見出し画像

そしてヘンリー・ムーアの作品をたどる

日経新聞の特集の対話する野外彫刻 十選を振り返る

 山梨県立美術館には四つに分かれた横たわる人体

野外彫刻にひかれている。それらは街角に、公園に、
美術館にたたずんで、おだやかに時を刻み続けている。
晴れの日も、雨の日も、風の日も。そんな野外彫刻との
出会いを楽しむ旅を続けている。日経新聞の対話する
野外彫刻 十選で振り返ったニキ・ド・サンファルに
続いて、ヘンリー・ムーアの作品をたどってみる。

まずは福岡。2020年、福岡市美術館にやってきたのは

ふたつのかたちによる横たわる人体 No2という作品

そして博多駅前には、1988年に福岡市制100周年を記念して
着衣の横たわる母と子という作品が設置されている


そして、今まで旅で出会ったヘンリー・ムーアの作品
を思い返し、その作品と風景をもう一度たどってみる。

ふたつに分けられた横たわる像や
横たわる像:アーチ状の足は箱根彫刻の森美術館で
広い空の下、ゆったりと人々を出迎えてくれている


高台の広場から眼前に広がる空と海を見つめるのは
王と王妃という作品。熱海のMOA美術館に設置されている


倉敷の大原美術館分館の前庭にある
横たわる母と子。ヘンリー・ムーアの作品のモチーフでもある


宮城県立美術館に設置されたスピンドル・ピースは
糸つむぎの形をモチーフに。どっしりとした存在感がある

大阪から車で東北へ。楽しかった旅の思い出

大阪の国立国際美術館にはナイフ・エッジという作品
ポーラ美術館には座る女のための習作
広島現代美術館にあるムーアの広場には
平和を祈念しアーチという作品が設置されている。その先に
広がる広島の市街地の風景。壮絶な歴史があった場所
市街地を見守るアーチをくぐり、その風景を体で感じる
そして最後に、横たわる像。家族と両親で訪れたシンガポール
で偶然みかけた作品。幅9m高さ4mの巨大な野外彫刻だ


ヘンリー・ムーアの野外彫刻。作品のモチーフとなる
「母と子」「横たわる像」「内なるかたちと外なるかたち」
その柔らかな曲線にやさしさや、安らぎが感じられる。

またムーアは、作品が置かれる背景として空以上に
ふさわしいものはないと語ったという。空が作りだす
様々な表情と、時間により表情を変えていく野外彫刻。
とても硬そうで、とてもやわらかなヘンリー・ムーア
の作品たち。ゆったりとした時の中で、やさしく来訪者
を出迎えてくれている。作品に込められた意味を知る
ほどに作品の見え方もちがってくる。また、広がる空と
ヘンリー・ムーアの彫刻が作る風景に会いにいこう。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?