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読書日記『小指の先の天使』(神林長平,2006)

神林長平作品3冊目。
桜庭一樹の書評本でこの作品を知り、文庫本で購入してみた。単行本は2003年刊行。

神林長平の興味の対象は、「認知」「言語」「集合的無意識」なのかな〜と感じていて、それはこの作品にも通じている。その上で、今まで読んできた作品の中で、一番読者向け、というか大衆受けしそうなテーマの作品だった。

そして、やはり、短編連作を編むのが上手すぎる…!!時系列順ではないのだと考察するが、読み進めるうちにどんどん、舞台となっている世界について知見を深めて行けるようになっている。しかも、語りすぎずに、だ。

例えば、素人の私が「長方形」というものを誰かに描いて伝えるとき、四辺を定規と分度器を使って書くだろう。しかし、神林長平は「」だけで長方形を示してくる。最小の手数で、最大の世界観を提示してくる美しさと圧倒的力量が神林作品の良さなんだと思う。




読了日:2023/03/10


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