今回、私は間違ったことを言っているかもしれない。
なぜなら、今回の私の立場は圧倒的に「不正解の側」だからだ。

「いいか悪いか」でいえば「悪い」だ。間違っているのは分かっている。
だからこそ、主張しなくれはならないのだ。
いや、わかってないからこんなことを言うのだが、少しだけ耳を傾けて貰えれば嬉しい。

今回の議題は「私ブスだから」問題

私は秋口、頻繁に「私ブスだからって言う人が嫌い」という言葉を頻繁に耳にした。
絶賛メンヘラ街道真っ最中だった当時の私は泣きながらどうにか反論したが、押しつぶされていた。正直傷ついた。
「じゃあブスはどこに行けばいいんだよ！」と本気で悔しかった。恥ずかしいが結構荒れてしまった。

今は安定してるので、「私は別にブスじゃないし」と思っている。「人をブスと思わせる仕組み」を見破りつつあるのも大きい。人のメンタルは視点さえ変えれば短期間で立ち直るものだ。（壊れていないことが前提になってしまうが）

その人たちは、「どうせ慰めてほしいんでしょう？」と言っていた。これには首を傾げる。半分正しくて半分間違っているのではないだろうか。

もちろん、なぐさめてほしい。めっちゃ慰めてほしい。叱ってほしいか慰めてほしいなら圧倒的になぐさめてほしい。
「そうだね、あんたはブスだ」なんて言われようもんなら本気で殴りかかるだろう。そして、捨て台詞に「明日の朝刊を楽しみにしな！」とでも言ってしまうかもしれない。いや、明日の朝刊で実名報道されるのは暴行犯である私なのだが。

なんとも卑しいが、「ブスだね」と言われたくないのは動きようのない事実なので仕方が無い。こればかりは認めるしかない。

それでも今はハッキリと言える。あの頃からずっとそうだったが、私はブスという言葉が嫌いだ。

「私ブスだから」の心の内（個人調べ）

だが、そんな気持ちを抱えつつも私はずっとずっと「私はブスだ」という気持ちに押しつぶされていた。

男性に認められないまま３０歳を迎えた私は、学生の頃の呪縛や今までの経歴から、自分を「ブス」だと思い続けていた。本気で心の底から一片の疑いも無くだ。
ブスだと思うことは、とても辛かった。
今だってともすればこの状態に戻ってしまう。落ちる時は一瞬だ。

あの頃は毎日が辛かった。「ブスな私がその場にいる」ことが申し訳なかった。

それでも、大衆の意見を「正解」と定義するならば、私の抱えてパンパンに膨らんだ気持ちを表に出すのは「不正解」である。だが、私の抱えている「私はブスだ」という不安は爆弾だった。

こてこてに打ちのめされた日、酔っぱらって全然知らない人に向かって言ってしまった。
辛かった。言いたくなんてなかった。申し訳なかった。

今だってずっと後悔を抱えている。行き場がなくて苦しかった。

みんながそうじゃないと思う。世の中全員がこしあん派だったり、たけのこの里派でないのと同様だ。「一部の人」だけがそうなのかもしれないが――言わせて欲しい。

「私ブスだから」と発言する人は、きっととても傷ついている。

態度を改めればハッピーエンドなのだろうか

そんな傷ついている人に「そういうのはいけないよ」と言ったところで、その向こうに根本的な解決はあるのだろうか。……残念ながら、多分ないだろう。

「私はブスだ」という不安はどこに行ってしまうのだろう。また爆弾になってしまわないだろうか。

もし大切な友達がその言葉を放って傷ついた顔をしているならば、笑顔で何かを隠しているならば、どうか。どうか。

その人が大切な人ならば「そういうの良く無いよ」と言わずにどうか、抱きしめて頭を撫でてほしい。（大切な人ではないならば切り捨てていかないと拾いきれないのは仕方がないのかもしれないが……。）

しかし、条件が揃わないとそういうことはできない。世の中は肌のふれあいは非日常だ。残念ながら私も（多分）触覚過敏なので抱きしめられるのはちょっと困ってしまうかもしれない。
……なので、どうか、その子を肯定する言葉をかけてあげてほしい。
「そんなことないよ」と言いたくないのならば、それでいい。
別の言葉でもいいから、その子のことを、どうか見捨てないでほしい。

なぜなら、自分の事を「ブスだから」なんて思いたい女の子なんて、きっとそうそう存在しないのだから。

女の子が自分を「ブスだ」なんて言ってしまう時は、多分、とっても傷ついている。社会の理不尽や、過去のトラウマにやられて、ボロボロになってしまっているんだ。

以前、私は自虐を「心のリストカット」と呼んだが、「私ブスだから」はその最たるものだと思う。言う度に心がぎゅっと痛む。
痛まない人は、きっともう痛みが麻痺しているのではないだろうか。
きっと、そんな事は言いたくない。……と、思う。

どうか、その人が大切ならばSOSを「不正解」だと切り捨てないであげてほしい。

それを言うことによってマウントを取りたい人の気持ちはわからない。そういう人だって、きっと何かに負けそうだからこの言葉を選んでしまったのではないかと思う。

どうか、「間違っていて」「悪い」を「悪」だと思わないで欲しい。
なぜなら、きっとその人たちは充分傷ついていて、充分苦しんでいるのだ。
本当ならそんなことを言いたいなんて思っていないと思う。
言うだけで苦しい。周りだって嫌な気分になるだろう。
だが、実体験だが言っている本人はどうしようもなく苦しいのだ。

しかし、そう言っている傍から私はきっと「傷ついている人を切り捨てるような助言」を繰り返してきた。
今回はたまたま「傷ついた側」だったが、きっと圧倒的に傷つけてきた歴史の方が多いのだろう。

だからこそ、近頃は誰かに寄り添える人になりたい、と今は思う。

どうか、この世の中で「私ブスだから」と発言する女の子が一人でも少なくなりますように。今夜、私はそう祈らずにはいられない。