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2016年度・高校BIG4の現在地

 高校BIG3、BIG4。数年に一度、同じ世代の有望な選手達のことを指す言葉です。ここに名を連ねた選手は将来を期待され、ドラフト会議では上位指名を受けてプロ野球団に入団します。しかし、輝かしい将来を約束されたわけではありません。今回は2016年に高校BIG4と称され、将来を期待された4人の投手について書いていきたいと思います。

①ヤクルト・寺島成輝投手

 2016年度・高校BIG4の一人目はヤクルトスワローズ所属・寺島成輝投手です。寺島投手は大阪の名門・履正社高校のエースとして甲子園に出場し、その名を全国にとどろかせました。恵まれた体格を生かし、クセのないダイナミックなフォームから放たれる速球に、誰もが輝かしい将来を期待しました。制球も良く、キャッチャーミットに糸を引いたかのように吸い込まれる直球は、将来の日本代表の左腕エースになれると確信しました。そして大きな期待を受け、ドラフト会議ではヤクルトから1位指名を受けました。

 プロ1年目の2017年に1軍のマウンドを経験し、2018年には2軍で7勝を挙げるなど着実に成長を遂げてきた寺島投手。2020年にはキャリアハイとなる30試合に登板し、プロ4年目にしてプロ初勝利を手に入れました。プロで活躍するための土台ができ、いよいよ花開くシーズンになると思われた2021年シーズン。しかし、登板数1という寂しい結果に終わりました。さらにチームは悲願のリーグ優勝、日本一を達成し、寺島投手はチームに貢献できませんでした。若手の奥川投手、高橋投手が活躍する中、寺島投手は完全に出遅れる形となってしまったのです。

 素材はピカイチだった寺島投手。大型左腕で球威だけではなく、精密な制球力で打者を抑えられる投手は何人もいるわけではありません。若くしてベテラン投手のような投球ができる寺島投手。まだまだ老け込む歳ではありません。2年連続リーグ優勝、日本一を目指すチームの戦力層は厚いかもしれませんが、BIG4の一人として活躍する姿が見たいところです。

②西武・今井達也投手

 2016年度・高校BIG4の二人目は西武ライオンズ所属・今井達也投手です。今井投手は3年夏、栃木の名門・作新学院高校のエースとして甲子園優勝投手に輝きました。やや細身ながら球威のある直球をズバズバと投げ込み、打者をなぎ倒していく姿に輝かしい未来を感じさせました。そしてドラフト会議では西武から1位指名を受け、入団しました。

 不祥事などの影響もあり、プロ2年目に1軍初登板を果たすと、15試合に登板し5勝5敗といきなり好成績を残しました。翌年には23試合に登板し7勝を挙げるなど西武のエースになるべく、着実にエースの階段を歩んでいきました。そして昨年(2021年)、共にキャリアハイとなる25試合登板、8勝を挙げると、自身初の規定投球回に到達しました。四死球の多さが気になるところではありますが、持ち味である球威を生かした荒々しい獅子のエースになりそうな予感です。そして様々な経験をした今井投手なら、長きに渡って西武のエースとして活躍してくれる存在となるでしょう。

③楽天・藤平尚真投手

 高校BIG4、三人目は楽天イーグルス所属・藤平尚真投手です。藤平投手は松坂大輔さんや現在の同僚・涌井秀章投手ら数々のスーパースターを輩出する名門・横浜高校のエースとして3年夏の甲子園に出場し、活躍しました。球威のある直球を制球良く投げこみ、高校生離れした完成度を示していた藤平投手。そしてドラフト会議では楽天から1位指名を受け、入団しました。

 プロに入ると1年目から1軍のマウンドを経験します。BIG4の中で最多の8試合に登板して3勝4敗、防御率2.28という好成績を残し、前評判通りの素質の良さを魅せました。そして翌年の2018年シーズン、負けが先行する苦しい成績となりましたが、高卒2年目としては上出来の80イニング以上投げぬき、前年を上回る4勝を挙げる活躍を魅せました。エースへの階段を順調に登っている藤平投手。来季は2桁、規定投球回到達も視野に・・・。そんな期待を抱かれた2019年シーズンはわずか3試合の登板に終わり、翌年のシーズンも1試合のみの登板という結果に終わりました。2軍では2019年に9勝を挙げる大活躍を魅せましたが、1軍の舞台で登板する機会が減っていきました。そして昨シーズン(2021年)、巻き返しが期待されましたがキャリア初となる1軍登板なしに終わりました。2軍でも0勝6敗、防御率7.16と精密を欠き、思うような成績が残せないシーズンとなってしまいました。

 まだ23歳と若いですが、このまま成績が降下していけばチームでの立場も厳しくなります。BIG4と称され、輝かしい未来を期待された藤平投手。このまま終わるわけにはいきません。今季こそ、BIG4の意地をみせる快投に期待です。

④広島・高橋昂也投手

 高校BIG4、最後の一人は広島東洋カープ所属・高橋昂也投手です。高橋投手は埼玉の強豪・花咲徳栄高校のエースとして複数回甲子園に出場するなどの活躍をみせました。美しい芸術品のようなフォームから放たれる直球は見る者全てを魅了するかのような美しさがあり、投球そのものが一つの作品のように見える魅力的な投手でした。そしてドラフト会議では2位指名で広島に入団します。

 プロに入り、1年目は2軍で7試合に登板して防御率1点台を記録するなど大器の片鱗をみせました。そして2年目に1軍のマウンドを経験すると、プロ初勝利を挙げる活躍をみせ、将来が期待されました。しかし、ここで大きな分岐点を迎えます。トミー・ジョン手術を受けることになったのです。トミー・ジョン手術は復帰するまでにかなりの時間を要するため、2019年シーズンを棒に振らざるをえない事態となりました。その後長期間のリハビリを終え、2020年シーズンの2軍戦で復帰を果たします。そして2021年シーズン、1軍のマウンドに戻ってきました。15試合に登板して5勝7敗、防御率5.28とキャリアハイの数字を残し、手術前より進化した姿を見せつけました。大きな手術を経験し、思うように投げられていない高橋投手。しかし、ここからがプロ生活本番といって良いでしょう。今季からの高橋投手の活躍に期待が高まります。

それぞれの立場で

 BIG4と称され、輝かしい未来を期待された4投手。しかし、どの選手も様々な壁にぶち当たり、誰もが期待していたような輝かしい成績を残せていません。ただ、まだ23歳。大学を経由した同期の選手達もプロの世界に入ってきました。ここからが本当の勝負。BIG4の意地をかけ、日本野球界のトップ選手へ、BIG4の逆襲に目が離せません。


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