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留学・休学→国際寮スタッフとしての経験②〜マニュアル・仕組み・ルールの大切さ〜

2023/08/11

今回は第一回に引き続いて、また国際寮スタッフとして働いた経験について書きたいと思います。感情も記憶もナマ物ということで、薄れてしまわないうちにこの貴重な経験と、そこからの学びをここに残しておきたいという思いで書いています。そして、一緒にRM(Resident Mentor, レジデントメンター)として仕事をしていたメンバーにも読んで共感してもらえたら嬉しいな〜なんて少し思っていたりもします。

いつも記事を書いていて難しいのは、押し付けてまでは読ませたくないけれど、仲良いみんなには是非読んで欲しいということです。普段会話していると、すぐに流れてしまうような話題でも、あえてこういったnoteを書く時間を取ることで、意識的に目を向けられます。深く内省出来て、新しい発見に繋がります。僕自身だけじゃなくて、友人にも「そんな気付きがあったのね」であったり「そんな感情だったんだ、面白いね」と言ってもらえるととっても嬉しいです。では、本題に入ります。

※最初はあらすじから。


漠然としているのは難しい

今回のRM(レジデントメンター)の仕事に関しては、大人数の初めましてのメンバーと、マニュアルもないまま「国際寮をより良くする+寮生をサポートする」といった漠然としたゴールに向かってみんなで出来ることをやるという環境だった。不確定要素が多すぎること、そして大人数で何か決め事をするのがどうやら自分は苦手なようだ。このある意味で「無法地帯」な感じに関しては、また書きたいと思う。

無秩序は許されない

ここにも書いた通り、まさにRMの仕事は無秩序だった。もちろん、立命館大学側の言い分として、「綺麗に整えられたマニュアルが存在していないからこそ学生側の裁量で色々と工夫が出来る」というものがあるのだが、個人的には全く受け入れられない。もちろん、自分たちでやりたくて集まってきたメンバーではあるが、RMの仕事はボランティア活動ではない。月に2万円の寮費の減額を受けて暮らしている。この意味では、「給与が発生している仕事」なのだ。

だから、最低限RMにやって欲しい事を示すような書類・マニュアル・仕組みといったものが必要だ。2万円相応の内容で、仕事内容が任されなければならない。しかし、現状としては、RMという組織の全てがぐちゃぐちゃだった。

簡単に構造を説明すると「立命館大学の国際センター(留学生関係の仕事を全学部共通で担当する)」の中の「国際課 国際寮担当」が存在し、そこからアウトソーシングされている「寮の管理会社(管理人たちが雇われている)」が寮にはいて、その管理人と協力しながら補助的な役割を果たすのが「RM」だ。

「国際センター」>「国際課」>「管理人」・「RM」

ざっくり言うとこんな形だ。権力関係的に、RMも管理人も国際課の意思決定なしには何も動けないのが正直なところだ。最終的に責任を負うのは管理人とRMを「雇っている」国際課、そしてその上にあたる国際センターとなる。だから、学生だけ、管理人だけで何かルールを改変することは出来ない。何をするのにも、国際課とのコミュニケーションを取って、承諾を受けてからしか動けない印象がある。

それなのに先程も書いた通り、RMには「裁量」がある。序盤で書いた言い回しをそのまま繰り返すと『「国際寮をより良くする+寮生をサポートする」といった漠然としたゴールに向かってみんなで出来ることをやる』というのが、RMの役割だ。これじゃあ、どこまでが最低ラインなのか、どの範囲まで管理人を手助けすればいいのかが全くわからない。だから、マニュアルたるものが存在するべきなのは明白だと思う。だが、そのようなものは一切存在しない。

今までは慣習的に、RMが善意で「こんなものかな」と思いながら国際課が管理会社と協力して完了させるべきことまで手伝ってきたのだろう。当然、学生の本分は学業で、人によっては就職活動、卒業論文、課外活動、他のアルバイトなどと同時進行をしている。大学生も「暇」な訳じゃない。人によるとは思うが、人生の中での貴重な時間を有意義に過ごそうとしているはずだ。学生だからって、ふんわりとした仕事内容でタダ働きさせて良いわけではない。

足りないマニュアル

本来は、【どこまでが寮の管理人・清掃員の仕事で、どこからがRMの仕事なのか。国際課・国際センター・立命館大学としてはどう考えているのか】という線引きが国際課によって行われなければならないはずだ。そうでなければ、RMたちのボランティア精神をベースとした仕事の範囲は無限大だ。寮の環境を良くするために出来ることには限りがない。この判断を学生だけで行うというのは、どうも責任が重すぎるように思える。

学校側の怠慢

ここまでの書き方的にもお察し頂けたかも知れないが、僕の目からすると「国際センター・国際課が仕事をしたくないから、なるべくRMに全てを任せて、寮関係の仕事のタスクを手放したい」という風にしか見えない。ただし、国際課の方のやる気がないと断言している訳では無い。その上の立命館大学の人間からすると、国際課にかけられる資金や労力は限られている、だから人員不足で他の業務に追われていて、寮の仕組み・制度を整える余裕がないのかも知れない。)本来は、国際課側で責任を持って完了させないといけない仕事が終わっていない(手についていない)まま、国際寮を運営している。

もしかしたら、RMの仕事の現状がこんなにずさんな事になっているとは大学側も把握して居ないのかも知れない。だから、僕はこの現状を伝えることにした。ここまで書いたようなことを、文章を持って対面でオフィスまで出向いて伝えた。

仕事リストの作成

その直後、僕は他のRMのメンバーに助けてもらいながら「RM仕事リスト」の作成を行った。それは、『RMが現在抱えている仕事内容に関しての見解を「仕事リスト」各項目をベースにして示して頂きたい』というお願いをするためだった。これで、国際課が責任を持って「ここからは管理人の業務で、ここから先は補助的にRMに手伝ってもらいたい」というように、明確なルールを定めてくれるはずだという考えだった。

根本がグチャグチャ

毎週RMでは寮内での掃除当番のことや、起こった寮生の間での揉め事、ルール違反などについて話し合う。だが、それがそもそもなぜ起こってしまうのかを本質的に考えると、「ルールがしっかりしていないから」に尽きると感じた。「ルールを破った場合は寮生・RMに対してどういう対応がなされるのか」も当然決まっていない。先程の管理人とRMの仕事の区分以前に、もっと基本的な部分から仕組みがガタガタだから、RMをやっていると不毛な議論ばかり毎週しなければならない。

最初は、自分は半年間の任期だったから、こんなもんかと思っていたが、やはりおかしいと思い始めた。まず、入寮直後のビジネス的に言うと「オンボーディング(教育)」にあたるものは何もなかったし、慣習的にみんな見て学んでいくことになっていた。仕事内容も明確なリストが無いため、「こんなもんかな?」という極めて感覚的にしか仕事は出来ない。どんなポンコツアルバイト先の店主でも、「最低限これはやって欲しい」という内容は伝えるはずだ。

その責任は学生には持てない

極めつけは、入寮時の部屋の点検の一部をRMが担当するという慣習だ。これは、詳しいことはわからないが、退寮時の敷金の返金などに関わってくる重要事項にも関わらず、そこが管理人でもなく「補助的な役割をやるにとどまるRM」に一部アウトソーシング(外注)されていたのだ。まあ、不満はここらへんにして、こんな経緯で仕組みを整えないと!という思いに駆られて、「RM仕事リスト」の作成と、その上で学校側に判断を委ねることを行ったというわけだ。以下は、最近良く考える「仕組みの重要性」について、自分の他のnoteで書いていた部分の抜粋だ👇

仕組みが最強

大企業には型(テンプレート)がいくつも転がっており、できるだけ早いうちに、その組織の枠組みを掴んで「仕組化」を実感しよう。一生一つの企業で勤め上げることもない。売上数1000億、数兆円を立ててきた企業の「テンプレート」は、形を変えて、必ず生かせる。

→仕組みさえ完成させてしまえば、回すのは楽ちんだ。楽ではないかも知れないけれど、1番大変で大事なのが「仕組み」だと最近はよく感じる。人間、既存のルールやシステムがないと困り果ててしまうものだと思う。そういった線路引いてくれている人たちに感謝したい。

新卒研修:ビジネス基礎→マインドセット→製品知識→ 各部署の業務アシスト→配属面談。 研修期間、長すぎじゃない?通常、企業の新卒研修は、短ければ1か月、オンボーディング含めて3か月~半年。でも超大手ITベンダーの当社では配属前に1年間研修という、長期の育成計画。それだけの期間を研修に回して、成果をしっかりと計測できているのだろうか?

→教育も仕組みの一部だと思う。ちゃんと一定基準の知識量とかを教育で満たしてからしか働かせない。序列を乱す社員を作らないイメージ。だから大企業としてちゃんと回るんだと思う。

ルールを作ることの難しさ

このように、やっぱり仕組みづくりは大事だと思う。だが、仕組みを整えるのは、答えのない議論の繰り返しであり、非常にエネルギーが必要になってくる。今までの人生を振り返ってみても、仕組み・ルールが既に完成されている環境でしか生きてきたことがないような気がする。

学校なんて、宿題を言われるがままにやって、定期試験になったら頑張って勉強をしていればそれで毎日が回る。どこまで勉強をやるのか、などは個人の自由だ。しかし、校則に関しては、もうすでに学生以外の「上の人間」によって話し合いが重ねられて、ルールが確定されている。

ルール作りのための議論の難しさ

書いていて気づいたが、仕組みというよりは、ルールをみんなの合意を得て、上手く折り合いをつけて、良い着地点で落ち着かせるのが難しいのだ。みんな違った価値観を持っているけれど、そのみんなが納得できるような形で、答えを出すことがルールづくりには求められる。そのためには、みんなが「自分はこれがベストだと思う」という主張が出来ることが望ましい。だが、自分としても試したことのない規則について「それが良いはずだ!」と力強く断言することもまたとても難しい。さらに、議論をするメンバーの中での関係性(上下関係や仲の良さ)によっても、自分の信念についてどれだけ「ありのまま」で力強く主張をし、なるべく妥協のない落とし所を見つけるための話し合いが出来るかは違ってくるだろう。

無秩序で、ぐちゃぐちゃな国際寮の仕事の線引きやルールについての文句ばかりみたいな内容にはなってしまったが、起きている問題を根本から解決することが出来る仕組みを作る大変さを身に沁みて感じることが出来る良い経験だった。この仕組みが一度整ってしまえば、問題が起こるたびにあとは修正・アップデートを加えていくだけという形になる。(口で言うと簡単)

根本解決が常に正義じゃない

最初にやるべきなのは「問題の解消」ではなく、これまでと同様のアクションがとれる「回避策の提示」。そもそも、根本解決というのは時間がかかることが多い一方、かけた挙句、顧客にとってあまり有意義なものでないことも多かった。

→問題の根本解決に執着しすぎるのも危険かも知れない。自分は性格上、根本解決がしたくなる。根こそぎ悪いものは取り除いて、改善したくなる。でも、骨が折れるような努力が必要になる場合が多い気がする。長期的にだんだん仕組みが良くなる方向性で物事を進めながら、目の前の事を上手く処理していく、みたいな事ができるようになりたい。自分の一度気になると放っておけない性格は、諸刃の剣だな。

再びこの記事より👇

十人十色のイライラポイント

今回のこのRMの仕事の件では、あまりにもカオスな状況が自分にはとても許せなくて、大きなストレスを感じてしまった。多分、人によって「気になるポイント」は違うから、僕ほどストレスを感じていなかったRMのメンバーも確実に居たと思う。全体の意見としては、マニュアル・ルールを作らないといけないが満場一致にはならないかも知れない。

気にならないのであれば、変にこの壮大なスケール感の問題に干渉して全部解決しようとしてすり減る必要はない。もはや、そのカオスさすらもゆる〜く許容してしまうのも一つのスキルだと感じた。その意味では、自分はそのスキルが弱くて、世渡りが下手くそで、要領が良くないタイプだと思う。

イライラ=得意。

だが、「自分がイライラしてしょうがない部分=得意な部分」でもあると思う。今回の場合だと、現状を見て、おかしいと思う部分を指摘して、それに対しての改善案を提案しながら秩序が出来るように国際課とコミュニケーションを取りながらことを前に運んでいくことは、割と楽しいプロセスでもあった。こんな風にみんなが適材適所で楽しめる部分で、現状を良くする努力を出来ればベストだと思う。でも、それが難しい。だからこの世の中には人事部なるものがあって、その采配の道のプロが存在しているんだと思う。(当たり前)

最後に

もう気付けば5500文字だし、疲れてきたので今回はここまでにしたいと思います。このめちゃめちゃなRMの仕事の現状をなんとかするためのマニュアルを作ってみた訳(自己満足要素が強い)なのですが、イマイチ思い通りに事が前に進んだ実感というものはありませんでした。次回は、ここら辺についてまた続編として書いてみようと思います。

最後まで読んでくださってありがとうございます!また次回のnoteでお会いできるのを楽しみにしています👋


僕のnoteを読んでくださって、ありがとうございます!お金という形でのご支援に具体的なリターンを提示することは出来ないのですが、もしサポートを頂いた際は、僕自身の成長をまたnoteを通して報告させていただけるように頑張りたいと思っています。