規制リスクの大きさ

米大統領選のニュースでちょっとインパクトが薄まってしまいましたが。本来は11月5日に上海と香港の両証券取引所で上場予定であった、アリババ傘下のアントグループが上場延期、となったとのこと。

アント・グループは3日夜、香港、上海で計画していた新規株式公開(IPO)を延期すると発表した。経営権を実質的に握るアリババ創業者、馬雲(ジャック・マー)氏が2日に金融当局の聴取を受けたことが理由。民間主導で発展してきたフィンテック分野でも、国家の統制が強まりそうだ。

以前の投稿にもあったように、アントグループの上場に関しては、企業価値がここ1年で1500億ドルから3000億ドル近くまで上昇していたこともあり、多くの個人や機関投資家がこの上場を待ちわびていただけに、上場直前での不透明な規制リスクは今後も同社の企業価値を??としかねないだろう。

アントグループのビジネスモデルは所謂フィンテックと言われる、金融業であり、与信情報を提供して収益を得る(またアントグループ自体は与信リスクはとらない)形であり、それ自体は両取引所の上場承認が出た事態で既に理解があったはず。それよりは、日本の1980-90年代に必要に応じて官が介入してくる形に近いような、どちらかというと『けしからん』に似たような国民や役人感情に沿う意思決定?のような、アントグループの直前の上場延期、と私は見ている。

企業活動は立法や官僚が理解している以上に活発で、様々な形でイノベーションを作り出そうとしている。従って規制や法律は結果として遅れをとってしまう傾向にある。また遅れをとるということは、どの段階でキャッチアップし、所謂『けしからん』行動を抑制するかは疑問だし、また規制を掛けるときは時にして『急』かつ『突然』である。

他国のニュースではあるが、今後当局の対応、そしてアントグループの対処方法も見ていきたいし、何か日本側が勉強できることもあるだろうか、と。



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