まで対応するのは時間の問題でしょう)。

4-4. ファイル管理

プロジェクトが進むにつれ、多くのファイルが生成されていきます。私はGoogle ドキュメントやGoogle スプレッドシートでの作業をお願いしてます。しかしながら、ビジネスにおいてMicrosoft OfficeファイルやPDFのやりとりを避けて通ることはできません。よってプロジェクトにおけるすべてのファイルを一元管理すべく、Google ドライブを使用するようにします。

特に以下が円滑なGoogle ドライブ活用にあたってのポイントとなります。

(a) Google ドライブの共有リンク
Google ドライブで共有すると自動でファイルへのURLリンクが作成されるため、同リンクを用いてファイルのやりとりを行う。添付ファイルは原則禁止 (マスターがどんどん増えていき、どれが最新のものかわからなくなることを防ぐ)。

(b) 異なるバージョンの保有
過去の履歴はGoogle ドライブで自動的に作成されるため、バージョン管理のためにファイルを複製しない。

(c) Microsoft Officeファイル
Microsoft製品 (WordやExcel等) であってもGoogle ドライブで共有すれば、Google ドキュメントやGoogle スプレッドシートで大抵の内容は作業することが可能。さらに、Google ドライブ上で右クリックし、アプリを選択からMicorsoftのアプリケーションを選べば、ブラウザではなくMicrosoftのアプリケーションから直接作業が可能。

なお、フォルダの階層ルール等は特段定めていません。過去何度かフォルダやファイルに関するルールを設定したのですが、上手くいかなかったので、最近はプロジェクトメンバーに自由に使ってもらう代わりに、必ずリンクをはるようお願いしています。

おわりに (中)

独立後の様々な経験をふまえ、Googleをベースに「Google Workspaceとプロジェクトマネジメント (中)」としてまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか?

一昔前はデスクトップにWordやExcelのファイルが散乱の上、同ファイルをバージョンの名前を変えながらメールで送り合っていた、という光景はよく見られたかと思いますが、クラウドテクノロジーの進化と共に、プロジェクトマネジメントやその中での共同作業が驚くほど楽になりました。一旦クラウドに移行すれば、クラウド側での新たな機能の追加が順次行われて行きます。そのような意味ではGemni (Google) やCopilot (Microsoft) が我々のプロジェクトマネジメントをどう変革してくれるのか、今からとてもワクワクしています。

最後にこの記事が少しでもみなさまのお役に立てれば幸いです。ご意見や感想は、noteのコメント欄やX (@tadashiyano3) までお寄せください。

この記事に記載されている内容は、私の個人的な経験と見解に基づくものであり、過去に所属していた組織とは関係ございません。


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