円安は国産みかんとスギの可能性を見出すチャンスなのか?
国産のみかんジュースが注目されているそうです。背景はブラジル産のオレンジが不作で、また、円安の影響もあってオレンジジュースの供給がままならない現状にあるだそうです。
他にも、牛肉など、輸入品の価格が値上がりすることで国内品と値段が変わらなくなっているそうです。国内品の価格が下がったわけではないので、消費者的には喜べるものではないですが、国内の一次産業の価値を見直す時期にあることは確かなのかもしれません。
食材以外でも輸入木材の価格も高騰していることを先日の日経新聞5月1日付「価格は語る」に報じていました。
この記事を読んだ最初の感想として「だったらスギ切ったらええやん!」と思いました。
これまで、輸入木材であるナラやタモといった広葉樹は堅くて傷が付きにくく、耐久性に優れる、しかも輸入品木材は安いということで人気がありました。しかし、物流費の高騰や円安の影響で4年でナラは6割、タモは4割も価格が上がりました。
国内は針葉樹のスギやヒノキが多く、紅葉樹はもともと供給量が少ないそうで、中でもナラは国産ウィスキーの人気のために樽会社が買い付けて国産価格も高くなっています。家具メーカーさんはニレ、サクラ、センなどの使用樹種の拡大に取り組んでいるそうですが、その中の一つにスギも含まれています。
スギは1950年以降の高度成長期に政策的にたくさん植えられたことが知られています。当時は、植林が簡単で成長が早くまっすぐに伸びる性質なども好まれ電信柱など使用用途も多かったのですが、輸入木材が拡大して国内の林業も低迷し植えられたスギたちがそのままになってしまいました。そもそも、紅葉樹と比べると柔らかくてすぐに傷がついて耐久性が弱いというデメリットがあります。
岐阜県の飛騨地方の柏木工さんが杉に圧縮加工を施してテーブルやイスを生産しているそうです。
杉といえば花粉症。日本人の半数近くがかかると言われます。前述の通り、高度成長期に政策的に植樹が進められたスギが原因と考えると人災といえなくもないわけです。私は幸い花粉症はないのですが、まわりには花粉症で苦しんでいる人がたくさんいます。国全体で考えると医療費の負担も大きく、また、その時期の患者さんたちの生産性も低下します。花粉症は受験生の成績とかにも確実に影響すると思います。
他にも、スギは広葉樹と比べて保水力が弱く防災の観点からも広葉樹に劣るとされています。
つまりは、理想的にはスギを伐採して紅葉樹の植林を進めるべきということになりますが、もちろん「言うは易し」なことはわかっています。
スギにしても食糧自給率にしても、頭ではわかってはいても安い輸入品が壁になって日本として取り組むことができなかった課題が円安によって改めて浮き彫りになってきました。
ピンチがビジネスのチャンスにつながるかもしれません。
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