30歳小説家、感謝状を頂く
世の中には感謝状というものがある。
タイトルにも関わらず、……などという序文から入ったのは理由がある。
とにかく私はそのようなものに縁がないと思っていたからだ。
そんな私だが、先日、茨城県の大洗町から感謝状をいただく機会があった。
感謝状を頂いた経緯と、心境について書いていこうと思う。
大洗町から感謝状を頂いた「町民の日記念式典」についてだが、残念ながら緊張しすぎて、ほとんど覚えてない。
それでなくともこういったことは書くべきではないと弁えて臨んだのだが、本当に緊張しすぎて、記憶が頭から抜け落ちてしまうとは夢にも思わなかった。
感謝状を頂いた経緯
簡単に言ってしまえば、大洗町に関する本を出版したからである。
私は「大洗おもてなし会議」という本を今年の3月に出版した。
※amazonは在庫がなくなっていたため、こちらの楽天のリンクを貼っておく。
ありがたいことに、本書は読んだ方には大変な高評価を頂いており、とても好評である。
これだけでは物足りないので、「なぜ本書を書くことにしたか」という話もする。知っている人は飛ばしていただいて構わない。
大洗町を書こうと思った経緯は、企画段階で茨城県の話にすることが決まり、「ロケ地はどこにしよう」と考えた。
その結果、釣りを趣味にしている父と縁と深い、大洗町を選ぶことにした。
元々私は、大洗町はアウトレットに買い物に行くのに利用することが多かった。
また大洗町は、ガルパンの聖地として大いに盛り上がっており、アニメとはあまり縁がなかった元・会社の先輩の町民ですらも「大洗はガルパン様様」と話す程だった。当時は「すごいなぁ」と思う程度だったと思うが、「盛り上がっている土地」という印象は深かった。
私もアニメが大好きで、ガルパンの劇場版はその中でも特別好きな作品だった。
とはいえ、家が大洗からほど近い場所にあったため、逆に聖地巡礼するということはあまり頭になかった。
また、私が水戸市民であることは「大洗の内側」と「大洗の外側」両方を見ることができるのではないか、という狙いもあった。
また、担当編集が「大洗町なら話題もあるので、企画が通りやすい」と話したことにも理由もあった。
出版はビジネスでもあるので、そういったものは無視できないのだ。
取材を始めても、ある時までは大洗町は茨城にある普通の町だと思っていた。
それが正直な感想だった。 確かに、出会う人は親切だった。だがそれは、たまたまだと思っていたのだ。
違うことに気づき始めたのは、あんこう祭りの前ちょうど今頃の時期だったように思える。
最初に入店した江口又新堂さんは、大洗町について、沢山教えてくれた。私を観光客だと思ったおばあさんも、親切にお寺のことを教えてくれた。
取材に協力いただいた浜野屋さん、大勘荘さんも、何も知らない私に対して数多くのことを快く教えて頂いた。常識的に知っていてもおかしくないことを聞いてしまったと思う。それにも関わらずだ。
他にも親切にしてくださった方のエピソードは数えきれない。
その辺りから、なぜ大洗が盛り上がっているかを感覚でとらえたように思える。
私にとっての小説執筆は、「感覚」というものをそのまま文章にしていく作業だ。なかなか一言では、言い表せない部分である。
思えば、修正の度に自分の心と原稿を何かがそぎ落とされていく感覚があり、最後の修正では心が直接原稿を直す赤字に注がれていたかのように思える。
そんな、大洗の人によって芽生えた魂を込めた一冊だった。
感謝状を貰う心境
正直信じられない。今、頂いた感謝状は家に飾る準備をしている途中なのだが、とても立派である。
「本当に自分の功績なのだろうか」とすら疑っている。
実際にこれは、私の実績というよりは取材に快く答えて頂いた大洗の皆さんの功績と言っても過言ではないだろう。
確かに執筆は大変だったが、これが正直な心境だ。
だが、私の書いた作品によってこれほどまでに喜んでくださる方がいる。それはとても嬉しいことではないだろうか。
ものを書くというのは孤独な作業だ。
いつ終わるかわからない物語に、赤を入れながら、「この物語は本当に面白いのか」考え続け、悩み続け、どうにかつくり上げていく。
そんな孤独な作業の末に、人とのつながりを感じられるということはめったにない。「感謝状」として、私のもとに「レスポンスが返ってきた」というのは本当にまれなケースだ。
そのレアケースに巡り会えたこと。大洗おもてなし会議が繋いでくれた縁に、感謝してもしきれない。
こちらのTwitterには、数多くのお祝いコメントを頂いた。
まず、「孤独」から救ってくださったのは、この温かい読者の皆様だった。
誰かに読まれているか不安だったところに、数多くの読了ツイートをしてくれた。自分の物語に自信が持てたのも、皆さんのお陰だった。
本当にありがたいことだ。
遅れてしまったが、今から一つ一つに返信していく予定だ。
ひとつひとつのレスポンスも、ひとつひとつの感想ツイートも、全部宝物だ。
改めて、取材に協力いただいた上に感謝状までくださった大洗町に暮らす皆さん、ここまで応援してくださった読者の皆さんに感謝の気持ちを伝えたい。
-----------
サイン会のお知らせ
日時 11月18日(日)10:00〜
冊数 100冊
場所 茨城県 大洗町の本屋さん・江口又新堂さん
お近くの方、あんこう祭にいらっしゃる方、お待ちしています(^▽^)/
追記
とんでもない誤字をしてました/(^o^)\ すみません、慌てて修正しました!
サポートありがとうございます! 頂いたお金は「私の進化」のために使わせて頂きます。私が大物になったその時はぜひ「矢御あやせは私が育てたんだ」と自慢してください!