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The Vaccines『Pick-Up Full Of Pink Carnation』(2024)

お久しぶりです。
今回はイギリスのバンドThe Vaccinesの今年リリースされた新作『Pick-Up Full Of Pink Carnation』について書いていきたいと思います。
2011年に1stアルバムをリリースし、当時は日本の音楽雑誌などでも、2010年前後のイギリスのロックシーンが冬の時代に入っていたとされる時期の救世主のような存在で、Viva Brother等と共に取り上げられ、ハイプ的な盛り上がりもみせていたような覚えもありますが、彼らも今作で6作目のアルバムとなります。

このアルバムについて
 イギリスのチャート成績でみると、今作はリリース初週で3位を記録しています。バンドシーン全体が盛り上がっていたり、よほどヒットすることがない限り、2週目以降は上位を維持すること厳しいとは思いますが、前作までの作品もトップ5内には入ってますし、作品を重ねても安定した人気はあるのかなとも思いました。

感想
 前作のEP『Planet Of The Youth』(2022)リリース後に、結成当初からのメンバーであったギターのフレディ が脱退していますが、彼の存在は大きく、そして、凄くいいギタリストだったと改めて気づくきっかけにもなりました。その為、今作においても、楽曲の基礎であるVoジャスティン(の志向?)が歌い上げる、どこかのヒット曲からそのまま引っ張ってきたような、ポップで歌謡曲風なメロディは健在なのですが、音色や演奏的には、典型的なインディーロックバンドのような感じで、これまでのような、耳に残る面白味があんまり感じられなくて、物足りないかな…とは個人的に思いました。
 フレディの演奏は、軽快で基本大味でシンプルでもありつつ、演奏技術の高さに裏付けされた、とてもユニークなプレイスタイル(フレーズ、リフも含めて)で、聴いている人の心もぐっと掴まれるような、とてもエモーショナルなところが持ち味だったとも思います。
 ベタベタなポップソングに、クセのある彼のギターが加わることで、バンドの魅力の一つにも繋がっていたのかなとも思います。もちろん彼の不在は、今作の評価とは関係はないことですし、そのせいで良くなかったわけではないです。繰り返し聞く良い曲もありますし、個人的に特別良いアルバムではないかな…という感じです。
 空間の広がりが感じられる残響音のあるギターサウンドは、今作の特徴の一つとして挙げられるとは思います。

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