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読書日記『チルドレン』(伊坂幸太郎,2007)

2004年の同名単行本の文庫版。

伊坂幸太郎好きの友人に借りている。

ことの発端は、「伊坂幸太郎って悲しい小説書くよね」と知人に言われたけど伊坂さんって笑えるよね? という話を、その伊坂好きの友人にしたことだ。友人は「その人には『チルドレン』を読んでほしいね」と言っていた。

この本を渡してくれた時は何も言っていなかったけれど、これを読んでその知人とあらすじ・感想を共有しろ、ということだと解釈して読み始めた。

これは、破天荒で屁理屈が上手い陣内という人物と彼にまつわる事件について、複数視点から語られる。短編っぽい連作集だ。(解説・香山二三郎の言葉を借りれば、「『短編集のふりをした長編小説』という企て」)


題名に覚えはなかったが、陣内さんが人質になりながらも銀行強盗に立ち向かうシーンを読んだあたりから、既読だったことを思い出した。たぶん叔父から借りた本たちの中に入ってたんだろう。

中学生くらいにぶりに読んだはずだけど、陣内さんのセリフも行動も、すごく笑える。むしろ、陣内さんと歳が近くなった分だけ、陣内さんのすごさや面白さを、より味わえるようになったのかもしれない。

大人になっても、あんなにも自分にまっすぐで、でも社会にギリギリ適応しながら生きられるって天才じゃん。友達にはいて欲しくないけど、友達の友達くらいなら楽しいだろうな。

伊坂さんの小説をじっくりと読んだことは少ない。あらすじをぼんやりと思い返せるのは、『死神の精度』シリーズと『終末のフール』『陽気なギャングが地球を回す』くらいだ。どれも淡々ともいえる雰囲気の中に、笑える要素も深い教訓めいたものもあるけど、最後は奇跡を信じちゃうような。そんな話だったと思う。逆に、「悲しいよね」と言った知人は、どの伊坂作品を読んだのかが気になる。機会があれば聞いてみよう。

完全に余談だけれども、これを読んでる間、BARBEE BOYSを聴いていたので、陣内さんの脳内音声はKONTAで再生されていた。これは結構共感してもらえるんじゃないかと思う。



読了日:2022/12/09

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