見出し画像

マネジメントの本質はトレードオフの調整。

こんにちは、今日はマネジメントについてお話できればと思います!
以前コロナ禍でのマネジメントの重要性が表出していたなということを書いたのですが、今日はマネジメント自体についてがテーマです。

マネジメント格差の日本社会

自分が日本企業をパラレルワーカーとしていろいろ見ていて思うのは、いま不可欠な能力は専門性で、スペシャリストが不足しているという話が出ますが、それ以上に必要なのはマネジメント力だと思っています。

現場力ということで、現場に丸投げすることを仕事だと思っていたり、数値をただ分解して目標を与えて激励することをマネジメントと思っていたり、ボトムアップで主体性が大事ということを免罪符に仕事をしない管理職が多すぎます。

それによって専門性の高い人材を雇っていても、そもそも雇用することで課題を解決するケースがなかったり、専門性を発揮する土壌がなかったり、DXやAIという流行りの言葉で方針を立てた気になったり、なにか変革をする際の利害調整もできず推進ができないというケースが多いかと思います。

そのため、マネジメント不足がそもそも課題であり、知的生産をできる人材が欠乏していると感じます。

マネジメントの本質はトレードオフを調整すること

さて、ではマネジメントをするとなると抽象的で何をすれば良いのか?よくわからないと思います。

ドラッカーはこんな定義をしております。

組織に成果を上げさせるための道具、機能、機関

成果を上げることが大事かと思いますが、なぜ「組織」で成果をあげるためにマネジメントが必要なんでしょうか?

それは現代社会では自由選択・多様化のため、トレードオフ関係や利害関係者がいるからです。単純に1つのことだけを優先しているならば、それはマネジメントが不要で、ただそれをやるだけでOKです。

ただそうだとしても、時間やお金などのリソースの制限がなにかをするのに必要になるため、そこには「なにかする」ということと「時間」「お金」のトレードオフ調整が必要になります。

組織ではさらにややこしいです。一人でやっている企業でも、「顧客」と「利益=持続性」と「実現方法」というところで利害調整が入ります。
しかし、一般的にその上で企業運営には社長以外にメンバーがいたり、投資家や銀行からのお金も必要ですし、関係会社がいたりなどします。それらのトレードオフを調整することが必要になります。

よって、これらのトレードオフ関係を調整して、最も最適な形に持っていくことがマネジメントになるかと思います。

マネジメントができていないケース

トレードオフ調整をする上で、マネジメントしているようでできていないケースが多くありますので、そのあるあるをご説明したいと思います。

■投資家の言いなり経営者
企業運営にはキャッシュが限りなく重要であることは間違いないのですが、投資家の言いなりということは、トレードオフの調整の中で100%が投資家優先ということになっています。もしそのフェーズで本当に100%優先でいい場合は良いのですが、多くのケースとして投資家は投資対効果を求めるため、事業をうまく運営しているように見せなければいけないというプレッシャーで、全く長期的な視点を持てないケースが多いです。
「投資家マネジメント」というなら、たとえ数年は投資対効果が見えなくても、その後伸びるというストーリーを描いて説明していくことが重要になると思います。

■月の目標達成最重視マネージャー
これも営業組織でよくあるケースですが、月の目標達成だけにフォーカスしているケースです。勘違いしてほしくないのは目標の効果は凄まじく、そして重要なものだと思います。しかし、月の目標数値のために顧客に無理矢理納品を合わせようとしたり、短期的な売上のために長期的な事業価値を毀損する判断をしているケースが見受けられます。
冷静に考えると目標数値は大事ですが、なぜ「月次」の単位で「1個の指標」を追うことを当然としているのでしょうか?そしてこれを重視しすぎてそういった会社には人が集まらないケースも出てきております。
こうした、メンバーマネジメント、事業価値のマネジメントをした上で短期的な数値のトレードオフを調整することが必要です。(※その上で今は短期的な数値のトレードオフを最重要視することは問題ないと思います)

■戦略のない中間管理職
そうしたトレードオフ関係を調整することは正解がない作業になるので重要なのが、戦略になります。戦略はマネジメントの方針です。何をトレードオフ関係の中で重視するのか?を決めることです。しかし、この目的の部分を朝令暮改で変えるケースが非常に多く、結果トレードオフの調整ではなく、伝書鳩のようにただ様々なところから突き上げられて、途方に暮れたり、その仕事すらしないでお金をもらっている中間管理職をよく見かけます。
必要なのは戦略で、どのトレードオフ関係者は重視して、どこは優先しないのか?それを持って、戦略通りに推進していくことです。

様々なマネージャーと調整するトレードオフ関係

さて、では次によくあるマネージャーと、彼らが調整しなければいけないメインのトレードオフ関係を見ていきましょう。

■事業責任者(俗に言うマネージャー)
予算と実績値のトレードオフをあわせる、予算と現実のトレードオフを調整する。

■プロジェクトマネージャー
QCD(品質・コスト・納期)のトレードオフを調整する。

■上司(メンバーマネジメント)
メンバーの成果と、組織の方針のトレードオフを調整する。

■プロダクトマネージャー(榎本の定義)
事業責任者と違いを出すとすると、短期収益を事業責任者が持つので、長期収益=事業価値とのトレードオフを調整する。顧客と実現性とビジネス性のトレードオフを調整する。

マネージャーになる方は、自分はどんなトレードオフを調整する必要があるのか?を考えて、伝書鳩や何もしないマネジメントをしないように気をつけてみてください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?