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世界に組み込まれている【詩臓】🫀❤︎

文章をたくさん書いたからって頭の痛みが遠のくわけじゃない
自分すら救えないこのタチの悪い吐き気と酔いがずっと付き纏うのなら
今日のこの雨のようにさらされた心臓が路上にポトリと落ち次第に血はアスファルトに流出し鼓動すらも
みんなが立って歩いてどこかを向いて去ってゆく限り私は血溜まりの中の小さな胎動の眼球すら磔にされ見回すことも叶わず
誰かが同じように倒れてその耳を地につけ常識と意志を捨て去ってやっと気がつく
どこかから聞こえる頼りない40億の振動
静かに全部を諦めて私と同じように心臓を投げ出して雨ざらしにヒンヤリやがて気持ちよく
暗にそれを望むが変わらずヒトは歩みを続け
ああ もったいないって 混ざり合う脈拍に不愉快になり眉をひそめ
ならさっさとあっちに行ってって自分勝手に振る舞い
結局静かな夜に孤独が舞い降り私はやっと重い腰を上げ冷めた安堵と共に自身の心臓を見下ろし

拾い上げる

小石と砂と雨水にまみれてすっかり弱った心臓をモトの身体に戻すとやっぱり動き出し
そうか いっこだけだから間違えなかった よかったと哀れな確信を抱く
だってだってみんなが同じようにアスファルトに心臓を捨てていたら間違えて他のヒトの心臓を入れちゃうかもだから怖いし気持ち悪い
おおきな車も通らない特別な場所
野良犬も徘徊しない安全な秘密スポット
カラスはヒトの心臓を食べない
だから安心して心臓をその辺に捨てて暗い小川の魚でも眺め探してやっぱりいなくて
もういいよって諦めて 不透明と透明のギザギザのヒトたちが会話もせずにどんどん行き交って
この暗澹の空間の雨は今日もやまずに
でも誰かが心臓を洗う施設でも作らないかと勝手に期待して いっそ でも ダメ
心臓を踏み潰したらきっと機能がおかしくなって
次にモトに戻したらちゃんと動かないかもしれない

血が揮発して形成した雲が降らす雨の色を知っていますか?
水のないこの空間では全ては血です
だから魚も生息しないし ヒトも去りゆくし
カラスもとっくに飽きてるし
あ 小さなオタマジャクシみたいな生き物だけが血の水溜まりでもがいています
私の唯一の楽しみです
どんな生き物が生まれるのか 子どもの好奇心だけは忘れないように それだけは気をつけています

崇高な理念など捨てました
水槽に目を近づけて しげしげと眺めるのです
水が減ってきたら 心臓をドボン
全ては血で動いています
血と意志があれば
ここまで読んでくれた 誰かに

あなたは普段
胸に手を当てて心臓の音を聞いてあげていますか?
他の誰かの 心臓の音を聞いてみたいとか
思いますか?
生きてる実感 ありますか?
夢 健康 隣人 認識 世界
みんな不確かで スグそっぽ

なら 心臓の音だけが 確かなる【生】
誰にもこれは 否定できないよ

だから私は
今日も
冷たいアスファルトに
心臓を投げ捨てるんだ

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