高校入学したら家がなくなった話

紆余曲折あったがとりあえず無事に高校入学した。
毎日遅刻してた中学だったがこれからは大丈夫、だってなんと言っても徒歩二分なのだ。

そう、母親がずっと「あの学校には行って欲しくない」と言ってきた理由は
・余りに家から近いからたまり場になりそう
・10年間毎日登下校を見てる学生達の柄が悪い
・表に置いておいた自転車を盗まれた
(私が鍵閉めなかったから)

私がこの家に引っ越してきたのが5歳くらい。89年頃だろうか。リーゼントにスカートの長い女の子
まだまだスケバンの色が残る時代でしかも低ランク。
校舎から飛び降り自殺が出た、喧嘩で逮捕者が出たとかそんな噂が絶えない学校で、実際「地の果て」みたいな場所にあった。

北海道には「防風林」が沢山ある。丘の下から上がってくるような風に雪が運ばれてくると、上から降ってくる雪の他にも雪害が増える。なので防波堤のように住宅地の最終地点のような場所に防風林がある、林、なのだが子供の私にはジャングルのように不気味だった。

だがその高校は、その防風林の更に奥にある。
だいたい防風林の奥には農場や牧場しかないのだが、そんな右は林左は牧場みたいな場所にポツンとあったのがその不良のたまり場のような学校だった。

よく人気のないところに刑務所を作るがそんな感じに見える。
母が拒絶反応してたのも分からんでもない。

しかし実際行ってみると当然なのだが中にはヤンキーもいるがほとんどが普通の子、普通の子だが勉強出来なかっただけ
僻地に立ってた理由は創立当初は農業学校だったから、だ。(当時は普通科)

私は高校デビューに見事失敗、コギャル全盛期で周りはギャル多めなのに私はなぜか美容室にhydeの写真を持ってこれ(短髪)にしてください!となぜかベリーショートになる。
出来上がったのはメガネをかけたただの猿で、その格好でなぜか青いシャドウと白いリップとオレンジのチークというとんでもギャルメイクを始める。

高校デビュー失敗というか劣化してる。

部活はマンガアニメ部で私はただ毎日絵を描いた。イラスト。声優は多少好きでドラマCDは聴いてたがアニメや漫画にはほとんど興味がなく、毎日MANA様を描いていた。
美しい姿にお姫様のようなドレスを描くのは本当に楽しかった。
ちなみに散々だった中学の成績だが美術と音楽はオール5だった。

部活の先輩がいた、名前は忘れたので適当に仮で祐子先輩とする

祐子先輩は二年で地味だが決して陰キャでもなく、ハキハキしていた。
この学校にはこういう「服装と顔は地味だけど決して陰キャではない」人が大勢いた。

夏休み明けには文化祭がある、その時に部誌を出すんだ、それを描くのが唯一の活動なんだよ

そう教わった。なので普段はただただ画材使い放題なのだ、楽しい時間だった。

私は家から近い学校にギリギリまで寝て始業直前に出て行く生活を手に入れた。
だがその生活も七月までだった。

ある日突然父親は仕事を辞めた。
そしてこの家は出て行く。
引っ越し先は4駅先のマンション。
ピアノも売る。

父親が涙を流して頭を下げてたのが今でも覚えているが子供は馬鹿じゃない。
あんたがスナック通いして作った借金が原因なんだろ
そう思って、心は冷ややかだった。

そして私はここから地獄の高校生活となるのである

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