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引きこもりだけど映画見に行った話

 吾輩は引きこもりである。名前はもうある。
 数年ぶりに映画を見るため、外に出た。

 きっかけは、凪良ゆうさんの「汝、星のごとく」を読んだことである。
 感想を書くためにRRRの動画を貼ったところ、なんか見に行きたくなったのだ。

 そんなわけで、映画館を目指して最寄りの繁華街まで出かけて行った。
 しかし、やはり引きこもりが突然映画など見に行くものではないということか。

 何だか知らないが劣悪な映画館だった。

 まず席に段差がほとんど無いし、隣とのスペースも無いし、前後の座席をズラしてないので視界が悪いし、空調が効いてないのか蒸し暑い。
 もしかしたらインド映画だから、わざわざこういう状態にしているのかもしれない。だとしたらやめろ。

 しかも、私の左には、ポップコーンをバリバリと食し、それを食べるためにマスクを外し、かつ咳き込んで辺りに唾液をまき散らす、よく分からない男性が座っていた。彼が咳き込むたびに「マスクをしろ」という圧を込めて5秒ほど見つめたが、映画に集中しきっているのかあえてか、無視された。なんか舌打ちされたような気もする。

 右に座った男性も、ポップコーンをバリバリと食べていた。こちらは咳き込んでいないのでまだマシである。素手で食べているから、コロナ入りかも知れない唾液を座席のそこら中になすりつけているのだろうが、もうそれはいい。映画館はそういうものだ。左の男性に比べれば許せる。

 最後に、私の前に座った男性は明らかに他と比べて座高が高かった。どう考えても、他より20センチほど頭が突き出している。
 先に書いたように、前後の座席で段差が無いため、スクリーンの1/5くらいが男性の頭でふさがれていた

 しかも私は背が低いから必然的に座高が低い。映画館の入口に置いてあったチャイルドクッションが必要なレベルである。しかし私はアダルトなのでクッションは使えぬ。悪あがきで鞄を尻の下に敷いてみたが、後ろの人に迷惑だし尻が痛いので途中でやめた。

 私は自分の徳を信じ、男性の後頭部に「頭を右に寄せるのだ」と激しく念を送ったが、男性の後頭部はナートゥが始まるまでピクリとも動かなかった。寝ていたのやもしれぬ。やはり引き寄せの法則などこの世には存在しない。

 地獄である。

 いや、映画は非常に面白かった。尊敬する岡田斗司夫さんも95点と大絶賛していただけのことはある。

 大音響で流れるナートゥには自分もちょっと揺れるぐらいだったし、ラストシーンでは拳を突き上げて咆哮を上げたかった。なんでみんな大人しく座ってられるんだろう?

 私は音楽と共に跳躍しながら、左の咳男のマスクをバッチンとやって、前の座高男に頭突きをかまし、右のポップコーン男のポップコーンをシャワーのごとく振りまく妄想に浸った。

 だが、広々したきれいな映画館で5/5のスクリーンを視界におさめて堪能したかったという口惜しさがある。値段は一緒だ。

 まあ、そのうちネットフリックスで見られるようになるだろうから、それを待っておうちで見ても良かったのだが、こういう映画は大画面・大音響で堪能したいではないか。

 そうか、もしかして、ホームシアターを家に作ればいいのか?

ホームシアター?

 とはいえそこまで年中映画を見るほどの映画好きではない。ChatGPTと雑談すると、いつも「好きな映画はなんですか?」と質問されて返す言葉に困っている私である。

 ならばホームシアターのキットのようなものをレンタルするサービスがあればそれでいいのではないか? 最近は、バッグや服も必要な時にレンタルできるサービスがある。

 これを見ているビジネスチャンスに飢えた人、ホームシアターが出来るキットのレンタルビジネスをやってはどうだろうか? 月1万円以内なら需要がある気がする。
 ほら、またコロナがめちゃくちゃ流行るかもしれないし、全然違う感染症が流行るかも知れないし。そうしたらみんなホームシアターに走るだろう。

 このサービスなら、私のように映画館で不満を抱くこともない。ぜひ検討してほしい。


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