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6月29日|ズッキーニとそうめんと。

気がつくと、6月ももう残り1日と数分。なんやかんやと慌ただしく、瞬く間に流れていく時間にしがみつくように、季節の手触りを感じるのが私にとっての「食べる」である。

昨日の記憶が、今日の献立に。今日のお天気が、今晩の献立に。

そんな感じで、毎日ご飯に何を食べるかが決まっていく。いつの日からか、夜寝る前に「今日もおいしかったな」と独り言を言うのが、私の習慣になっている。そんな「今日もおいしかった」をこの場に残しておきたいと思う。

6月29日(火)今日のおいしかった

ズッキーニとシラスのガーリックオイルと、そうめんと

昨日の夕方、いつものように自宅で仕事をしていたら、どこからともなくニンニクのいい香りが漂ってきた。地方都市の、小さな住宅街の一画にある我が家は、いつも窓が開けっ放し。故に、近所の人の夕ご飯事情も自然とわかってしまうから、必然、その“匂い”が我が家の献立にも影響する。

近所に住んでいるのは、人生の大先輩たちばかりなので、いつも漂ってくる香りはザ・和食、ときどきカレー。といった具合。だからなおさら、低温のオリーブオイルでじっくりニンニクの香りを引き出しているような、美味しそうな香りは私のお腹にある、食いしん坊スイッチを強く押した。

ズッキーニとシラスのガーリックオイル。

そんなニンニクの香りの呪縛からか、今日のご飯はとりあえず冷蔵庫にあるズッキーニと、冷凍庫のシラスを使っておかずを作ろうと思いたつ。

適当に刻んだニンニクをフライパンに入れたら、オリーブオイルをたっぷり入れて点火。オイルが温まる間に、ズッキーニを細長く、まさに七夕の短冊のように切っていく。十分ニンニクの香りが出たら、ズッキーニをフライパンに入れて、塩を少々。しんなりするまで熱を通したら、完成。

初めて作ってみたにしては、なかなかいい感じとほくほくしながら器に盛る。

テキトウそうめんは、とっておきの器で。

そのタイミングで2階から降りてきた、同居人。

「今日はそうめんだっけ?」と言う一言にハッとする。そうでした。つい小一時間前に、「今日は暑いからそうめんかな」なんて会話をしていたことを思い出して、心の中では大慌て。

慌ててお鍋にお湯を沸かしながら、小鍋に醤油・出汁・みりんを入れて人に立ちさせたら麺つゆだけはとりあえず出来あがり。そうめんの薬味に、みょうがと、昨日のぬか漬けの残りと、トマトを刻んでよしとする。

そうめんを盛り付けるのは週末に、ずっと気になっていた雑貨屋さんで買ってきた、イランの手吹きガラスの器。見た目も涼しげで。そうめんにぴったりなので、慌てていた気持ちはあっという間にどこかに行ってしまう。そんなことでご機嫌になってしまうあたりは、我ながらいい性格だと思う。

食卓に並んだのは、ガーリックとオリーブオイル香る逸品に、そうめんという、訳の分からない組み合わせの夕ご飯。いいんです。食べたいものを食べれば。

夏の始まりの夕ご飯、今日もおいしかった。

いよいよ夏かな、と思わせる暑さを感じた6月29日。ニンニクの香りの記憶と、暑さで完成した夕ご飯は、やっぱり今日もおいしかった。

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