ハリーコブレッティ

小説、随筆のようなものを書いていけたらなと思っています。是非、目を通して頂けたらば、コ…

ハリーコブレッティ

小説、随筆のようなものを書いていけたらなと思っています。是非、目を通して頂けたらば、コメントして頂けるとありがたいです。

最近の記事

恒等式とは何か?

 恒等式とは、何か?  恒等式の一般的な説明は以下となります。 ・「左辺と右辺が同じになる等式」 ・「恒真な等式。そこに現れるあらゆる変数がどのような値にあっても、常 に等号で結ばれた左右二つの数式の "値" が等しいもの」 ・「変数がどの数値を取っても成り立つ等式。例えば中学で習った乗法公式  (x+□)(x+△)=x²+(□+△)x+□△」  …方程式とどう違うの?となります。  現実の世界、特に経済の世界では知らずに私達は恒等式を用いているのです。  私達の人生におい

    • 果たし得ていない約束〈前半〉(恐るべき戦後民主主義)~私の中に三島由紀夫が遺したもの~

      『果たし得ていない約束ー私の中の25年』は、昭和四十五年(1970年)七月七日、産経新聞夕刊に掲載された三島由紀夫氏の評論随筆である。  同年(1970年)十一月二十五日、三島由紀夫氏は、憲法改正のため自衛隊の決起を呼びかけた後に割腹自殺をしました。  『果たし得ていない約束ー私の中の25年』は、三島氏の実質的な遺書、決別状の意味合いがある文章と位置付けることができるのでしょう。  私なりに三島氏が遺した文章の一部をかみ砕いてみました。捉え方は人それぞれであり、これはこれとし

      • 守ってはくれない

         小学生の時の元旦。  日本晴れだ。 「明けましておめでとうございます。」  お父さんとお母さんに御辞儀をする。 「明けましておめでとうございます。はい、今年も頑張ってね。」  お待ちかね。  ポチ袋。お年玉だ。 「ありがとうございます。」  お父さんとお母さんがいないところで、ポチ袋の中を覗いた。  お札が入っている。去年より多い。  それと五円玉1個。去年と同じだ。お年玉をもらい始めてから変わらない。  去年、貰ったお年玉、何に使ったんだっけ。覚えていない。  玄関近くで

        • 手のひらを太陽に いつか樹の下に

          僕らはみんな いつか死ぬ いつか死ぬから 歌うんだ 僕らはみんな いつか死ぬ いつか死ぬから かなしいんだ 亡骸(なきがら)を樹(き)の下に 埋葬(まいそう)すれば まっかに咲く華は ぼくの血潮(ちしお) ミミズだって オケラだって アメンボだって みんな みんないつか死ぬんだ 友だちなんだ 僕らはみんな いつか死ぬ いつか死ぬから 笑うんだ 僕らはみんな いつか死ぬ いつか死ぬから うれしいんだ 亡骸(なきがら)を樹(き)の下に 埋葬(まいそう)すれば まっかになる紅葉(

          和の風景 【ショートショート】幼馴染の高校デビューは線香花火を読んで

           この作品は、さりげなく実に日本を感じられる。  純粋で、清く、淡く、誠実さ、潔さを感じられる。  それは、何故か。  大介が玲に言った一言で表現される。  「高校も一緒だけどさ、これからは秋川って呼ぶから。 俺のことも名字で呼べよ。」  良い意味での「気取った」、「かっこつけた」一言は、この作品の胆だ。  私にも思い当たることがある。 「ああ、そう言えばお付き合いしている異性に対して、最初に下の名前を読んだとき何とも言えない感動したなあ。」 とか 「いつまでも、別れ

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          【#2000字のドラマ】擦り寄るほどに愛して

           幼い頃の記憶は都合良く忘れていくもの。  いつ離乳したかとか、トイレを覚えたとか。  私は覚えていた。  パパとママはとても優しかった。  幼い頃から体が弱く、よく泣いてばかりいる私をパパとママは車で病院へ連れて行ってくれた。  病院は嫌。  痛い注射は今でも苦手。  帰り道、車の中でおとなしく景色を見ていると 「いい子でしたね。よく我慢できましたね」 と優しく声をかけて、頭を撫でてくれるママが大好きでした。  家に着くと私を抱きかかえ、頭にそっとキスをして背中をさすりなが

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          【#2000字のドラマ】守るべき時

          「鈴木君。何時だと思っているのですか。」  教壇で私は、チョークを片手に話した。  誠は、何も答えず、俯き加減に教室の机に向かう。  同級生達は、誠に注目している。  誠は自分の席に着くと、鞄から教科書やノートを机の上に出した。  私はネクタイを右手で整えながら誠の机の横に歩み寄った。 「どうして遅刻した?」  誠は、チラッと私の顔を睨むかのように見たが、すぐ視線は黒板に向けた。  「遅刻は信用を失う行為です。これは学校だけで無く社会に出ても変わりません。」  誠は、黙ってい

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          素麺な心になるために

          序 素直な心とは、何物にもとらわれることなく物事の真実を見る心。 だから素直な心になれば、物事の実相に従って、何が正しいか、何をなすべきかということを、正しく把握できるようになる。 つまり素直な心は、人を強く正しく聡明にしてくれるのである。      松下幸之助 1  仕事が都合により突然昼過ぎに終わった今日。  暑かった。  腹が減って仕方が無かった。  仕事の車から、自分の車に乗り換える。  暑い。  温室の車内。  カーエアコンからの全開の風が熱気から冷気に変わる

          素麺な心になるために

          キャンプ場の惨劇

          序  事実というものは存在しない。 存在するのは解釈だけである。 怪物と戦う者は、その際自分が怪物にならぬように気をつけるがいい。 長い間、深淵をのぞきこんでいると、深淵もまた、君をのぞきこむ。      フリードリヒ・ニーチェ  これを最後まで読んで、どこかで聞いたことがあると思う方が居られるかもしれない。  そうならば、私とあなたが家族、親戚、知人等をお互いたぐっていけば、必ず私達にこの話を伝えた共通の人物にたどり着くだろう。 1  それはまだ年号が昭和の時代の夏

          キャンプ場の惨劇

          時人を待たず、時人を来たる(仮、推敲前)前編

           令和3年3月、北海道旭川市の公園で凍った状態で14歳の少女が発見された。  イジメという名に置き換えられた犯罪行為により一人の少女の命が奪われた。  加害少年らの卑劣で残虐な行為。  学校関係者の狂った発言。  司法行政の事なかれ主義の隠蔽。  反吐が出そうだ。  それは、単にその卑劣で残虐な行為や責任逃れをしようとする卑怯で醜悪な行為に対してだけでは無い。  私を含めて、全ての人が残虐な心が潜んでいる。  私を含めて、全ての人が卑怯な心が潜んでいる。  反吐が出そうだ

          時人を待たず、時人を来たる(仮、推敲前)前編

          熊の優太

                           1  森に優太という熊が住んでいました。  優太はとても素直な子熊です。  優太が物心がついた時には母さん熊はいませんでした。  優太はまだ子供でしたが同い年の熊に比べて体は一回りも二回りも大きく、力もありました。  それは父さん熊の教えに従い、その通りに獲物を探しましたから、いつも満腹でしたので、自然と体が大きくなり、力も付いたのです。  優太は父さん熊を誇りに思い、 「父さんの教えは必ず守る。」 と、優太はいつも心に言い聞かせていました