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留学開始早々に妊娠発覚した話(前編)

さて、物騒なタイトルから始まりましたが、今回は物騒な内容です。
当方24歳の大学院生(彼氏も学生)かつ、憧れの留学が始まったばかりということで、今回の「妊娠」というのはネガティブなニュアンスの話になります。ですので、妊活していたり、中絶反対派の方であったり、そのような方には不快な内容になっているかもしれませんので、予めご了承ください。


なぜ妊娠に気づいたのか?

留学開始して以来、というか留学開始から1週間経った頃から急に、体調の悪い日が増えました。
なんとなく体がだるい、何を食べてもお腹が壊れる…。とはいえ、急激な環境の変化やそれに伴うストレス、バランスの偏った食事の結果だと思い、きっと環境に慣れれば自然と良くなるだろうとあまり気にしていませんでした。

「妊娠」という疑いを持ち始めたきっかけは、彼氏から「もう30日も生理遅れてるの?」と言われたことでした。
私は目の前のことに精一杯ですっかり生理のことなんて忘れていたのですが、以前から『ペアケア』というLINEアカウントで彼氏と生理を共有していたことが功を奏し、危機感を持つようになりました。

私自身は、普段からコンドームでの避妊をきちんと心掛けており、ピルは服用したことはありませんが、なんとなく自分は大丈夫だろうと信じ切っていました。
しかし、まあ可能性を排除して安心することも大切だと考えたため、彼氏に頼んで妊娠検査薬を日本から送ってもらいました(近くの薬局では見つけられなかったので…)。

10日ほど経って妊娠検査薬が届くと、軽い気持ちで検査をしました。
とはいえ、生まれて初めての妊娠検査薬使用に緊張感はあり、いざ目の前にすると、本当に妊娠していたらどうしよう…という不安もありました。

1人では怖かったので、彼氏と電話を繋げながら検査したのですが、お察しのとおり結果は「陽性」。
2本線の1本がなんとなく薄かったので、間違ってるんじゃないかな…なんて考えたりもしましたが、まあ陽性ですよね。
彼氏と天を仰いで絶望しました。

コンドームの避妊が不完全であることは知っているつもりでしたが、周りでそんな話聞いたことないし、何よりも「なぜ今なのか…」という気持ちがどうしてもありました。


中絶禁止の国で中絶を希望すること

さて、妊娠がわかってすぐに中絶を考え始めたわけなのですが、そこで問題になったのが、私の留学している国では中絶が違法であったことです。

したがって、中絶するとなれば、近隣の中絶が合法な国まで行かなくてはいけないのです…。
また、現地の産婦人科に行ってもいいのか(記録が残ると中絶した後に面倒かもしれない)、また誰に相談すればいいのか(宗教的な理由から中絶に反対している人も多い国)、と考えることはたくさんありました。

まずは、ルームメイトのAちゃんに伝えることにしました。
Aちゃんは、留学生ではなく現地人ですが、日本への留学経験があり、理解してくれると信じて相談してみました。
彼女は驚きつつも、中絶するも出産するも本人の意思で決めるべきだと言ってくれて、私の意思を尊重してくれました。

彼女の勧めでまずは血液検査に行きました(妊娠が血液検査でわかるなんて知らなかった…!)。
彼女が通訳として助けてくれたおかげで、特に困ることもなく、血液検査がすごく上手な看護師(だったのかは不明)さんのおかげであまり痛くもなく終わることができました。
結果はもちろん陽性で、この血液検査を境に中絶に向けて本格的に動き始めることになりました。

とはいえ、中絶が違法な国では、いくら外国人とはいえ合法で手術を受けられるはずもなく、結局は他の国での手術を検討することになりました。

彼氏とルームメイトの協力もあり、良さそうな病院はすぐに見つかりました。
今はその病院と連絡を取りながら、中絶の日程調整や方法について交渉しているところです。

私自身は薬での中絶を希望していたのですが、病院に行けそうなタイミングには既に妊娠9週目に入っており、手術での中絶しか選べないとのことでした…(薬を使用した中絶は8週を過ぎると不可能)。
異国、かつ全く現地語を話せない状態で、麻酔を使った手術はかなり怖いのですが、まあなんとか頑張ってきます。
当日の流れや手術等の詳細については後編として書こうと思います。


意外と大きかった心理的な負担

経緯と進捗については以上の通りですが、予想外に影響があったのが心理的な負担でした。
妊娠”してしまった”ことによる心理的な負担は以下のとおりでした。

1.焦燥感

せっかく憧れだった留学が始まったのに、まだ始まったばかりなのに、体調が優れず授業に行けない日も多くなり、留学生同士の付き合い(パーティーや週末の小旅行)にも参加できなくなりました。
時間は限られているにも関わらず、妊娠のせいで思うように体も動かず、「始めが関心」なんていう言葉もあるのに、明らかにスタートダッシュに失敗しているという、漠然とした焦燥感に苦しめられました。

2.彼氏への理不尽な苛立ち

もちろん予想外の妊娠の責任はお互いにあるのですが、身体的な負担は私だけが被ることになるわけであり、どうしてもそのことで彼氏に対して理不尽な苛立ちを覚えることがありました。
私が普通に生活することすらままならないときに、彼氏は何の不自由もなく普段通りに過ごしているのを見ると、彼氏は悪くない(男女の身体的な差は彼個人のせいではないという意味で)とわかってはいても、やはり腹が立つものでした。
彼氏も、日本と海外との遠距離恋愛、かつ結構な時差もあるという状況で、できる限りのサポートはしてくれて、今となっては本当にたくさん尽くしてくれたと感じるのですが、その時は何をしてもらっても、「この人はいいよな、こうやって慰めてお金さえ払えば勝手に解決するんだもんな」と嫌な捉え方しかできず、彼氏に辛く当たってしまうことすらありました。

3.罪悪感

最も苦しめられたのが罪悪感でした。妊娠してしまったこと自体への罪悪感。これから中絶して実質「殺す」ことになるお腹の命への罪悪感。
ネットで中絶関連の検索をすると、必ず出てくるのが「中絶は殺人」「産めないなら最初からセックスするな」という言説。
意識していないつもりでも、じわじわと自分のことを責めるようになってしまい、気づいた頃には自分のことが嫌いになりそうになっていました。
最初から中絶以外の選択肢はなかったのですが、それでも「殺人」とまで言われてしまうと、心に来るものがありました。
「産めないなら~」というのも、まあ分かるんですが、実際そんなこと想定して性行為に及んでいる人がどれだけいるのか…というところですし、普段なら全然気にしないようなことなのですが、その時はなぜかぶっ刺さってしまい、自分を責める一因になっていました。
もちろんコンドームでの避妊が成功しているのかどうかを確認するのを怠ったという意味では、対策が万全ではなかったのかもしれませんが…。


次回、後編では実際の中絶手術について書いていきます。

私のこの情けないnoteが、どこかの国に留学中に妊娠が発覚した…という同じような状況の誰かが「私だけじゃなかった」と安心する材料になることを祈っています。

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