- 運営しているクリエイター
#詩
編む* 深緑と灰色の波打ち際で、
照明の上に営巣した燕の気持ちは理解できるでしょう?雛は柔らかくまだらでまだまだいびつな羽毛に包まれている。親を呼ぶ声が光と共に降ってくる。見上げた僕は目を細めずにはいられない。朝も、昼も、夜も。皆、眠りについたのだろうか、気がつけばやはり一人だ。腕まくりをして木炭を持ち、目の前の陰影を紙片に移し置いたり、もしくは白鍵と黒鍵の合間を行き来しながら過ごしている。内緒話をするように小さな声で祈る。人差し
もっとみる編む* 季節を進めたなら果てまで観ててね
平成最後の朝よ
暖かい雨が季節をまたひとつ先に進めるのね
家から少し離れた畑のことを考えているのでしょう
柔らかく耕した土に種を播いたから
たくさんの命の始まりを考えているのよ
彼らは乾燥した眠りから覚める必要なんかなかったかもしれないのに
私が彼らの季節を進めてしまったのね
芽吹きに必要な熱を欲しがるでしょう
その間、あなたは待てるのかしらね
自分の始めたことなのだから
見つめ続けることが責任
じどうひっきにっき0319
とっぷりとしたミモザに潜ろうと
二、三度深呼吸をしてから息を止めて
鼻をつまんで背から飛び込む
揺らめくたくさんの小さな太陽が
すこしだけ肌に触れると
わたしはミツバチのように
体に纏っていた夜屑が砕けて
ぱらぱらと地面に溜まっていくのを
ぼんやりと眺めていました
すこしくるしくなったので息継ぎをしようともがいていると
溜まった夜が染み込んで
どうにもこうにも眠くなってしまいます
そうしてもうどう
編む* 春風にあらわにされたあとに、
白木蓮は真っ青な空にとけずにいたけれど
今朝になったら手放すように
ばらばらばらと
厚い花びらを脱ぎました
地面はすこし温かい白色となり
すっかり輝いています
わたしが心の弱さと嘆く
それらの不格好に手放した言葉たちを
あなたは美しいと掬い上げてくれますね
それはまるで春風に振り落とされ
つもり溜まった花弁に両手をひたして
ゆっくり掴み抱きしめるように
あらわになった姿で
もう春を迎える
これ