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父への手紙

物心ついた頃から苦しんでいた。
けど何故苦しいのか、どう苦しいのか言葉で言い表すことが出来なかった。
ただモヤモヤと辛かった。
理由はあなたが私が生まれた時から言葉の暴力を続けていたから。
躾と称し身体的特徴を貶し、弱い!情けない!グズグズするな!と罵倒し私は次第に感情表現しなくなった。
もちろん笑うことも。

それでもあなたの攻撃は続き、逃げ場はことごとく塞がれ、退路もなく、ひたすら死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねと言われ続けているようだった。

実の父親に存在を否定され拒絶される絶望感わかる?

私は望まれて生まれたのではないの?
何故医者から障害児が生まれるかもしれないと言われた時、障害があったとしても産んでくれと母親に言ったの?
死に追いやる道しか指し示さないのに、殺すために産ませたの?
あなたがそんなに私の死を願うならその通りにしてあげるよ。

だから私は自分の体の中に癌を造った。
それも93%の人が死に至る強烈なやつを。
そうしたらあなたは逃げ出したね。
私がジワジワ死んでいくのを見るのが怖かったんだよね。
あなたは態度も声もめちゃくちゃデカいけど肝っ玉はめちゃくちゃ小さいからね。
お見舞いにはほぼ来ない。
来てもずっとイライラして一言も喋らず10分で帰る。
私の方を見ることさえしなかった。
あなたの望み通りにしてあげようとしてるのに。

なんて情けない!なんてみっともない!なんて弱い!私は一度も弱音を吐かなかったのに。
散々私を見下し罵倒してきたあんたこそクズの極みじゃないか!

私は死なないよ。
あんたの願いなど叶えてやるものか。
私は生きる。

そうして私は7%の道を通った。

先に死んだのはあなただった。
死に際もみっともなかったね。
死ぬのが怖くて怖くて、余命宣告受けたら涙目で、透析なんてもう意味ないのに止めたら死ぬだろ!って先生に怒鳴り、腹水を抜くのも血圧が下がってしまうからこれ以上抜くわけにはいかないと言われれば根性なしが!と怒鳴り、どれだけ先生や看護師さん達に当たり散らしたか、こっちが恥ずかしいやら申し訳ないやら最期の最後まで人に迷惑かけまくってたね。

私が死んだとしてもあなたはその日にもう過去のことにして、私の存在など忘れてしまっただろう。
何故分かるかって、私以外の家族があなたの死後そうだったからだよ。

私だけがずっとあなたの事を思い出して生きてるんだよ。
皮肉だね。

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