コンサルがワークショップで意識すること
コンサルタントとしてワークショップを提供すること早数年。日頃意識している3つの観点を書き出してみた。
1.ワークショップは設計が命
2.ワークショップは楽しまないともったいない
3.ワークショップと会議って何が違うのか
【1.ワークショップは設計が命】
ワークショップは設計が最も重要だ。
そのワークショップで得たい結論は何かを明らかにし、正しく設計できていれば、当日のファシリテーションは、まぁ正直何とかなる。
(システム設計でいうところの要求分析に近い。ワークショップの設計はシステムズエンジニアリングで上手くいく、詳細は別号で)
ワークショップでの「設計」とは、どういう観点から何をどんな順番で考えれば得たい結論を得られるのか、という思考のステップだ。
得たい結論がボケていると、当然ながらステップも曖昧なものとなり、それは当日の指示の曖昧さにつながる。例えば、「◯◯を考えてください」とだけ言われて、どう考えたら◯◯が見えてくるのか分からない、というような状態だ。
これでは参加者に失礼だ。
ワークショップに参加してもらう、とはつまり自分一人では考えられないからあなたの頭脳を貸してとお願いしているに他ならない。借りるのだから、フル回転してもらうために出来る全ての準備を行うべきだ。主催者は考える事を参加者に任せっきりにしてはならない。
コンサルタントは考える事が仕事である。
我々がワークショップを提供する際には、どうしたら考えてもらいやすいかを考えステップを組む。お題について考えず楽をしているのではなく、通常のプロジェクトとは異なる対象を真剣に考えている。
【2.ワークショップは楽しまないともったいない】
さぁワークショップ当日。大抵のコンサルタントはそのままファシリテーターとして参加する。
こんな時は誰よりもそのワークショップで「考えること」を楽しまないと勿体無い。
「考える」とは、この瞬間、目の前に無い新たな概念を生み出す事に他ならない。(これも詳細は別号で)
つまり、考えて、こんなのはどうかな?と言ったところで伝わらないことは前提として織り込むべきだ。何を言っているんだこいつ、と思われる事を怖がり発言をしないのは、例えればプールに遊びに来たのに濡れる事を気にして存分に遊ばないようなものだ。
自分以外の人が同じ事についてまとまった時間を確保して考えてくれる、これはなかなか出来る事ではない。役得だと思い一人では見出せない新しい概念を探すことをぜひ楽しみたい。
ただし、ファシリテーターである以上は「得たい結論」に至る途上から外れたら復帰させる、という事だけは忘れてはならない。役得で楽しむことは許されるが、目的を逸脱することまでは許されない。
【3.ワークショップと会議って何が違うのか】
これは私自身への問い掛けであると同時に、みなさんへの問い掛けでもある。
私は、ワークショップと会議の差は、紙とペンの有無だけだと思っている。
会議と言っても色々あるだろうが、いわゆる「みんなで会議して考えよう」という系統のものだ。誰もが答えを持っているわけではないので、各参加者の観点から意見を募り、新しい概念を構築する類のものだ。
この手のものは、参加者全員が発言する必要がある。何より忌憚なく意見を言い合わないと参加者として出席してもらった意味がない。
でもワークショップと会議はそのイメージが全く違う。
扱う議題なのか。
かけた時間に対する成果への約束なのか。
開催頻度なのか。
出席者の服装なのか。
会場の雰囲気なのか。
ワークショップでも会議でも誰もが結論を持ち合わせていないからこそ、同じ場所に集い、時間を共有し、知恵を絞る。本質的には同じではないだろうか。
私は会議がより良くなりワークショップは遺物になればいいと思っている。自由に考え、議論できない会議、なんの意味があるのだろうか。(もちろん逆でも良い。どちらも方法論なので名前はどうでもいい)
さて、みなさんは会議とワークショップの違いはどこにあると思いますか。
【まとめ】
コンサルタントからすると、ワークショップは設計こそが命。一度ワークショップが始まれば誰よりも考える事を楽しまないと勿体ない。
そして、そもそもワークショップと会議は何が違うのか。ワークショップよりも遥かに多く行われている会議の設計や運営について、ワークショップから学ぶことはないのか。そんなお話でした。
書いてみて、1つの記事では書ききれないな、とだいぶ圧縮。
圧縮を解凍すべく、第二第三弾を書こうかな。ご興味のある方はご支援を。励みになります。