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2020s Heavy Metal Party ~ヘヴィメタルパーティーのためのプレイリスト5時間~

ここ2か月ほど選曲していたプレイリストが完成しました。ヘヴィメタルパーティーのためのプレイリスト。全75曲約5時間です。

もともととあるイベントのために選曲を始めて、選んだテーマは次の通り。

・メタルファン以外にも魅力的な曲を選ぶ
・パーティー感のある盛り上がる曲を選ぶ
・メタルの醍醐味も知ってもらう

だんだん選んでいるうちに興に乗ってきて、結果としてここ5年ほどの僕が好んで聞いているメタルシーンを俯瞰するプレイリストになりました。やっぱりプレイリストを作るのは楽しいですね。カセットテープに好きな曲を選んでいた頃から変わらず、作り始めると熱中します。

75曲は流れに沿って複数のパートに分かれています。「スラッシュ」「女性」「80年代」「UK」「北欧」など。ある程度ライブ感とフェス感を意識しました。なお、「パーティー」とある通り、あまりダークだったり長尺の曲は入れていません。僕としては現代ヘヴィメタルの楽しさを知るプレイリストにできたんじゃないかと思っています。

Apple MusicとYouTubeで作りました。あと、あまり聞ける人はいないと思いますが高音質で聴きたい方向けにTIDALも。

全75曲、簡単に紹介していきます。YouTubeは上に全曲まとめたリストをおいてあるので各曲には張りません。

オープニングパート

Enter Sandman / Alessia Cara,The Warning

オープニングを飾るのはカナダの女性SSWのAlessia Caraとメキシコの3人組女性バンドThe Warningのコラボによるメタリカのカバー。全員20代前半の若い女性。メタリカの公式トリビュートアルバム「Metallica Blacklist」のオープニングトラック。この曲はメタラー以外にも浸透しているし、その新しい解釈ということでオープニングに選びました。ライブ本番前の場内BGM的な感じ。

LUX ÆTERNA / Metallica

カバーの次は本家。メタリカの2023年作「72 Seasons」から80年代を思わせる軽やかな疾走曲。最近長尺&複雑化しているメタリカですが、こういうメインストリームを打ち抜くような分かりやすい曲を出せるのは流石。

We'll Be Back / Megadeth

オープニングは「やはりメタル・パーティといえばスラッシュでしょ」ということでスラッシュ大御所二連発。メタリカに次いでメガデスです。2022年作「The Sick, The Dying…And the Dead!」より。リフのなだれ込んでくる感覚でテンションを上げたい。

Gaddaar / Bloodywood

このブログではお馴染みのインドのBloodywood。けっこう激しいメタルコアサウンドながらボリウッドサウンドを混ぜ合わせることで不思議と人懐っこい、メタル耳以外にも届く魅力があります。後、グルーヴが強靭で踊れるのも強み。オープニングテンション上げ3連発。

Love Letters From A Dead End / 聖飢魔Ⅱ

ここで日本語を一曲。聖飢魔Ⅱの復活作よりオープニングトラック。耳に残るメロディ。やっぱり日本人の作るメロディ、日本語の歌は脳の別な場所に響くというか。今回は「非メタラーも広く参加するイベント」向けの選曲だったので日本語の曲を要所要所に入れています。空気が変わる。

Surf The Tsunami / Raven

もともとのイベントのテーマがビールのオープニングイベントで、柔術×ビールのコラボだったので柔術、ビール、そしてサーフィンをテーマにした曲を3連発。1曲目はUKのスピードメタルレジェンド、Ravenのサーフィン曲。

Ten Cent Beer Night / Municipal Waste

ビール担当はUSのパーティ・スラッシュ番長Municipal Waste。ビールをテーマにしたスラッシュ曲ってたくさんあって、ビールのことばかり歌っているドイツのTankardとかもあるんですがパーティ感を出させたらMunicipal Wasteが当代最高かなと。 

Judo Killer / Gama Bomb

こちらは格闘技担当。UK、北アイルランドのオールドスクールスラッシュメタル、Gama Bombの軽快な疾走曲。この3曲は分数も短めで駆け抜けるパート。アッパーな爽快感を意識しました。

Wait A Minute My Girl / Volbeat

次のパートへの転換曲。デンマークのロカビリーメタルバンドVolbeatのご機嫌なナンバー。こういう「踊れるリズム」を適所に入れると盛り上がる気がします。メタルって「踊れるバンド」と「踊れないバンド」が如実に分かれるので。そもそもクラシック由来やハードロックには「踊る」要素はない。それ以外の音楽を取り込んだバンドや90年代以降のメタルコアバンドには「踊る」要素がありますね。

女性パート

ここから女性パートです。若手で勢いのある女性ボーカルの曲を集めました。今のメタル界の多様性を伝えるパート。

School Revolution / Voice of Baceplot

インドネシアの3人組ガールズバンド、Voice of Baceplotのデビュー曲。僕の好きな「ワールドミュージック×メタル」です。歌詞はインドネシア語。初期レッチリやレイジアゲインストザマシーンを思わせる90年代的な音ながら超若手世代(この曲を出したときは全員10代)の感性、非英語圏の「辺境」の感性が掛け合わされたフレッシュな曲。

Choose Your Fighter / Nova Twins

UKの女性デュオ、Nova Twins。グルーヴメタル直系のノリの良い音像。踊れるメタルですね。メタルと言っても80年代メタルより90年代、00年代メタルの影響下にあります。こういうサウンドはUKでトレンドなんですかね。Rina Sawayamaも「STFU!」で取り入れていたし。

The Razor's Apple / Fleshwater

UKのハードコアバンド、Vein.fmのメンバーによる別プロジェクト、Fleshwaterの曲。こちらも90年代の影響下にある音ながら、ソースはグランジやシューゲイズですね。曲構成も演奏も音響も素晴らしい。

Bae Nosy / LohArano

マダガスカルの3人組、LohArano。ロハラノ、という同名の地名があるのでそこから取ったのでしょうか。アフリカンリズムをメタルサウンドに違和感なく取り込んでおり今後に期待のバンド。面白いですね。

Nothing Else Matters / Tulia

ちょっと耳を一休め。ポーランドのフォーク(ポリフォニー)グループ、TuliaによるMetallicaの曲のカバー。Metalliaカバーは1曲目にも使ったのでその続きということで。メタル曲を完全に他ジャンルの音像で再構成している曲。少女合唱の透き通る声がこの曲の別の側面を照らしています。

今年こそギャル~初夏ver.~ / 花冷え。

ここで日本語投入。K-POPというかボカロ世代の作曲法をきちんと取り入れた現代日本のガールズメタルコアバンド、花冷え。の曲。リフから各パートの展開まで隙がありません。一休み後のテンションアップ曲。

$wing / FEVER 333

US、カリフォルニアのFever333によるテンション高めでサビが耳に残り、口ずさみたくなる曲。90年代のラップメタルの影響下にある進化系の曲ですね。ごった煮の楽しさ。

PA PA YA! / BABYMETAL,F.HERO

女性パートのいったんのトリはBABYMETAL。「祭り」をテーマにしたこの曲でこのパートを締めます。タイのラッパー、F.Heroをフューチャーした日本が生み出した最高級のパーティ・メタル・ソング。これは日本人にしか作れない音楽。

多様性パート(移行パート1)

ここからは女性パートの続きながら男性ボーカルと女性ボーカルが混ざります。世界中の多様な音楽を取り込んだメタル。テンション高めのメタル曲ばかり選ぶとリズムが単調になりがちなのでリズムパターンの多様性は特に意識しました。

Pudrete / 8 Kalacas

メキシコのスカコアバンド、8 Kalacas(オチョ・カラカス)のご機嫌なナンバー。前の曲からのリズムの繋がりで。似たリズムですよね。前の曲はレゲトンで、こちらはメキシコ。どちらもラテンのリズム。スカパラがメタル化したような音像で強靭なリズムに痺れます。

Set Fazers / Skindred

UK、ウェールズのSkindred。レゲエのリズムや歌唱法をメタルに取り込んだバンドとしてはかなり昔から活躍しているバンドです。各種メタルフェスの常連。リズムが強靭だから曲を知らなくても盛り上がるんですよね。

One Love / Rise Of The Northstar

フランスのラップメタルバンド、Rise Of The Northstar。日本の漫画・アニメ文化が大好きらしくバンド名も「北斗の拳」から。ゆったりとしたリズムでコールアンドレスポンス系の曲。英語とフランス語が混ざる歌詞。フランスってラップが盛んなんですよ。Orelsanとかは他の国にはないフランスらしさもあって好きなラッパー。あとはチュニジアとかアフリカから来て活躍しているアーティストも多数。この曲もUSのラップメタルとはちょっとテイストが違う。

Church Burns / Zeal & Ardor

もともとUSで活動開始し現在はスイスを拠点とするZeal & Ardor。ブラックミュージック×ブラックメタルというコンセプトでスタートしたユニット。こういう讃美歌というかプリミティブな黒人のソウルミュージック的な構造の曲をメタルと組み合わせると化学反応が起きます。耳を惹く迫力がある。

My Curse / Killswitch Engage

ここから3曲メタルコア。まずはUSのKillswith Engageから。アルペジオの夢見るような響きからシームレスにリフ、そしてグロウルに繋がっていくのが素晴らしい曲構造。やっぱりグロウルボイスって聞く人を選ぶんですよね。ギターのザクザクした刻みはイケても叫び声や唸り声はなかなか人を選ぶ。もともとそういう声って「人に強く警鐘を鳴らす」音なので、カタルシスもあるけれど不快でもあるんですよね。メタルコアはグロウルが主体なので扱いに注意しました。極端に音像を変化させず少しづつ慣らしていく、というか。この曲は激烈ながらコードの響きが明るめなので聞きやすい。

Fluorescent / Ithaca

UKのIthaca(イサカ)。US、ニューヨークにイサカという地名がありますがこちらはUKのバンド。女性ボーカルです。そういえばUKには同じく女性ボーカルのメタルコアバンドでsvalbard(スヴァールバル)というバンドもいてこちらもアイスランドの地名なんですよね。海外の地名をつけるのがUK女性ボーカルメタルコア界のトレンドなのだろうか。こちらもグロウルが入ってきますがもとが女性ボーカルなので控えめ。やっぱりグロウルはグロウルでないと上がらないテンションの領域、過激さがあります。

Weight Of The World / Harper,We Came As Romans,Brand of Sacrifice

アメリカのタレント発掘番組で14歳ながらSpritbox(メタルコアバンド)の曲を強烈なグロウルで歌い話題となったHarperのセカンドシングル。デビューシングル「Falling」も強烈なグロウルとあどけない地声が混ざった強烈な曲だったのですが、こちらはゴリゴリのメタルコアに仕上げてきました。まだ中3か高1の年齢だと思うのだけれどゴリゴリ。今回のプレイリストでは有数の激烈な曲ですが、「その道〇十年」のゴツイ男性ボーカルに比べると聞きやすい声。この曲をクライマックスにして女性パートから続いた「各種多様なメタルサウンド」が終了。

80年代パート

一般の人が「ヘヴィメタル」と聞いて連想するのはやはり80年代的なサウンド、きらびやかなパワーコードのリフやメタルバラードだと思います。その時代の曲を現代にリバイバルした曲を集めたパート。

1987 / Steel Panther

USの誇る「80年代メタルの伝道師」Steel Pantherの曲から。1980年代を懐かしみ賛美するメタルバラードで80年代パートが幕を開けます。彼らってデビューは2000年と遅めですが1980年代から活動しているメンバーなんですよね。当時は芽が出なくてずっと裏方やショーバンドをやっていた。年齢的にはアクセルローズやヴィンスニールとそこまで変わりません。リアル80年代の人。だから1987というのはリアルタイムの思い出。

Jesus He Knows Me / Ghost

スウェーデンのGhostによるジェネシスのヒット曲のカバー。なお、この曲はもともと1991年リリースなので厳密には80年代ではないんですが「いわゆる80年代メタル」的なサウンドということで。緊迫感や性急さを出すのが3人期のジェネシスは本当にうまかった。この曲も張り詰めたテンションがあります。Ghostに合っている。

Separate Ways (Worlds Apart) / Daughty,Lzzy Hale

80年代を代表するバンド、ジャーニーの名曲をUSのDaughtry(ドートリー)がヘイルストームのLzzy Haleをゲストvocalに迎えてカバー。ジャーニーはいわゆる「メタルブーム」より前の世代でアメリカンプログレ畑の出身ですが、80年代のきらびやかなアリーナロック、ハードロックの波に乗って大ブレイクしました。そもそもメタル的な構造を持ったこの曲を完璧にヘヴィ・メタリックにしたのは慧眼。

They Don't Care About Us / Beast In Black

マイケルジャクソンの名曲をフィンランドのBeast In Blackがカバー。この人本当にすごいボーカリストですね。マイケル・ジャクソンまで歌いこなしてしまうとは。もともとの曲もマイケルにしては硬めのリズムでロック色の強い曲でしたが、このバージョンはより硬さを増しています。

Rebel Yell / Queensrÿche

USプログレッシブメタルの雄、Queensrÿcheによるビリーアイドルの曲のカバー。もともとは1983年のヒット曲。意外に演奏がはまっています。こういうシンセの使い方をこのバンドがするのは新鮮。もともと80年代から活躍しているし、ヒット曲も出しているので「80年代的なサウンド」を出させたらオリジナルの凄味があります。なお、ボーカルはジェフテイトではなくTodd La Torre(元クリムゾングローリー)。

天国の扉 / Loudness

80年代パートの最後はラウドネスが亡きエディ・ヴァン・ヘイレンに捧げたこの曲。アニソンのような(実際Loudnessはアニソンも手掛けているし、前進であるLazy出身の影山ヒロノブはアニソン界の大御所)分かりやすさもありつつ高崎晃のエディに捧げるギターサウンド、リフ、タッピングプレイはお見事。エディへ捧げる歌ながら80年代への讃美歌のようにも聞こえます。80年代のハードロックギターサウンドにおけるヴァンヘイレンの影響は多大でした。
※Apple Musicにはこの曲がなかったので人間椅子にしています。

アフター80年代(インダストリアル~スラッシュ)パート

80年代の次はちょっとエレクトリックな曲を挟みスラッシュメタルへ続けます。全体的に若手~80年代と続いたのでベテランバンドが多め。メタルの醍醐味を味わってもらいたいパート。

Zick Zack / Rammstein

80年代の次は90年代。90年代といえばグランジの隆興がありますが、そもそもは「ベルリンの壁崩壊」からの「冷戦終結」なんですよね。それが大きな社会背景にあり潮目が変わった。音楽はグランジが出てきた。そんな渦中のドイツ、それも東ドイツにいたラムシュテインの曲で次のパートへ移行。90年代に隆興したNine Inch Nailsなどのインダストリアルメタルへのオマージュも込めています。

We Got the Move / Electric Callboy

ハイテンションでパーティーなインダストリアルメタルを奏でるドイツのElectric Callboy(旧Eskimo Callboy)。ドイツ繋がりかつパーティー感でチョイス。フィットネスミュージックのパロディみたいなメタル音楽が素敵。一応メタルコアに分類されると思いますが重苦しさがなくパーティー方面に割り切っているのはなかなかな個性。

Scorched / Overkill

US、東海岸スラッシュメタルの大御所Overkill。実のところスラッシュメタルも隆興は80年代であり、90年代に入るとデスメタルに移行していく流れなのでインダストリアル・スラッシュパートは「80年代パート2」ともいえます。スラッシュメタルの適度な速さ、歯切れの良さはパーティ感がありますね。ビアセラーの人に聞いたら「スラッシュメタルをかけるとビールが良く売れる」そう。

Strongest Of The Strong / Kreator

ドイツのスラッシュメタル、Kreator。今回「ドイツパート」は作らず、ドイツはけっこういろいろなところに散っていますが、ドイツって欧州のメタルの中心地だからさまざまな音像があるんですよね。「ドイツらしさ」もあるので「ドイツパート」を作ろうか迷ったのですがけっこうばらけてしまうのでいろんなパートに混ぜることにしました。リフが印象的な曲。

Curse of Osiris / Testament

US、西海岸スラッシュからTestament。スラッシュ3連発ですが適度にテンポを変えてずっと疾走感を感じられるように意図したつもりです。この曲は疾走担当。「疾走感」って緩急によって得られるものでもあるので。

Sickle and Peace / Mastodon

疾走感のピークを迎えたので少し浮遊感のある曲を。USのプログ・ストーナーメタルバンドMastodon。スラッシュ3連発だったので正統派HMながら少し毛色の違うバンド、曲を選んでみました。

UKパート

メタル発祥の地、UKメタルを中心にしたパート。前のパートに引き続きベテランが主体です。

Days of Future Past / Iron Maiden

一つの様式美を築き上げたIron Maiden。最新作からのナンバー。80年代的なパワーコードのリフ感がありつつ、マストドンからつなげても違和感がないというか、ちょっとマストドン的な新世代プログメタル、ストーナー感覚も取り込んでいますよね。それを意識しての流れ。

All the Way / Thunder

王道UKハードロックの流れを汲むThunder。シンプルだけれど粘り気のあるリフとボーカル。複雑な曲が続いたのでシンプルな曲でリセット。

We Will Rock You / Udo Dirkshneider

ジャーマンメタルのアイコン、元AcceptのUdo Dirkshneiderによるクィーンのカバー。所属はドイツですがUKの曲ということでチョイス。前の曲からのつながりでシンプルなリズム+リフの曲。ただ、元曲を活かしつつしっかりメタルの音像に変えています。

Lovebite / Haken

シンプルから再び一定の複雑性へ。UKプログメタルHaken。変化するリズムスタイルながら彼らにしては聴きやすく力強い歌メロを持つ曲。UKらしいひねくれ感もあります。

Sleepaway / The Wildhearts

90年代UKを代表するバンドはThunderとThe Wildheartsだと思っています(あとはThe Almightyか)。ブリットポップのウラでハードロック、メタル界からも新しいバンドが生まれてきていた。Beatles Meets Metallicaと呼ばれた特異なひねくれ感。個人的にはBeatlesというよりKinksの方が近いと思います。最近復調しており彼ららしくひねくれながらもストレートなロックンロール。なお、MVが無駄に悪趣味なのは謎。またレーベルと喧嘩して腹いせかな。

A Thousand Shades / Ozzy Osbourne(Feat. Jeff Beck)

UKパートの締めはメタルのゴッドファーザーOzzy。故ジェフベックをフューチャーしたヘヴィバラード。やっぱりジェフベックのギターの音は耳に残る存在感があります。

ストーナー~USパート

ストーナー、サイケデリックの流れを汲んだSTONE(酩酊)を語源とするジャンルであり、砂漠のビジュアルや雰囲気を好んで使うためデザートロックとも。そうした感覚は現代のモダンなUSメタルの雰囲気であり、そのままUSメタルに繋がっていきます。先に出たMastodonはこのパートからの先出。

Gila Monster / King Gizzard & The Lizzard Wizard

オーストラリアのジャンルレスバンド。新作はスラッシュメタルを中心としたメタルに接近した内容で、その中でもややミドルテンポのこの曲はもともとバンドが持っているサイケデリック感をまぶしたためストーナーな出来に。もともとビールのイベントからスタートしたプレイリストなのでSTONEDな感じ(ビールの銘柄名であり、度数強めのビールで酔う感じの表現)を出したくて選びました。本格的なストーナーやドゥームは長くて重いので適度な長さだったのも吉。

In The Blood / Dizzy Mizz Lizzy

90年代に彗星のように現れたデンマークのDML。もともとサイケというか60年代ロックテイストを持っていましたが最近はアルバム全体でストーナーな雰囲気をまとうように。酩酊する感覚ながらしっかり歌メロが耳に残る、ポップなフックがあるのは流石のセンス。

Adderall(No Intro Version) / Slipknot

ここからUSメタルです。激烈マスクメタル集団Slipknotのやや内省的な最新作から。この曲はストーナー的です。こうして流れで聴いていくと彼らの新作が意図するところが分かる気がします。

Last Word / Baroness

独自の美学を感じさせるUSのBaroness。ちょっと酩酊感がありつつ少しアップテンポに切り替えます。ザクザクしながらも少し優しい耳障りで、ボーカルラインは美しいメロディ。Mastodonと近い感覚。

CHØKE ØN THE ASHES ØF YØUR HATE / Machine Head

90年代のグルーヴメタルシーンを代表するMachine Headのナンバー。ストーナーはどうしても酩酊感があるので、そのままのテンションで一気にボルテージを上げる曲。彼らにしてはかなりハイテンポの曲。テンポ的には前の曲もそこそこ早いのですが、そこに激烈性を加えたこの曲で一気に酔いを回します。

Ohms / Deftones

酩酊パートのラスト。Deftonesのナンバー。このバンド、とにかく音響にこだわりがあるというか、この曲もギターリフの響きが凄く強烈なんですよ。曲的にはシンプルなブルースを奇妙にねじくれさせたような曲なんですが、とにかく音響がいい。現代メタルにおける音響の到達点の一つ。やっぱり音響がいいと気持ち良いので選曲。暴れてからの昇天。

(O)rdinary / Avenged Sevenfold

別世界へ「転移(トランジション)」するような曲。A7Xの実験作から、実験的なB面につなぐ立ち位置に置かれたこの曲はこのプレイリストでも同様に「場面転換」の曲として位置付けています。ちょっとねじれたファンク、ドラム音はしっかりメタルらしい重量があります。上昇音と共に次の曲へ。

A Sympton Of Being Human / Shinedown

USハードロック系のライブにはかなりの確率で設けられていた「アコースティックセット」。ここからはそのパートです。ライブを意識しているので。USオルタナメタルからShinedown。純粋にアコースティックな曲としてはかなりいいメロディだと思います。ちょっとアフターパーティの焚火感。

Does Heaven Even Know You're Missing? / Nickelback

アコースティックセット2曲目、カナダのNickelbackiのアコースティック曲。これもいい曲です。コーラスが美しく、80年代だったらヒットしていそう。

Holiday / Alter Bridge

アコースティックセットが終わり再び盛り上がるパートへ。USパートのクライマックスというかアンコール的な感じですね。元Creedのメンバーが組んだAlter Bridge。現代メタルの語法を取り入れながらアリーナロックを進化させている面白いバンド。

Bad Man / Disturbed

2000年代、USメタルのメインストリームに鎮座していたDisturbed。ヒットするだけのことがある説得力と突破力のある盛り上げ力。最近、USメタルを追うとマニアックなバンドが多く出てきますがメインストリームで人気があるのはDisturbed、Avenged Sevenfold、Five Finger Death Punch、Godsmackあたりです。

Like A Villain / Bad Omen

ちょっとモダンなメタルコア色もある曲を。UKでBring Me The Horizonらが出てきた新世代メタルコアバンドに呼応するようにUSから出てきたBad Omen。こういうセンスが2010年代以降のメタルのメインストリームになっている気がします。USメタルパートのエンディング曲

Summer of ’69 / Buckcherry

この曲はライブ後のBGM的な感じ。場面転換です。次のパート(出演者)へ。USのハードロックバンドBuckcherryの懐かしい感じのナンバー。90年代的です。

北欧パート

個人的に一番今盛り上がっている北欧メタルシーンからの選曲です。USパートからはガラッと雰囲気が変わり、ファンタジーでヨーロピアンな世界に。

Yes to All No / Backyard Babies

こちらもつなぎの曲。USと北欧をつなぐのにBuckcherryと同様のグラマラスなハードロックを奏でるスウェーデンのBackyard Babiesの曲をチョイス。同じくグラムメタル系ながら歌メロの感覚の湿り気が増しています。

Harvest / Nightwish

北欧、ヨーロピアン音楽のパート本編。スタートはフィンランド史上最高ともいえる成功を収めたメタルバンド、Nightwishの伝統音楽を取り入れたナンバー。ライオンキングのようなトライバルなビートと歌でスタートし、途中から欧州伝統音楽が鳴り響きます。

Lucyfer Prime Evil / Lordi

フィンランドのモンスターバンド、Lordi。歌メロの独自性がしっかり確立しており、本曲のサビに至るメロディ展開なんかまさにローディ印。ユーロビジョンで優勝した初のメタルバンドであり、コミックホラー的な世界観が確立したバンド。SEから始まるオカルティックかつポップなナンバーで、フィンランド的な特異なユーモア(エアギター選手権とか)のセンスを感じさせるバンド、曲です。

Soldier of Heaven / Sabaton

スウェーデンのパワーメタルシーンを牽引する兄貴ことSabaton。ここ数年、北欧メタルはディスコサウンドがトレンドでありこの曲もちょっとディスコビートを取り入れています。彼らの特長である「ドラマティックでありながらコンパクト」な曲作りは健在。1曲1曲が短めでテンポがいいんですよね。

Valhalleluja / NanowaR of Steel

実はイタリアのバンド、NanowaR of Steel。まぁこの曲はヴァルハラ(北欧神話における戦士の天国)を描いているので北欧繋がりということで。個人的には讃美歌をもっともきちんとメタルにした曲だと思っています。陽性でアッパーな感じが最高。なお、歌詞はかなりふざけています。一応、前曲が「戦士の天国」だったのでヴァルハラとはテーマ繋がり。途中からアップテンポになるのもポイント高し。何気にいいリフですよね。

Foregone, Pt.2 / In Flames

シリアスかつカッコいい路線へ。北欧メロデスのパイオニアの一つ、In Flamesがオルタナティブメタルからメロデスに回帰した新作から、メロディアスかつ歌心があるこの曲を。これは彼らの進化してきた軌跡が生み出した名曲。北欧パートはメロディアスかつ勇壮、ところどころユーモラスに進んでいきます。

Where Angels Fear to Fly / Battle Beast

フィンランドのBattle Beast。カッコいい路線が続きます。メロディアスなリフが飛び込んでくるオープニングから、歌メロへ。ちょっと全体的な音域が全曲より上に上がっています(低音が弱まる)が、これは女性ハイトーンボーカルだから。声が入るとバランスが良くなります。

Firefly / Stratovarious

北欧メタルの美味しいところ乱れうち。大御所Stratovariousのキャッチーかつメタリックなこの曲。音の迫力もしっかりありつつ歌心もある素晴らしいミックスだと思います。ここで北欧パートはいったん終了。

決戦パート

北欧パートになってからファンタジックでヒロイックな感じなっているので、そのままラスボス戦まで挑むことをイメージして選曲してみました。基本的に北欧パートから引き続いてファンタジック&メロディックな欧州メタルが多めですが、北欧に限らなくなるのでここで一区切り。

Best Time (Alternative Vocal Mix) / Helloween

ジャーマンメタルの雄Helloweenのナンバー。アルバム収録曲とは別ミックスのシングルバージョン。こちらの方が歌メロが面白い響きです。勇壮かつメロディアス、ということだとハロウィンは外せません。冒険のテーマ。

No Prayer At Midnight / Powerwolf

こちらもドイツのPowerwolf。ドラマティックなイントロから勇壮なメロディへ。冒険感があります。聞けば分かる。

Dinos and Dragons / VICTORIUS

こちらもジャーマンパワーメタル、ジャーマン3連発。Victoriusの恐竜とドラゴンをテーマにした曲。「冒険感」というか、ファンタジーゲーム感が強い曲。ここまで順調に冒険と戦闘を繰り返してレベルを上げてきました。

Strong (Cinematic Version) / Amaranthe

ここでバラード。最終決戦前のドラマ、というイメージ。スウェーデンのAmarantheのバラード。Cinematic Versionと銘打たれており映画の主題歌をイメージしたような荘厳なデュエットバラードに。「おお、勇者よ、奮い立つのです」みたいなベタなイメージ。タイトルも「Strong」だし。

Dissonance / Lovebites

中ボス戦。とにかく疾走感があるというか、演奏者(特にドラム)が全力でたたいている姿が目に浮かびます。日本の女性メタルバンドLovebitesの疾走曲。ジャパニーズメタルってBPM以上に「速さ」を感じる曲がありますね。X Japanとかもそう。総力戦。

Shredderz / The Shredderz (Feat. Alex Skolnick)

そのままボス戦へ。ハイテンションが続きます。メタバース上に結成されたバンド、という設定のThe Shredderzのデビューアルバムからのナンバー。ゲストがTestamentのAlex Skolnick、他の曲も豪華ゲストを迎えており、おそらく誰かの覆面バンドだと思うんですが正体は不明。演奏が上手いし、BPMもかなり高速ながら楽々と叩いている感があります。余裕を感じさせる疾走曲。

Drone Corpse Aviator / Archspire

「これで終わりと思ったか!」よくあるラスボスの第二形態。前曲の疾走感を軽々と超える速さ。というか、多分この曲僕が知る限り一番早いです。純粋なBPMだと他にもあるんだろうけれど、いわゆるテクニカルデスメタルの疾走曲ってもう人間が演奏しているとは思えないんですよね。体感できる「速い曲」の極北みたいな曲。この曲が素晴らしいのはその中でしっかりドラマがあるところ。戦いのクライマックス。

Playing God / Polyphia

ラスボス戦後、ラスボスの回想シーン的な。前曲と同じような超絶技巧、音数の嵐でありながら静謐さや美しさ、物悲しさを湛えたPolyphiaのインストナンバー。というかこういうBGMのゲームがあったら音楽が伝説になりそう。BGMにしては癖が強すぎて気になりすぎるだろうけれど。

Mary On A Cross / Charlotte Wessels, Zora Cock

戦いが終わり後日譚、的な感じ。王国の姫様が迎え入れるシーンでしょうか。まぁ、シーンはさておき、Ghostのナンバーのカバー。元DelainのCharlotte Wesselsが若手シンガーのZora Cockとデュエット。元曲の魅力をまた違う角度で表現した名演。

エンディングパート

Animal / Audrey Horne

物語は前の曲で終わり、ここからエンドロールのイメージです。マーベル映画とかだと最後急に元気な曲が出てきたりするじゃないですか。ベイマックスとか。そんな感じ。ノルウェーのAudrey Horne、Enslavedのメンバーも在籍しておりブラックメタルかと思いきや正統派メタルという面白いバンド。この曲はコンパクトなハードロック曲。

LosT / Bring Me The Horizon

UKの新世代メタルコアシーンを牽引するBMTH。アップテンポでロックなナンバー。この曲はなぜか「エンディング曲」っぽくないですか。物語の終わりにふさわしい曲として選びました。

Lament for Wasps / Deafheaven

エンディング曲が流れた後、映画とかだとエンドクレジットが長いから静か目の長い曲が流れますよね。それ。で、音響的に面白いDeafheavenのこのナンバー。Deafheavenはメロディックブラックメタルというジャンルを完全に開花させた立役者であり、最新作ではグロウルを使わないという大変化を遂げました。シューゲイズというかより普遍的なロックサウンドに接近しつつ、聞いていくとメタル的な構成、音のレイヤーの重なり方とダイナミズムが出てきます。この曲で5時間の音の旅は終了。

以上、75曲でした。ある程度パートで分けていますがあとはここからお好みの曲を見つけてあなただけのメタルプレイリストを育てていってもらえれば望外の喜びです。

それでは良いミュージックライフを。

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