太宰を貪るように読んだのは10歳前後なので「桜桃」と「黄桃」が脳内で手を繋ぎ、桃の缶詰は親しみのある黄桃を好むようになった。黄桃は風邪で弱った私がかろうじて口に運べたものであり、杏のように艶やかで身はしっかりと固く、ざくざくと喰む食感は生きるために食べるのだという気持ちにさせた。

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