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特性と個性と気質

支援の機会を奪う親  

発達障害の特性を個性と言う人がいますが、それは安易な考えだと思っています。十人十色なので、その特性が吉と出る人もいるかもしれませんんが、少なくともムスメは癇癪などの特性が強く、本人も好きでそうやっているわけではないので、極端すぎる特性は無いに越したことはないのです。

職場の小学校での話ですが、子供が明らかに強い特性を持っているのに、多くの親はそのことを告げられると否定するそうです。子供が困難を抱えていることをいくら担任の先生が告げても、それは普通だと言い張って聞かないのだそうです。親も特性を抱えている場合もあり、そうなると頑なに受け入れないだろうことは容易に想像がつきます。

うちもモトオが人の意見を一切聞かない人で、障害にも強い偏見を持ってもいたので、状況は同じだと思いました。彼はムスメと同じASD(自閉症スペクトラム)の特性を持っているので、ムスメに寄り添えるはずの存在でしたが、人を見下す癖がある上、人の気持ちが分からないので、ムスメを責めてばかりいました。

教育機関で発達障害を見つけ出し、支援に繋げる欧米(「ブレない子育て」栗原泉著)とは違い、日本ではほとんどが親任せです。つまり日本では、親に理解がなければ子供は支援を受けられないのです。いい親であれば支援に繋げてもらえるが、そうでなければ放置。そうは言っても、実際、日本にはグレーゾーン子供たちの受け皿がないので、放置には変わりないのですが。

国が積極的に動かない理由は、そういう子供たちを拾っていたら、国の脆弱な教育支援体制が立ち行かなくなるからではないかと思います。日本は教育への公的支出のワースト国ですから仕方ありません。(先進38カ国中37位/OECD・経済協力開発機構2020年発表の調査結果より)

個性だなんて流暢なことを言ってられないくらい、教室は特性で困っている子供たちや、この先困るだろうと思われる特性を持つ子供たちで溢れています。

ASD気質は、日本人の気質? 

シャイで真面目な日本人気質は、そもそもASD気質にとてもよく似ています。海外の人から見た日本人の不思議さは、発達障害の人の不思議さと共通するところが多いのです。私がそう思う理由は、やはりモトオです。私たちは超遠距離恋愛で結婚しました。付き合っていた頃、私はアメリカに住んでいたのですが、モトオに感じた独特な感じや不思議感は、すべて「典型的な日本人」と重なりました。

シャイで物静かな元夫を紹介すると皆、口を揃えて「Typical Japanese!(典型的な日本人だね)」と言いました。更には「遥々アメリカまであなたに会いに来るなんて、アメリカ男性にはそんなピュアな人はいないから、あなたはラッキーね」とも言われました。

シャイで英語が話せず、超がつくほど真面目な彼はアメリカやカナダでは浮きまくっていましたが、その不思議な魅力は、欧米人が持つ典型的な日本人のイメージにピタリとはまり、珍しいものを見たと感心した人もいたくらいでした。でもまさか、この絵に描いたような良い人が、結婚した途端、ジキルとハイドになるとは思いもしませんでした。

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ムスメの特性を見誤る

ムスメが小さい時から手が掛かったのは確かで、初めての子育てに相当悩まされました。何をしても泣き止まないムスメに一緒に声をあげて泣いたこともあります。定期検診ではなんの問題もなかったので、これも個性で皆こうなのだと思うようにしていました。

一度だけ幼稚園の先生から発達で気になるところがあると打ち明けられたことがあったのですが、その当時、私の頭の中はまだ英語の方が優位でしたので、子供にも自宅で英語で話していることを先生に話すと、道理で外国人のお子さんと同じような反応をする(日本語がすぐ通じない)と思っていたと納得されてしまい、私もそのせいだと思い込んでしまったのでした。痛恨のミスでしたが、当時はうちの特殊な事情が重なって、見事に発達障害が隠れてしまっていたのでした。

実家が遠かった私は、子供が生まれる前から飼っていた犬(飼うことになったのも勿論、モトオが関わっている)の世話とムスメの世話、ほとんどの家事と自分の仕事と一人でやっていたので、ムスメの育て難さ以上にモトオの理解、協力の無さに不満を感じていました。

結婚当初からモトオは何かがおかしいと思っていましたが、生まれたムスメの言動がモトオにそっくりになっていった時は、悪夢のようでした。二人が発達障害だと分かるまで、私の迷走は長く続いたのでした。

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