iPad proで教材作成|予習編−TeX環境について追記
iPad proでTeXを使う方法について。
Cloud LatexがiOSで使えないことがわかったため、日本語のTeXファイルをコンパイルできるアプリを探しました。
※全文を無料で公開しています
■ iPad pro で TeX を使う予習
以前、iPad proで物理の教材を作る方法について、iPad pro本体が手元に届く前に予習をしました。
この記事の中でTeXを使う方法について
アプリなら「Texpad」が評判良いけど、日本語でコンパイルするにはオンライン上でないと(ファイルがDropbox上にないと)ダメなので、だったら最初からオンラインで使える「Cloud Latex」で良いのでは?
という感じで書きました。
ところが、記事を投稿してから、Cloud Latex が iPad では使えないということがわかったのです。
したがって、別の方法を探しました。その候補が今のところ前述した「TeXpad」と、そして新しく見つけた「TeX Writer」の2つ。
どちらも有料のアプリなので購入する前に、慎重に「予習」をしておかなければ!と思って、記事のタイトルを再び「予習編」としました。
■ Cloud Latex は iPad では使えない
実はiPad proが手元に届いたその日に、そのことに気づいたのでした…あまりに衝撃でツイートしました。
ツイートで引用したのはCloud Latex公式のヘルプです。はっきりとiPadには対応していないと書かれていました。
実際に iPad pro で WEBブラウザ(Google Chrome)から Cloud Latex にアクセスしてみました。ログインは通常通り成功し、TeXファイルを編集する画面までは行けました。しかし、TeXファイルを編集しようとすると、日本語入力がうまくいかず、やはり iPad では使えそうにありません。
■ Overleaf もiPadでは厳しい模様…
Overleaf も Cloud Latex と同様、WEB上でTeXが使えるサービスです。
iPad でOverleaf を使うことについて、公式のヘルプにはこのような記載があります。英語でのQ&Aです。ざっくりまとめるとこんな感じでしょうか?
iPadとかのタブレットからOverleafにはアクセスできるけど、機能は限られてる。タブレットに対応できるように今頑張ってるんだけど、何かうまくいかないときはブラウザを変えてみるといいかも。それでもダメならアップデートまで我慢して。
「心」で訳しましたので正確なところは原文に当たってください。
Twitterでも声を拾ってみましたが、雲行きはあやしいです。
■ Texpad ならクラウド経由で日本語TeXを使える
WEB上のTeXサービス Cloud Latex と Overleaf が iPad にまだ対応していないので、iPadで使えるアプリを探しました。
まず、以前から知っていた「Texpad」
入力補完などエディタとしての機能も良く、クラウドなどと外部連携もしており、機能面での評判は良いです。
しかし、日本語のTeXファイルをコンパイルするにはファイルがクラウド上になければいけないそうです。
Texpadを使えば iPad pro で日本語のTeXファイルをコンパイルすることができるが、完全に iPad pro のローカルで作業が完結するわけではなく、ネット接続が必要になる
■ TeX Writer なら iPadローカルで 日本語TeX を使える
次に見つけたアプリが「TeX Writer」です。
このアプリは TeX Wiki で見つけました。
iOS(iPadやiPhoneのOS)で TeX を使うことについてまとめているページが TeX Wiki にあったのです。
このページに「TeX Writer」というアプリについての情報がありました。
TeX Writerというアプリなら、ネット接続していなくてもiPad proで日本語のTeX文書をコンパイルできる!
公式サイトに日本語のテンプレートがある!
これはすごい!
…では、実際のところはどうなのでしょうか?
また Twitterで調べてみました。
こういった(世間からすると)マイナーなツールについての情報は、単純にWEB検索するよりも、Twitterで検索するほうが、より「生々しい」情報が得られる、ということを今回学びました。
Twitter では、TeX Writerでの日本語TeXファイルのコンパイルに成功している例がたくさん見つかりました。
■ TeX Writer で日本語を使う場合は「pdfLaTeX」
上記の だ さんのツイートにもあるように、TeX Writer の公式ページに日本語を使う際のテンプレートがあったので中身を見てみたところ、確かに「CJKパッケージ」を使っています。
本文中で日本語を使いたい部分をbegin{CJK*}と\end{CJK*}で囲んでいます。
ちょっとしか日本語を使わないのであればこれでもいいかもしれません。しかし、文章全体を日本語にしたい場合は、上記ツイート(Iwao KIMURAさん)にあるように、
\documentclass[pdflatex,a5paper,ja=standard]{bxjsarticle}
タイプセットをpdflatexにして、bxjsarticleクラスを使うと良いようです。
上記のiwaoさんのツイートの続きで紹介されているページで「CJKパッケージ」や「pdflatex」について、わかりやすく説明されています。↓
ただし、上の記事ではpdfLaTeXを使うことは避けたほうがよいと書いています。記事冒頭を引用します。
まず初めに注意すべきなのは「日本語の分量が多い場合は、可能な限り pdfLaTeX の使用は避けるべき」ということです。現在では、主流のエンジンの全てにおいて日本語を扱う環境が整っていますが、pdfLaTeX と CJK パッケージを使う方法は、その中で最も面倒でありかつ最も品質が劣ります。このため、その使用が妥当なのは、どうしても pdfLaTeX の使用が避けられない場合に限られます。
■ Texpad と TeX writer どっちを使う?[結果まとめ]
調べた結果をまとめます。
Texpad (¥2,400)
クラウド経由であれば、iPadで日本語のTeXファイルをコンパイルできる。つまり日本語のTeXファイルをコンパイルするためにはiPadをオンラインにしておく必要があり、電波の状況に左右されるかも。
TeX Writer(¥1,800)
CJKパッケージを使うか、またはpdfLaTeXでbxjsarticleを使えば、iPadローカルで日本語のTeXファイルをコンパイルできる。つまりオフラインでいいので電波の状況に左右されない。ただし、pdfLaTeXは品質の面であまり推奨されていない。
どちらも iPad で日本語のTeXファイルをコンパイルすることができます。
pdfLaTeXがあまり推奨されていないようなので、
・オンラインでもいいなら Texpad
・絶対オフラインじゃなきゃイヤなら TeX Writer
という感じになるでしょうか。
したがって、iPad で日本語 TeX を使うときに、何を優先するかで変わってきそうですね。
私の場合は iPad pro に格安SIMを入れているので、基本はオンラインでも困りません。最近は地下鉄でも電波は届くし…強いて困りそうなことがあるとすれば、新幹線でトンネルとか…? 飛行機とか…? …今の状況では、そういったシチュエーションはあまり考えられないので Texpad かなあ…
■ 終わりに
教材をつくることについて関心がある方の参考に少しでもなれば嬉しいです。
「iPad proで教材作成」シリーズ過去作もあわせてどうぞ。
『iPad proで教材作成|予習編』
『iPad proで教材作成|印刷編』
今後も具体的なツールを少しずつまとめていきます。
学ぶことや教えることに関しても書いています。
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